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テレビを見る時間は本当に短くなったのか 年代別データで見えた視聴習慣の分岐

テレビを見る時間は本当に短くなったのか 年代別データで見えた視聴習慣の分岐

結論から言うと、テレビを見る時間は一方向に短くなっているわけではありません。 若い世代ではテレビを「見る人の割合」が下がり、30代までではネット利用の長さが目立ちます。一方で、50代後半から高齢層では、いまもテレビが長時間メディアとして残っています。

ただし、ここで一つ注意が必要です。総務省の調査には「その日にテレビを見た人だけの平均時間」と「全員平均」があり、見え方が変わります。若年層は“視聴者が減る”動きが大きく、シニア層は“見る人も多く、見れば長い”という違いが、数字にはっきり出ています。

  • 平日データでは、2025年公表の総務省調査で10代のテレビ視聴者率は35.0%、70代は94.3%
  • 同じ調査で、テレビを見た人の平均時間は10代113.5分、70代329.5分
  • 2001年から2021年の長期推移では、総務省統計局の生活時間データで「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の時間は男女とも減少
  • つまり、全世代が同じペースでテレビ離れしているのではなく、世代ごとの差が拡大している
目次

使用データと比較条件

今回使う中心データは、総務省情報通信政策研究所の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」です。平日の「テレビ(リアルタイム)視聴」を年代別に見ます。

  • 最新値: 令和6年度調査、2025年6月27日公表
  • 比較年: 令和4年度調査、2023年6月公表 / 令和5年度調査、2024年6月21日公表
  • 対象: メディア利用調査の年代別集計
  • 補足: 令和6年度は対象が13歳〜79歳、1,800人に拡大。過去の「全年代」値は再集計されており、単純比較には注意が必要

あわせて、長期の生活時間の変化を見るために、総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」の資料も参照します。こちらは「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」をまとめた生活時間で、テレビ単独ではありません。

年代別にみると、どこで短くなっているのか

まず、総務省調査の平日データで「テレビを見た人の平均時間」を並べると、世代差が大きいことが分かります。

年代 令和4年度 令和5年度 令和6年度 令和6年度の視聴者率
10代90.7分83.2分113.5分35.0%
20代134.1分124.4分108.6分48.4%
30代155.5分139.4分133.9分59.9%
40代163.9分171.9分164.5分71.4%
50代191.2分201.1分199.5分79.7%
60代263.1分281.0分257.0分88.2%
70代329.5分94.3%

この表から読める事実はシンプルです。

  • 20代と30代は、3年並べると視聴時間がはっきり短くなっている
  • 60代も2024年公表値から2025年公表値にかけて減った
  • 10代は「見た人」の時間だけ見ると直近で伸びたが、視聴者率は35.0%まで下がっている

つまり、10代で起きているのは「みんなが少しずつ短く見ている」より、「そもそも見る人がかなり減り、残った視聴者は比較的長く見る」変化です。

ここがポイント: テレビ時間の減少は一枚岩ではありません。若年層では「接触率の低下」、高齢層では「長時間視聴の維持」が同時に進んでいます。

テレビが短くなったというより、「主役の世代」がずれた

同じ総務省調査では、平日の主なメディア利用時間について、令和5年度時点で50代はインターネット利用がテレビ(リアルタイム)視聴を初めて上回ったと情報通信白書で整理されています。テレビの優位が崩れているのは、若年層だけではありません。

若い世代

10代と20代では、テレビの視聴者率そのものが低い水準です。特に10代は2025年公表値で35.0%にとどまりました。リアルタイム視聴は、「家にテレビがあるか」よりも「放送時間に合わせて見るか」の習慣が弱くなっていると読めます。

30代から50代

30代は視聴時間が減少傾向です。40代と50代はまだテレビ時間が長いものの、ネット利用との差が縮んでいます。仕事、家事、育児の合間に、放送を見るよりスマホで分散的に情報や動画に触れる時間が増えた可能性はありますが、ここは因果を断定できません。

60代以降

60代、70代はテレビの存在感がまだ強い層です。2025年公表値では、60代の視聴者率が88.2%、70代が94.3%でした。ニュース、生活情報、定時の番組編成に触れる習慣が、ほかの世代より残っていることを示します。

長期推移で見ると、従来型メディアの時間は確かに減っている

総務省統計局「社会生活基本調査」の資料では、週全体平均の「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」時間は次のように減っています。

  • 男性: 2001年 2時間38分 → 2021年 2時間11分
  • 女性: 2001年 2時間26分 → 2021年 2時間5分

この数字が重要なのは、20年単位で見ると、従来型メディアに使う時間自体は縮んでいると確認できるからです。ただし、この区分には新聞やラジオ、雑誌も含まれます。「テレビ単独の減少幅」をそのまま示す数字ではない点は押さえておく必要があります。

何が言えて、何が言えないか

ここまでのデータから言えることと、言い切れないことを分けます。

言えること

  • 年代が上がるほどテレビ視聴者率は高い
  • 20代、30代では平日のリアルタイム視聴時間が短くなっている
  • 10代は視聴時間だけでなく、視聴者率の低さが目立つ
  • 長期では従来型メディアに使う時間全体が減っている

言い切れないこと

  • テレビ時間が減った原因が、仕事の忙しさだけなのか、配信サービス移行なのか
  • 若年層の短時間化が、ニュース接触の減少をそのまま意味するのか
  • 家庭のテレビ保有状況や同居家族構成が、各年代の変化にどこまで効いているのか

原因まで踏み込むには、配信視聴、録画視聴、端末利用、世帯属性を重ねた別データが必要です。

読むときの注意点

データを見誤りやすいポイントもあります。

  • 総務省のメディア調査は「テレビ(リアルタイム)視聴」で、録画や配信は別項目
  • 「行為者平均時間」は、その日に見た人だけの平均。全員平均とは違う
  • 令和6年度調査は対象年齢が13歳〜79歳に広がっており、前年までの全年代値は再集計されている
  • 社会生活基本調査の「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」は、テレビ単独ではない

この違いを混ぜると、「テレビは急減した」「いや、まだ強い」のどちらにも寄りすぎた読み方になります。

今後の見どころ

テレビを見る時間が短くなっているかという問いへの答えは、「若い世代ではかなり進んでいるが、高齢層まで一気に崩れたわけではない」です。

次に見るべきポイントは3つです。

  • 10代、20代で視聴者率の低下がさらに続くか
  • 40代、50代でネット利用がテレビを安定的に上回るか
  • 60代、70代でも長時間視聴の減少が続くか

テレビの存在感は消えていません。ただし、同じ「テレビ」という言葉で全世代をまとめるには、もう無理がある段階に入っています。

参照リンク

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