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宅配便はどこまで増えたのか 最新50.3億個から読む日本の買い物の変化

宅配便はどこまで増えたのか 最新50.3億個から読む日本の買い物の変化

日本の宅配便は、最新の令和6年度で50億3147万個でした。令和元年度の43億2349万個から見ると5年間で16.4%増、平成25年度の36億3668万個と比べると38.4%増です。

ただし、増え方は毎年同じではありません。いちばん大きな段差は令和2年度の11.9%増で、その後は50億個前後の高水準で横ばいに近い推移に入っています。数字を見る限り、宅配便は今も増えているものの、生活の変化が一気に表れたのはコロナ禍初期、その後は定着局面に入ったと読むのが自然です。

  • 最新値は令和6年度の50億3147万個。前年度比は0.5%増
  • 令和元年度比では16.4%増、平成25年度比では38.4%増
  • 大きく跳ねたのは令和2年度の11.9%増。その後は伸びが鈍化
  • 同じ時期にネットショッピング利用世帯割合は2024年に55.3%まで上昇
目次

使用データと比較条件

今回見たのは、主に国土交通省の「宅配便・メール便取扱実績」です。宅配便の総数は年度ベースで公表され、トラック運送分と航空等利用運送分を合算しています。

あわせて、生活側の変化をみる補助データとして次の2つを使います。

  • 総務省統計局「家計消費状況調査」: 二人以上の世帯のネットショッピング利用割合と支出額
  • 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」: BtoC-EC市場規模

比較にあたっての前提も先に整理しておきます。

  • 宅配便の取扱個数は年度集計です
  • ネットショッピングやEC市場規模は主に暦年集計です
  • 宅配便は個人宅向けだけではなく、事業所向けを含む総数です
  • そのため、宅配便の増加をそのまま「家庭向け荷物の増加」と言い切ることはできません

主要な数値

まず、近年の宅配便取扱個数を並べると流れがはっきりします。

  • 令和元年度: 43億2349万個
  • 令和2年度: 48億3647万個
  • 令和3年度: 49億5323万個
  • 令和4年度: 50億588万個
  • 令和5年度: 50億733万個
  • 令和6年度: 50億3147万個

令和元年度から令和2年度には、1年で5億1298万個増えました。率にすると11.9%増です。ここがこのシリーズで最も大きい伸びです。

一方で、その後の伸びは次の通りです。

  • 令和3年度: 前年度比2.4%増
  • 令和4年度: 同1.1%増
  • 令和5年度: 同0.3%増
  • 令和6年度: 同0.5%増

50億個という水準自体は高いままですが、増勢はかなり落ち着いています。単純に365日で割ると、令和6年度は1日あたり約1380万個です。2024年10月1日現在の総人口1億2380万2千人で単純に割れば、年間で1人あたり40個強の計算になります。

ここがポイント: 宅配便は今も増えているものの、増加の中心は令和2年度の急伸です。足元は「急増」より「高止まり」と見るほうが実態に近いです。

どこで伸びたのか

2010年代後半からの増加

平成30年度は43億701万個、令和元年度は43億2349万個でした。コロナ禍前でも宅配便はすでに増加基調にありましたが、伸び率は1%前後でした。

この時点では、宅配便の拡大はじわじわ進む変化でした。買い物や書類の受け渡しが少しずつオンライン側へ寄る流れはあったものの、取扱個数の増え方はまだ緩やかです。

段差を作った令和2年度

令和2年度は48億3647万個で、前年度より5億個超増えました。ここで水準そのものが一段切り上がっています。

この1年だけが突出しているため、宅配便の増加を語るときは「毎年同じペースで積み上がった」と捉えないほうが正確です。実際には、急増した年があり、その後は高い水準を保つ形に変わりました。

その後は50億個前後で推移

令和4年度に50億個を超え、令和5年度も令和6年度も50億個台を維持しました。つまり、コロナ禍初期の一時的な特需だけで元に戻ったわけではありません。

一方で、令和5年度の前年度比は0.3%増、令和6年度も0.5%増です。今の宅配便市場は、急拡大局面よりも、生活に組み込まれた配送需要をどう回すかの局面に入っています。

生活データと合わせると何が見えるか

ネットショッピングの利用は広がっている

総務省統計局の家計消費状況調査では、2024年のネットショッピング利用世帯の割合は55.3%でした。前年の53.5%から1.8ポイント上がり、月平均支出額は2万4928円、利用1世帯当たりでは4万5047円です。

この数字が意味するのは、ネットで買う世帯が一部の層に限られなくなっていることです。宅配便50億個台という水準は、単に物流業界の数字ではなく、家庭の購買行動の一部が配送前提で動いていることを裏づけます。

EC市場規模も拡大している

経済産業省によると、2023年の国内BtoC-EC市場規模は24.8兆円で、前年の22.7兆円から9.23%増えました。EC化率も9.38%まで上がっています。

もちろん、EC市場の拡大と宅配便の増加が1対1で対応するわけではありません。デジタル商材やサービス取引は荷物を生みませんし、宅配便には個人向け以外の荷物も含まれます。

それでも、

  • 買い物の一部が店舗受け取りではなく配送前提で動く
  • 食料や日用品までネット経由の購入が広がる
  • 一度増えた配送利用が、完全には元に戻っていない

という方向感は、複数の公的データで整合的です。

宅配便だけで見ないほうがいい点

ここは読み違えやすいところです。宅配便の個数が増えたからといって、消費全体が同じ幅で増えたとは限りません。

注意点は主に3つあります。

  • 宅配便の個数は「何個動いたか」であり、単価までは示しません。安価な小口配送が増えても個数は伸びます
  • 総数には事業者向け荷物も含まれるため、家計だけの変化には絞れません
  • 年度比較では制度や集計条件の変更に注意が必要です

特に長期比較では、平成29年度にゆうパケットの通期計上佐川急便の決算期変更があり、国土交通省自身が単純比較と条件をそろえた比較を分けて示しています。10年以上の推移を一本の直線のように扱うと、伸びを読み誤る可能性があります。

また、同じ国土交通省の統計ではメール便が減っています。令和元年度の47億192万冊に対し、令和6年度は33億4477万冊です。荷物全体が同じ形で増えているのではなく、送るものの種類や受け取り方が変わっている点も見逃せません。

生活の変化として何を見るべきか

宅配便50億個台は、日本の消費が配送依存に振れたまま定着していることを示す数字です。とくに見るべきなのは、増え続けているかどうか以上に、急増後の高水準が続いていることです。

今後の注目点は次の3つです。

  • 50億個台がこのまま維持されるのか
  • 荷物の中身が日用品、食料、法人向けのどこで増減するのか
  • 個数が横ばいでも、再配達、ドライバー不足、運賃改定で物流の負荷がどう変わるのか

個数の伸びは落ち着いても、物流の重さが軽くなるとは限りません。次に見るべきなのは、荷物の総数そのものより、その50億個を誰がどんな条件で運ぶのかです。

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