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働くシニアはどこまで増えたのか 65〜69歳は就業率5割超、年齢別データで読む10年の変化

働くシニアはどこまで増えたのか 65〜69歳は就業率5割超、年齢別データで読む10年の変化

高齢者の就業率は、この10年ではっきり上がりました。総務省統計局の公表資料によると、2024年の65〜69歳の就業率は53.6%、70〜74歳は35.1%、75歳以上も12.0%で、いずれも過去最高です。

特に動きが大きいのは60代後半です。65〜69歳は10年前より13.5ポイント上昇しており、「65歳を過ぎたら多くが引退」という姿より、「半数超が働いている」姿のほうが今の実態に近くなっています。

  • 2024年の65歳以上の就業率は25.7%
  • 年齢別では65〜69歳53.6%、70〜74歳35.1%、75歳以上12.0%
  • 10年前比では65〜69歳が13.5ポイント、70〜74歳が11.1ポイント、75歳以上が3.9ポイント上昇
  • 65歳以上の就業者数は930万人で、21年連続の増加
目次

使用データと比較条件

今回見ているのは、主に総務省統計局の「労働力調査(基本集計)」と、それを基にした2025年9月公表の統計トピックス、2025年版高齢社会白書です。対象地域は全国、比較年は主に2014年と2024年です。

就業率は、各年齢階級の人口に占める就業者の割合です。ここでいう就業者は、調査週に収入を伴う仕事を1時間以上した人、または仕事を休んでいた人を含みます。

整理すると、この記事の軸は次の通りです。

  • 出典: 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」、統計トピックスNo.146、内閣府「令和7年版高齢社会白書」
  • 対象年: 2014年と2024年を中心に、補足で2023年、2025年公表資料も参照
  • 対象地域: 全国
  • 比較条件: 65〜69歳、70〜74歳、75歳以上の年齢階級別比較

主要な数値

まず、最新の年齢別データをそのまま見ると傾向はかなり明確です。

年齢階級 2014年 2024年 10年間の変化
65〜69歳 40.1% 53.6% +13.5ポイント
70〜74歳 24.0% 35.1% +11.1ポイント
75歳以上 8.1% 12.0% +3.9ポイント
65歳以上計 20.8% 25.7% +4.9ポイント

上の表で目立つのは、上昇幅が年齢でかなり違うことです。最も伸びたのは65〜69歳、次いで70〜74歳で、75歳以上も上がってはいるものの伸び方は相対的に小さいです。

つまり、高齢者就業の拡大は「高齢者全体が一様に働くようになった」というより、まず60代後半と70代前半で進んだと読むほうが実態に合います。

どの層で増えたのか

この変化は、就業者数でも確認できます。2024年の65歳以上の就業者数は930万人で、2004年以降21年連続の増加でした。

60代後半は「半数超が就業」まで上がった

65〜69歳の就業率は2024年に53.6%でした。2014年の40.1%から見ると、10年で13.5ポイント上昇です。

これはかなり大きい変化です。10年前は「4割台」だったものが、いまは「5割超」になっています。定年後も継続雇用や再就職で働く人が増えたことが、数字の上でも確認できます。

70代前半も3人に1人を超えた

70〜74歳の就業率は35.1%です。2014年は24.0%だったので、11.1ポイント上がりました。

70代前半で3人に1人超が働いている計算で、ここも10年前とは見え方が変わります。高齢就業の広がりは、65歳直後だけの現象ではありません。

75歳以上も上昇したが、伸びは緩やか

75歳以上は12.0%でした。2014年の8.1%から3.9ポイント上昇しています。

上昇自体は続いていますが、65〜69歳や70〜74歳ほどの伸びではありません。年齢が上がるほど健康状態や就ける仕事の幅の違いが大きくなりやすく、この層は増加していてもペースは別だと見たほうがよさそうです。

ここがポイント: 高齢者就業の増加は「65歳以上が一括で増えた」のではなく、特に65〜69歳と70〜74歳で大きく進んだ。

男女別に見ると何が違うか

2024年の高齢社会白書では、男女差もはっきり出ています。60〜64歳の就業者割合は男性84.0%、女性65.0%、65〜69歳では男性62.8%、女性44.7%、70〜74歳では男性43.8%、女性27.3%でした。

男女とも高い水準ですが、差はなお残っています。高齢就業が広がっているといっても、その内側では働き方や職歴の違いが残っていることが分かります。

数字の意味を読み違えないために、ここは切り分けが必要です。

  • 事実: 男女とも60代後半、70代前半で就業者割合は高い
  • 事実: 男性のほうが各年齢階級で水準が高い
  • 解釈: 定年前の雇用形態や勤続年数、再就職先の違いが影響している可能性はある
  • 注意: この統計だけでは、男女差の原因を1つに断定できない

「働く人が増えた」と同時に、働き方も変わっている

人数だけを見ると前向きな変化に見えますが、働き方まで見ると別の顔もあります。

高齢社会白書によると、役員を除く雇用者のうち非正規の職員・従業員の割合は、男性で55〜59歳10.3%に対し60〜64歳41.3%、65〜69歳67.8%まで上がります。女性も55〜59歳58.1%、60〜64歳72.6%、65〜69歳83.2%でした。

ここから言えるのは、就業率の上昇がそのまま「安定したフルタイム雇用の増加」を意味するわけではないということです。働くシニアは増えていても、その多くは短時間勤務や嘱託、パートなどを含む形で就業している可能性があります。

増えている産業はどこか

2024年の65歳以上就業者を主な産業別にみると、多いのは次の分野でした。

  • 卸売業・小売業: 133万人
  • 医療・福祉: 115万人
  • サービス業(他に分類されないもの): 104万人
  • 農業・林業: 93万人

特に医療・福祉は、10年前の約2.4倍です。高齢化で需要が増える分野に、高齢者自身も働き手として入っている構図が見えます。

データから読み取れること

この10年の数字からは、少なくとも3つの変化が確認できます。

1. 高齢就業は例外ではなくなった

65〜69歳で就業率が53.6%ということは、全国平均では「働いている人のほうが多い」水準です。シニア就業は一部の人の話ではなく、年齢階級として見ても一般化が進んでいます。

2. 就業拡大の中心は65〜74歳

上昇幅を見ると、中心は65〜69歳と70〜74歳です。高齢就業の増加を論じるとき、75歳以上まで一括で語ると実態をぼかしやすくなります。

3. 労働参加の拡大と雇用の質は別問題

就業率の上昇は確かですが、非正規比率の高さを見ると、同じ「働いている」でも条件はかなり違います。収入補完なのか、社会参加なのか、継続雇用なのかで意味合いも変わります。

注意点

このテーマは数字が分かりやすいぶん、誤読もしやすいです。

  • 就業率は「働いているかどうか」の比率で、賃金水準や労働時間までは示しません
  • 65歳以上人口そのものが大きいため、就業者数の増加には人口構成の影響もあります
  • 年齢階級別の就業率上昇だけでは、制度変更や景気、健康状態のどれが主因かは断定できません
  • 高齢社会白書、統計トピックス、労働力調査では公表時点が異なるため、人口は2025年時点、就業は2024年時点など年次がずれることがあります

特に、就業者数が増えたことと、生活が安定したことは同義ではありません。 ここは切り離して見る必要があります。

これから見るべきポイント

今後の確認ポイントは、単純な就業率の上昇だけでは足りません。

  • 65〜69歳の就業率が5割台後半へさらに上がるか
  • 70〜74歳の就業率が4割に近づくか
  • 非正規比率が高止まりするのか、働き方の選択肢が広がるのか
  • 医療・福祉や小売など、高齢就業を支える産業構成がどう変わるか

高齢者の就業率は確かに上がりました。次に見るべきなのは、どれだけ長く働くかではなく、どんな条件で働けるかです。数字の増加はもう確認できています。残る論点は、その中身です。

参照リンク

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