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電気料金はどれくらい上がったのか?過去10年の推移と家計への影響をデータで分析

電気料金はどれくらい上がったのか?過去10年の推移と家計への影響をデータで分析

電気代は、10年前と比べてはっきり上がっています。総務省の消費者物価指数で見ると、全国の「電気代」は2015年平均の101.4から2025年平均の118.1へ上昇し、指数ベースでは約16%高くなりました。

家計調査で見る二人以上世帯の支出額は、2015年の月10,827円から2025年は月約13,219円へ増えています。月額で約2,400円、年間では約2万9,000円の増加です。

  • 使用データ: 総務省統計局「消費者物価指数」「家計調査」
  • 対象地域: 全国。ただし地域差の確認では地方別データも参照
  • 対象期間: 主に2015年から2025年までの年平均
  • 比較条件: 消費者物価指数は2020年=100、家計調査は二人以上世帯の1世帯1か月当たり支出
目次

使用したデータと見方

この記事では、電気料金の上がり方を2つの角度から見ます。

1つ目は、総務省統計局の「消費者物価指数(CPI)」です。これは、家計が購入する財やサービスの価格変化を指数で示す統計で、電気代という品目も含まれます。2025年平均の全国CPIは2026年1月23日に公表されています。

2つ目は、総務省統計局の「家計調査」です。こちらは、実際に世帯が1か月にいくら支出したかを見る統計です。2025年平均の家計調査は2026年2月6日に公表され、二人以上世帯の消費支出は月314,001円でした。

この2つは似ているようで、意味が違います。

  • CPIの電気代: 価格水準の変化を見る指標
  • 家計調査の電気代: 世帯が実際に支払った金額
  • CPIは使用量の増減を直接示さない
  • 家計調査は価格だけでなく、気温、世帯人数、節電、住宅設備の影響も受ける

つまり、「料金単価が上がったか」と「家計の支払いが増えたか」は分けて読む必要があります。

電気代の物価指数は10年で約16%上昇

まず、価格水準を示す消費者物価指数から見ます。全国の「電気代」は、2020年を100とした指数で2015年が101.4、2025年が118.1でした。

電気代CPI(2020年=100)前年比
2015年101.4-0.7%
2016年93.4-7.9%
2017年96.4+3.2%
2018年100.7+4.5%
2019年103.7+3.0%
2020年100.0-3.5%
2021年100.1+0.1%
2022年120.1+20.0%
2023年104.5-13.0%
2024年112.2+7.3%
2025年118.1+5.3%

10年間の変化で目立つのは、じわじわ上がったというより、2022年に大きく跳ね上がり、その後も高めの水準に残ったことです。

2016年には指数が93.4まで下がりました。その後、2018年から2019年にかけて100を超え、2022年に120.1まで上昇します。2023年は104.5へ下がりましたが、2024年、2025年と再び上がりました。

ここがポイント: 2025年の電気代CPIは、2022年のピークより少し低いものの、2015年や2020年より高い水準にあります。「一度上がって元に戻った」とは読みにくい動きです。

家計の電気代は月約2,400円増えた

次に、家計調査で実際の支出額を見ます。二人以上世帯の電気代は、2015年に月10,827円、2025年に月約13,219円でした。

二人以上世帯の電気代(月平均)2015年との差
2015年10,827円
2016年10,035円-792円
2017年10,466円-361円
2018年10,725円-102円
2019年10,768円-59円
2020年10,671円-156円
2021年10,317円-510円
2022年12,678円+1,851円
2023年12,265円+1,438円
2024年12,008円+1,181円
2025年約13,219円約+2,392円

2015年から2021年までは、月1万円前後で大きくは崩れていません。変化が大きくなるのは2022年以降です。

2025年の月約13,219円を年額にすると、約15万9,000円です。2015年の年額は約13万円なので、年間負担は約2万9,000円増えた計算になります。

ただし、この数字は「同じ量の電気を使ったらいくら高くなったか」ではありません。家計調査の支出額には、気温が厳しい年に冷暖房を多く使った影響や、世帯構成の違いも入ります。

なぜ2022年以降に大きく動いたのか

電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などで構成されます。家庭の請求額は、電力会社の料金改定だけでなく、燃料価格や政策的な値引きにも左右されます。

2022年にCPIの電気代が前年比20.0%上がったことは、家計が感じる負担増と方向が合っています。一方、2023年はCPIが前年比13.0%下がりました。ここには政府の電気・ガス価格激変緩和対策による値引きが影響した可能性があります。

資源エネルギー庁は、2023年1月使用分から電気料金の値引き支援を行い、当初は1kWh当たり7円、標準的な家庭で月2,800円の負担軽減になると説明しています。これは、家計の請求額を一時的に押し下げる政策です。

価格と支出が同じ動きをしない理由

CPIと家計調査は、同じ方向に動く年もありますが、完全には一致しません。

たとえば、2023年のCPI電気代は前年より下がりましたが、家計調査の二人以上世帯の電気代は月12,265円で、2015年から見るとまだ高い水準でした。価格が下がっても、使用量や季節要因によって支出額は残ります。

逆に、料金単価が上がっても、世帯が節電したり、暖冬で暖房使用が少なかったりすれば、支出額の増加は抑えられます。

地域差も小さくない

全国平均だけを見ると、電気代の負担感を見誤ることがあります。家計調査の2024年地方別データでは、二人以上世帯の月平均電気代に大きな差がありました。

  • 北陸: 15,582円
  • 東北: 14,258円
  • 中国: 13,763円
  • 四国: 12,557円
  • 北海道: 12,328円
  • 沖縄: 12,152円
  • 関東: 11,907円
  • 東海: 11,832円
  • 近畿: 10,845円
  • 九州: 10,316円
  • 全国平均: 12,008円

北陸と九州の差は月5,266円です。年間では約6万3,000円の差になります。

この差を、すぐに「料金単価だけの差」と読むのは危険です。寒冷地では冬の暖房、住宅の広さ、給湯・調理の方式、世帯人数、オール電化の普及状況などが支出額に入り込みます。

それでも、家計を見るうえでは重要です。同じ全国平均の話をしていても、北陸や東北の家庭と、九州や近畿の家庭では、毎月の請求額の重さが違います。

データから読み取れること

ここまでの数字から、少なくとも次のことは言えます。

  • 電気代の価格指数は2015年から2025年にかけて約16%上がった
  • 二人以上世帯の月平均電気代は、同じ期間で約2,400円増えた
  • 家計支出の上昇は、2022年以降に大きくなった
  • 政府の値引き支援がある年は、価格指数や請求額が一時的に押し下げられる
  • 地域差は大きく、全国平均だけでは実感を説明しきれない

特に家計への影響で大きいのは、毎月固定的に出ていく支出が増える点です。食費のように買う量を調整しやすい費目と違い、電気は冷暖房、照明、冷蔵庫、通信機器など生活の土台に入っています。

2025年の二人以上世帯の消費支出は月314,001円でした。電気代が月約13,219円なら、消費支出の約4.2%を占めます。たった数%に見えても、毎月必ず発生するため、他の支出を圧迫しやすい費目です。

読むときの注意点

電気料金のデータは、単純な「値上げ率」だけで判断しにくい統計です。主な注意点は4つあります。

1. CPIは使用量を示さない

CPIは価格水準の指標です。家庭がどれだけ電気を使ったかは直接分かりません。冷夏や暖冬、節電行動の変化は、家計調査の支出額には反映されますが、CPIだけでは読み取れません。

2. 家計調査は世帯構成の影響を受ける

二人以上世帯と単身世帯では、電気代の水準が違います。2025年の総世帯平均は月10,962円、二人暮らしは月12,144円、三人暮らしは月13,915円、四人暮らしは月13,928円でした。世帯人数が違うデータを並べると、料金変化と人数差が混ざります。

3. 政策支援で数字が動く

2023年以降は、電気・ガス料金の負担軽減策が請求額に影響しています。支援が入った月と縮小・終了した月では、同じ使用量でも請求額が変わります。年平均を見ると、その影響がならされて見えます。

4. 地域差は「高い・安い」だけで説明できない

地方別の支出額には、気候、住宅、電力会社の料金、生活様式が重なります。地域ランキングは便利ですが、単純に「この地域の電力会社が高い」と断定する材料にはなりません。

家計で見るべき次のポイント

電気代は、2022年の急上昇だけで終わった話ではありません。2025年時点でも、2015年や2020年より高い水準にあります。

今後見るべきポイントは、次の3つです。

  • 政府の電気・ガス料金支援が縮小・終了した後のCPI電気代
  • 家計調査で、2026年の二人以上世帯の月平均電気代が13,000円台に残るか
  • 地方別に、北陸・東北など高支出地域と全国平均の差が広がるか

家計管理では、前年同月の請求額だけでなく、年間合計で見ることが大切です。冬と夏のピーク月だけを見ても、負担の全体像はつかみにくいからです。

電気代の上昇は、単なる一時的な請求額の増減ではなく、家計の固定費が一段上がったかどうかを見るテーマです。次に確認すべきは、2026年の年平均でこの高止まりが続くのか、それとも政策支援や燃料価格の変化で下がるのかです。

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