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20代の飲酒習慣はどこまで変わったのか 公的データで見る酒類消費の縮小と若者の飲み方

20代の飲酒習慣はどこまで変わったのか 公的データで見る酒類消費の縮小と若者の飲み方

若者の酒離れは、少なくとも「習慣的に飲む人がどれだけいるか」で見るとかなりはっきりしています。厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査では、20〜29歳で「飲酒習慣あり」に当たる人は4.2%でした。50〜59歳の27.4%と比べると、同じ成人でも差は大きいです。

一方で、そこからすぐに「若者は酒に無関心になった」とまでは言えません。国税庁の酒類データでは成人1人当たりの消費量は長く減ってきましたが、20代で飲む人の中には1回量が多い層も残っています。頻度は下がったが、飲む人の飲み方は別に見る必要があるというのが、数字から見える実像です。

  • 令和6年国民健康・栄養調査では、20〜29歳の飲酒習慣ありは4.2%
  • 20〜29歳で「毎日飲む」は1.2%、「飲まない・飲めない」は37.2%
  • 成人1人当たりの酒類消費量は、国税庁資料で平成4年度101.8Lがピーク、その後は減少傾向
  • 令和5年度の全国平均は75.6L。ただしこの値は沖縄県分を含まない全国平均
目次

まず確認したい使用データ

今回見たのは、次の2系統の公的データです。

  • 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」
  • 対象: 全国、20歳以上
  • 見る指標: 飲酒頻度、飲酒習慣の有無、飲酒日の1日当たり飲酒量
  • 国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」掲載の「令和5年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表」
  • 対象: 都道府県別、全国平均
  • 見る指標: 成人1人当たりの酒類消費量、品目別構成

比較条件もそろえておきます。健康・栄養調査でいう「飲酒習慣あり」は、週3回以上飲み、飲酒日1日当たり1合以上と回答した人です。単に「たまに飲む人」はここに入りません。

20代の飲み方は、まず「頻度」で差が出ている

令和6年国民健康・栄養調査の20〜29歳は、飲酒頻度の分布が上の世代とかなり違います。

  • 毎日飲む: 1.2%
  • 週5〜6日: 1.1%
  • 週3〜4日: 3.1%
  • 週1〜2日: 13.9%
  • 月に1〜3日: 22.7%
  • 月に1日未満: 19.5%
  • やめた: 1.4%
  • 飲まない・飲めない: 37.2%

20代では、「毎日飲む」より「月に数回」や「ほぼ飲まない」のほうが明らかに多い構図です。50〜59歳では毎日飲む人が19.7%いるので、日常の中に酒が入っている割合そのものが違います。

習慣飲酒の差はさらに大きい

同じ令和6年調査で「飲酒習慣あり」を見ると、年代差はもっとはっきりします。

  • 20〜29歳: 4.2%
  • 30〜39歳: 14.2%
  • 40〜49歳: 20.6%
  • 50〜59歳: 27.4%
  • 60〜69歳: 26.8%
  • 70歳以上: 14.2%

20代は30代の3分の1弱、50代の6分の1ほどです。若者の酒離れを語るなら、まずこの数字が土台になります。

ここがポイント: 若者の酒離れは「酒を全く飲まない人が多い」だけでなく、「週3回以上・1合以上飲む人がかなり少ない」という形で表れています。

ただし「飲む若者」が軽いとは限らない

ここで注意したいのは、20代の飲酒リスクがゼロではないことです。

令和6年調査では、20〜29歳で生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者は6.1%でした。これは「飲酒習慣あり」4.2%より高く、頻繁には飲まなくても1回量が多い人が含まれることを示します。

飲酒日の1日当たり飲酒量を見ると、20〜29歳の飲酒者では次の割合でした。

  • 1合未満: 27.2%
  • 1合以上2合未満: 32.1%
  • 2合以上3合未満: 21.4%
  • 3合以上4合未満: 8.9%
  • 4合以上5合未満: 5.6%
  • 5合以上: 4.8%

合計すると、20代の飲酒者のうち2合以上飲む人は4割超です。若者全体では飲酒頻度が低い一方、飲む場面では量が増える人もいる。ここを一緒くたにすると実態を見誤ります。

長い目で見ると、20代の習慣飲酒はかなり下がった

厚生労働省の年次推移表で、同じ定義の「飲酒習慣者」を追うと、20〜29歳は次のように下がっています。

  • 2003年: 20.2%
  • 2010年: 14.7%
  • 2016年: 10.9%
  • 2024年: 4.2%

この並びを見ると、20代の「酒離れ」は一時的な揺れではなく、長い低下傾向の延長線上にあります。しかも下がり方は他の年代より急です。2003年に50〜59歳は50.0%でしたが、2024年でも50〜59歳は27.4%あります。中高年も下がってはいるものの、20代ほどの落ち込みではありません。

酒類全体の消費量も縮んでいる

個人の飲酒習慣だけでなく、市場全体も縮んでいます。

国税庁の資料では、成人1人当たりの酒類消費量は平成4年度の101.8Lがピークでした。その後は減少傾向が続き、令和5年度の全国平均は75.6Lです。

単純計算でも、ピーク時から4分の1近く減っています。若年層の飲酒習慣の低下だけで説明できる話ではありませんが、少なくとも「酒を飲むことが日常の前提だった時代」からは距離が出ています。

いま多い酒類は何か

令和5年度の全国平均では、品目別では次の順でした。

  • ビール: 21.5L
  • リキュール: 19.7L
  • スピリッツ等: 8.3L
  • 発泡酒: 7.2L
  • 清酒: 3.8L

ここで目立つのは、清酒よりビールやリキュール類の比重が大きいことです。若者の酒離れを「日本酒を飲まなくなった話」だけで捉えると、酒類全体の変化を狭く見すぎます。実際には、飲む量そのものが縮みつつ、選ばれる酒の種類も変わっています。

ここまでの数字から言えること、言えないこと

まず言えることは3つです。

  • 20代は他の年代より習慣飲酒がかなり少ない
  • 酒類全体の成人1人当たり消費量も長期で減っている
  • それでも、飲む20代の一部には1回量の多い飲み方が残っている

逆に、数字だけでは断定できないこともあります。

  • 20代が飲まなくなった理由を、物価高、健康志向、車離れ、職場の飲み会減少のどれか1つに絞ること
  • 消費量の減少分が、そのまま若者だけの変化だと言い切ること
  • 「飲まない若者が増えた」ことと「アルコール関連リスクが小さくなった」ことを同一視すること

読むときの注意点

このテーマは、年次や定義の違いを無視すると誤読しやすいです。

  • 国民健康・栄養調査は、2003年以降の「飲酒習慣者」定義で追うのが基本。それ以前は調査手法が違い、単純比較は難しい
  • 令和6年調査は全国補正値が使われており、単純な人数比と割合が一致しない
  • 飲酒頻度の選択肢は年によって細かな表記差があり、頻度分布を厳密に横並びする際は注意がいる
  • 国税庁の令和5年度「全国平均」は沖縄県分を含まない

これから見るべき点

若者の酒離れは、現時点ではかなり明確です。ただし、注目点は「若者が飲むか飲まないか」だけでは足りません。

今後見るなら、次の3点が重要です。

  • 20代の習慣飲酒率がこのまま1桁前半で定着するか
  • 飲酒者の中で、少人数でも高リスク飲酒がどこまで残るか
  • ビール、リキュール、スピリッツなど酒類の構成変化がさらに進むか

酒量の減少と酒類構成の変化は、外食、家飲み、健康行動の変化までつながります。次に追うべきなのは、「若者が飲まなくなった」という一言ではなく、誰が、どの頻度で、どの種類を、どの量だけ飲んでいるのかです。

参照リンク

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