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弁当・惣菜はどれだけ増えたのか 家計調査と市場データで見る中食の現在地

弁当・惣菜はどれだけ増えたのか 家計調査と市場データで見る中食の現在地

弁当や惣菜の利用は、長い目で見ると確かに増えています。総務省統計局の家計調査では、「中食」に当たる調理食品の実質購入額は1987年から2016年にかけて70.2%増えました。

ただし、直近は少し見え方が違います。2025年の家計調査では、二人以上の世帯の「調理食品」支出は月1万3580円で前年より増えた一方、物価を除いた実質では1.2%減でした。増えているのは事実ですが、足元では価格上昇込みの名目拡大をかなり含んでいます。

  • 2025年の「調理食品」支出は月1万3580円。2024年の1万2998円から582円増
  • ただし2025年の実質増減率はマイナス1.2%。数量ベースでは強い伸びとは言いにくい
  • 長期では「中食」は拡大傾向。1987年比で2016年は実質70.2%増
  • 市場規模ベースでは2025年の惣菜市場は11兆7075億円で過去最大

ここがポイント: 弁当・惣菜は長期では広がったが、直近の増加分は「利用量の純増」だけでなく「値上がり」の影響も大きい。

目次

使ったデータと見方

今回の中心データは次の2本です。

  • 総務省統計局「家計調査」
  • 2025年平均結果は2026年3月10日公表
  • 2024年平均結果は2025年2月7日公表
  • 主に全国の二人以上の世帯の1世帯当たり月平均支出を見る
  • 一般社団法人日本惣菜協会の惣菜市場規模
  • 2025年市場規模は2026年4月14日公表
  • 2024年市場規模は2025年5月19日公表

ここでいう「中食」は、家計調査ではおおむね「調理食品」を指します。弁当、すし(弁当)、おにぎり、調理パン、各種惣菜など、買ってすぐ食べられる食品の支出を見るのに向いた区分です。

まず最新の1年で見る

2025年の家計調査では、二人以上の世帯の食料費は月9万4895円でした。このうち調理食品は月1万3580円です。

2024年と並べるとこうなります。

項目 2024年 2025年 増減
調理食品 12,998円 13,580円 +582円(名目 +4.5% / 実質 -1.2%)
外食 15,633円 16,563円 +930円(名目 +5.9% / 実質 +1.8%)
食料全体 89,951円 94,895円 +4,944円(名目 +5.5% / 実質 -1.2%)

この表から分かるのは、次の3点です。

  • 調理食品への支出額は増えた
  • ただし、食料全体と同じく実質では減っている
  • 2025年は中食よりも外食のほうが実質では強かった

つまり、2025年だけを切り出すと「弁当や惣菜の利用が勢いよく増えた」とまでは言いにくいです。家計が払った金額は増えたが、物価上昇を差し引くと中身は弱いというのが直近の答えです。

長期で見ると中食シフトははっきりしている

一方で、長期の流れはかなり明確です。総務省統計局の家計ミニトピックスでは、二人以上の世帯の1人当たり食料の実質購入額指数を1987年と2016年で比較し、中食は70.2%増、内食は19.6%減、外食はおおむね横ばいと整理しています。

この30年で、家庭の食卓は次の方向に動きました。

  • 食材を買って一から作る比重は下がった
  • 出来上がった食品を買う比重は上がった
  • 外食だけが伸びたのではなく、家で食べるための調理済み食品が増えた

弁当系の比重が上がった

調理食品の内訳でも変化があります。1987年と2016年を比べると、調理食品に占める「主食的調理食品」の構成比は25.2%から41.8%へ上昇しました。

その中でも目立つのが弁当系です。

  • 弁当類の構成比: 18.8% → 27.2%
  • 調理パンの構成比: 3.6% → 4.4%
  • 他の主食的調理食品: 2.7% → 10.2%

ここでいう主食的調理食品は、弁当、すし(弁当)、おにぎり、調理パンなどです。惣菜の中でも、主菜だけを足すより、一食分として完結しやすい商品が伸びてきたことが分かります。

市場規模データではどう見えるか

業界団体の市場推計でも、中食市場の大きさ自体は拡大しています。

日本惣菜協会によると、惣菜市場規模は次の通りです。

  • 2024年: 11兆2882億円、前年比2.8%増
  • 2025年: 11兆7075億円、前年比3.7%増

2025年は過去最大です。さらに同協会は、2006年からの20年間で市場は1.49倍になったとしています。

ただし、この数字はそのまま「食べる量が同じ比率で増えた」とは読めません。日本惣菜協会自身も、2024年については価格上昇に伴う名目拡大の可能性に触れています。家計調査でも2025年の調理食品は実質マイナスでしたから、両方を合わせて見ると、近年の伸びはかなり価格要因を含んでいると見るのが自然です。

弁当寄りのカテゴリーも大きい

2024年の惣菜市場をカテゴリー別にみると、最大は米飯類で4兆9479億円でした。これは前年比2.7%増です。

米飯類には弁当やおにぎりなどが含まれるため、惣菜市場の中でも食卓の主役に近い領域が大きいことが分かります。惣菜市場全体が伸びても、副菜だけが増えているのではありません。主食込みの中食が市場の中心です。

ここから何が読み取れるか

数字から言えることを絞ると、見えてくるのは次の点です。

  • 長期では、中食は日本の食卓で存在感を強めてきた
  • その中でも、弁当やおにぎりのような主食系の比重が上がった
  • 直近1〜2年は、市場規模や支出額は増えても、実質では弱い場面がある
  • したがって「利用が増えた」というより、利用の定着に価格上昇が上乗せされたと見るほうが現状に近い

背景として、単身世帯の増加、共働き、高齢化、食材高などを挙げる説明は多くあります。実際、日本惣菜協会もそうした見方を示しています。

ただし、今回使った家計調査だけでは、「どの要因が何割効いたか」までは切り分けられません。ここは事実と解釈を分けておく必要があります。

読むときの注意点

このテーマは、数字の見方を少し間違えやすいです。

  • 家計調査の中心は二人以上の世帯で、単身世帯の動きは別集計
  • 家計調査の「調理食品」は金額データなので、利用回数や食数そのものではない
  • 2025年1月から家計調査の収支項目分類が改定されている
  • 2018年には家計簿の改正もあり、長期時系列は機械的に一本線で読むとズレることがある
  • 市場規模データは業界団体の推計で、公的統計とは集計方法が違う

特に2025年以降は、分類改定後のデータです。統計局は2024年以前の値を新分類に合わせて接続していますが、細かい品目を長く比べるときは定義差を確認したほうが安全です。

今後見るべきポイント

次に確認したいのは、金額ではなく中身です。

  • 2026年以降に調理食品の実質がプラスへ戻るか
  • 米飯類や弁当系が、値上げ後も市場シェアを保つか
  • 単身世帯を含めたときに中食依存がさらに強まるか
  • 外食回復と中食定着のどちらが強いのか

金額だけを見ると、中食はまだ伸びています。ですが、食卓の変化を正確に読むなら、次に見るべきなのは「いくら使ったか」より「実質でどこまで維持できているか」です。

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