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コーヒー需要は増えたのか 家計調査で見る家庭用・喫茶店・持ち帰り需要の変化

コーヒー需要は増えたのか 家計調査で見る家庭用・喫茶店・持ち帰り需要の変化

結論から言うと、家計がコーヒーに使うお金は増えています。ただし、増え方は一様ではありません。家庭でいれるコーヒー、喫茶店で飲むコーヒー、持ち帰りや缶・ペットボトルのコーヒーでは、伸び方が違います。

もう一つ大事なのは、支出額の増加がそのまま「飲む杯数の増加」を意味しないことです。2025年1月に家計調査の収支項目分類が改定されており、長期で同じ物差しで追いやすいのは2024年までの系列です。そこでこの記事では、2024年までの比較可能な家計調査の品目系列を軸に見ます。

  • 家庭用コーヒー支出は2024年に1世帯当たり7,890円で、2000年以降の最高水準
  • コーヒー飲料支出は5,619円で、こちらも2000年以降の最高水準
  • 喫茶代は9,837円で、3項目の中では伸びが最も目立つ
  • ただし、コンビニコーヒーだけを公的統計で切り出すことは難しい
目次

使ったデータと、この記事での見方

今回の中心データは総務省統計局の家計調査です。見る指標は次の3つです。

  • 「コーヒー」: レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーなど、液体以外の家庭向け購入
  • 「コーヒー飲料」: コーヒーを主原料とした液体飲料。喫茶店やレストランで買った分は含まれない
  • 「喫茶代」: 喫茶店などでの支出

総務省の家計ミニトピックスでも、喫茶店や飲食店等で飲むコーヒーは外食に分類され、コーヒー飲料には含まれないと整理されています。つまり、家庭用と店内飲食は統計上かなり分けて見られます。

一方で、コンビニ需要は少し厄介です。公的統計には「コンビニコーヒー」単独の全国時系列がありません。そのため本記事では、持ち帰り系・手軽飲用の近い指標として「コーヒー飲料」を使います。これはコンビニ専用の数字ではなく、自販機やスーパーなどで買う液体コーヒーも含みます。

ここがポイント: 「コーヒー支出は増えた」が答えです。 ただし実態は、家庭用が底堅く伸び、喫茶店が強く戻り、コンビニを含む持ち帰り系は緩やかに増えた、という3本立てで見るのが正確です。

2024年までの主要数値

2024年の1世帯当たり年間支出額は次の通りです。

項目 2024年 2019年 増減
コーヒー 7,890円 6,379円 +23.7%
コーヒー飲料 5,619円 5,002円 +12.3%
喫茶代 9,837円 7,833円 +25.6%
3項目合計 23,346円 19,214円 +21.5%

2024年は3項目すべてで2019年を上回りました。しかも、コーヒー、コーヒー飲料、喫茶代のいずれも、公開されている2000年代以降の系列では高い水準です。

どこが一番伸びたのか

家庭用コーヒーは、コロナ期の押し上げがそのまま高止まり

家庭用の「コーヒー」支出は、2019年の6,379円から2020年に7,224円へ跳ね、その後も2021年7,228円、2022年7,493円、2023年7,642円、2024年7,890円と高い水準を保ちました。

ここでは、家で飲む習慣がコロナ期に強まり、その後も完全には元に戻っていない様子が見えます。

二人以上世帯の購入数量データでも、コーヒーの年間購入量は2014年の2,388グラムから2020年には2,756グラムへ増えました。平均価格は同じ期間に100グラム当たり238.69円から253.57円へ上がっています。少なくとも2020年までの家庭用需要は、価格だけでなく量の面でも増えていました。

喫茶店は、戻り方が最も大きい

喫茶代は2019年の7,833円から、2021年には6,210円まで落ちました。その後は2022年7,527円、2023年9,123円、2024年9,837円です。

この動きははっきりしています。

  • コロナ期にいったん落ち込んだ
  • 2022年以降に強く戻った
  • 2024年は2019年を大きく上回った

3項目の中で回復と拡大が最も目立つのは喫茶代です。店内利用の回復に加え、1杯当たり価格の上昇も効いていると考えるのが自然ですが、家計調査だけで杯数までは分かりません。

コンビニを含む持ち帰り系は、急増ではなく着実増

「コーヒー飲料」支出は2019年5,002円、2020年4,976円、2021年4,922円とやや足踏みした後、2022年4,947円、2023年5,264円、2024年5,619円と伸びました。

この系列は、喫茶代のような急反発ではありません。ただ、2024年は2019年比で12.3%高く、長期系列でも高水準です。

総務省の過去の家計ミニトピックスでは、コーヒー飲料支出の増加について、コンビニコーヒー人気が影響した可能性に触れています。現在の数字も、その延長線上で読むのが妥当です。

ただし繰り返すと、ここで見ているのは「コンビニ専用」の数字ではありません。コンビニ、スーパー、自販機などをまたいだ液体コーヒー需要の近似値です。

地域差を見ると、飲み方の文化が違う

地域差も面白いところです。総務省統計局の「2022~2024年平均」の地域別資料では、次の特徴が示されています。

  • 岐阜市と名古屋市は「喫茶代」が上位の代表格
  • 大津市は「コーヒー」の購入額で目立つ

同じコーヒー需要でも、

  • 店で飲む地域
  • 家でいれる地域

が分かれているわけです。全国平均だけを見ると「コーヒー支出は増えた」で終わりますが、地域別に見ると、伸びているチャネルの中身はかなり違うと分かります。

このデータから言えること、言えないこと

まず、言えることです。

  • 2024年までの比較可能な家計調査では、家庭用・喫茶店・持ち帰り系の3方向でコーヒー関連支出は増えている
  • 特に喫茶代の戻りが大きい
  • 家庭用はコロナ期に伸び、その後も高水準を保っている

次に、言い切れないことです。

  • 支出額が増えたからといって、飲用杯数が同じ率で増えたとは限らない
  • コンビニコーヒー単独の全国時系列としては読めない
  • 2025年から家計調査の収支項目分類が改定されたため、2024年以前との単純接続には注意が必要

2026年3月10日には、総務省が2025年平均結果を公表しています。ただし長期比較では、この分類改定をまたぐため、2024年までの旧系列を基準に見て、2025年以降は別途つなぎ直して読むのが安全です。

これから見るべきポイント

コーヒー需要の次の変化を見るなら、注目点は3つです。

  • 喫茶代が2025年以降も高止まりするか
  • コーヒー飲料がさらに伸びて、持ち帰り系が外食回復と並ぶ柱になるか
  • 家庭用コーヒーが価格上昇の中でも数量を維持できるか

今のところ、数字が示しているのは「コーヒー離れ」ではありません。むしろ、家で飲む、店で飲む、持ち帰る、の3方向に需要が分かれながら残っている状態です。

次に見るべきなのは、需要の有無ではなく、どの場面に支出が移っているかです。そこが変われば、コーヒー市場の勝ち筋も変わります。

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