外食費はどれくらい増えたのか?チェーン店価格の年次変化を分析
外食費は、かなり増えています。総務省統計局の消費者物価指数(CPI)で見ると、外食全体の指数は2026年2月に118.6で、2020年平均を100とする基準からみて約19%高い水準です。一般外食に限ると121.0で、上がり方はさらに大きくなります。
チェーン店で買いやすいメニューに近い品目をみると、上昇は一様ではありません。ハンバーガーやドーナツは上昇が目立つ一方、牛丼やセルフ式コーヒーのように直近では伸びが鈍い、あるいは下がった品目もあります。この記事では、全国のCPIと特別区部の小売物価統計調査を使い、外食費の上がり方を分けて見ます。
- 全国の外食CPIは2026年2月に 118.6、一般外食は 121.0
- 代表的な外食メニューでは、ドーナツ 136.2、ハンバーガー 129.7、牛丼 126.8 まで上がっている
- 特別区部の2026年1月の小売価格は、ハンバーガー241円、牛丼482円、喫茶店のコーヒー622円
- ただし、企業別の店頭価格そのものではなく、統計上の代表銘柄や指数として読む必要がある
使用データと比較のしかた
今回使ったのは、次の2つです。
- 総務省統計局の消費者物価指数(CPI)
- 総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)
CPIは、2020年平均を100とした指数です。たとえば118.6なら、2020年平均より18.6%高い水準という意味になります。金額そのものではなく、水準の変化を追うデータです。
一方、小売物価統計調査は価格そのものを追います。今回参照した特別区部データは2026年1月時点の価格で、都市ごとの差が入りやすい代わりに、読者が金額感をつかみやすいのが利点です。
ここがポイント: 全国の動きを見るならCPI、実際の値札に近い感覚をつかむなら小売物価統計調査、という使い分けが必要です。
まず全国の外食全体はどれくらい上がったのか
全国のCPIでは、外食全体は次のように上がっています。
- 2020年1月: 100.2
- 2025年1月: 114.0
- 2026年2月: 118.6
2020年1月と比べると、2025年1月の時点で約13.8%上昇、2026年2月では約18.4%上昇です。基準の取り方が月次と年平均で完全には一致しない点には注意が必要ですが、この数年で外食全体が1割台後半まで上がったという流れははっきりしています。
さらに、外食の中でも「一般外食」は2026年2月に121.0でした。学校給食を含む外食全体より高く、外で食べる通常のメニューほど値上がりが前に出ています。
上がり方が大きいメニュー
2026年2月のCPIで目立つのは次の品目です。
- ドーナツ(外食): 136.2 2020年平均比で約36%高い水準。外食カテゴリの中でも上昇が大きい
- ハンバーガー(外食): 129.7 2020年平均比で約30%高い水準。前年同月比でも +5.36%
- 牛丼(外食): 126.8 2020年平均比で約27%高い水準。ただし直近の前年同月比は +1.68%と比較的落ち着いている
- コーヒー(外食)A: 118.0 2020年平均比で約18%高い水準。食事系より上昇幅は小さい
- フライドチキン(外食): 124.0 水準は高いが、直近の前年同月比は 0.00%
この並びを見ると、同じ「チェーン店で買いやすい外食」でも差があります。値上がりの勢いが続いている品目と、すでに値上げが一巡している品目が混ざっているということです。
実際の値札に近い価格はどう見えるか
特別区部の小売物価統計調査の2026年1月データでは、代表的な外食メニューの価格はこうなっています。
- ハンバーガー(外食): 241円、前年同月比 +4.8%
- 牛丼(外食): 482円、前年同月比 -2.2%
- コーヒー(外食)(喫茶店): 622円、前年同月比 +3.8%
- コーヒー(外食)(セルフサービス店): 294円、前年同月比 -2.3%
- やきとり(外食): 189円、前年同月比 +8.0%
ここでも差が出ています。ハンバーガーは前年より上がっているのに、牛丼は下がっています。喫茶店のコーヒーは上がっている一方、セルフサービス店は下がっています。
つまり、読者が店頭で感じる「外食は全部同じように高くなった」という印象は、統計ではそのまま通りません。チェーンの値上げは一方向ではなく、業態ごとに速度が違うと読むのが自然です。
なぜメニューごとに差が出るのか
統計だけで因果関係を断定はできませんが、読み取れる範囲はあります。
食材と人件費の影響が同じではない
ハンバーガー、ドーナツ、定食類は、原材料だけでなく人件費や店舗運営費の影響も受けます。指数の上昇が続いている品目は、そうしたコストを価格へ反映しやすかった可能性があります。
値上げの余地に差がある
牛丼やセルフ式コーヒーのように、日常使いされやすく価格競争が強い品目は、直近の上昇率が比較的小さく見えます。水準そのものは2020年より高くても、直近1年では上げ幅を抑えていると読めます。
「高い」と感じる品目は、上昇率だけでは決まらない
喫茶店のコーヒーは指数の伸びがハンバーガーほど大きくなくても、1杯あたりの支払額は622円です。支払額が大きい品目は、上昇率が中程度でも家計に重く感じやすいです。
このデータを読むときの注意点
企業別の価格表ではない
この記事で使ったのは、公的統計の代表品目と代表銘柄です。企業名ごとのメニュー価格を並べたものではありません。たとえば、e-Statの小売物価統計調査では、ハンバーガー(外食)は「ハンバーガー店におけるチーズバーガー、持ち帰りは除く」という銘柄で調査されています。
全国CPIと特別区部の価格は役割が違う
全国CPIは全国平均の動きを見るのに向きます。特別区部の価格は、東京の中心部に近いエリアの値札であり、地方都市や郊外の感覚とはずれることがあります。
更新時期がそろっていない
今回確認できた最新値は、CPIが2026年2月分、特別区部の小売価格が2026年1月分です。同じ月ではないので、厳密な同月比較ではありません。
いま外食費を見るなら、どこを追うべきか
外食費の上昇は、すでに「一時的な値上がり」の段階を超えています。全国の外食CPIは2020年平均より2割近く高く、ハンバーガーやドーナツのような品目はそれ以上です。
その一方で、牛丼やセルフ式コーヒーのように直近では伸びが鈍い品目もあります。これから見るべきなのは、外食全体がさらに上がるかだけではなく、低価格帯の定番メニューまで再び上がり始めるかです。そこが動くと、家計の「昼食代がじわじわ重い」という感覚は、もっとはっきり数字に表れます。
