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テレワークは結局どこまで残ったのか 2019年から2025年の公的データで見る定着の実態

テレワークは結局どこまで残ったのか 2019年から2025年の公的データで見る定着の実態

テレワークは、コロナ禍のピークほどではないものの、日本の働き方に一定程度は残りました。ただし「全国で広く定着した」というより、首都圏と一部業種に強く残り、地方や現場型の仕事では限定的というのが、直近の公的データから見える姿です。

国土交通省の最新調査では、2025年度の雇用型テレワーカー割合は25.2%、直近1年間の実施率は16.8%でした。2019年度より高い水準を保つ一方、2021年度前後のピークからは下がっており、いま主流なのは全面在宅ではなく、出社と組み合わせる働き方です。

  • 結論は、「定着したが、全員に広がったわけではない」
  • 最新の直近1年間実施率は全国16.8%、首都圏28.1%、地方都市圏9.8%
  • 雇用型テレワーカー割合は2019年度14.8%→2021年度27.0%→2025年度25.2%
  • 情報通信業は高水準だが、宿泊業・飲食業や医療・福祉では低い
目次

使用データと比較の前提

今回使う主なデータは、国土交通省の「テレワーク人口実態調査」です。全国の就業者を対象にしたWEB調査で、2024年度は2024年10月、2025年度は2025年10月から11月にかけて、いずれも有効サンプル数4万人で実施されています。

この記事では、似ているようで意味が違う3つの指標を分けて見ます。

  • 雇用型テレワーカー割合:雇用されて働く人のうち、これまでテレワークをしたことがある人の割合
  • 直近1年間のテレワーク実施率:この1年に実際にテレワークした人の割合
  • 制度等に基づく雇用型テレワーカー割合:勤務先に制度や許可がある形でテレワークした人の割合

ここを混ぜると、2019年と直近を誤って比べやすくなります。特に2019年度の報道発表で目立つ9.8%は、いまのトップラインでよく使われる「雇用型テレワーカー割合」ではなく、制度に基づく実施率です。

まず結論を数字で見る

短く言えば、テレワークは「残った」が、「コロナ禍の勢いのまま広がり続けた」わけではありません。

これまでにテレワークしたことがある人の割合

雇用型テレワーカー割合の全国値は、次の流れです。

  • 2019年度:14.8%
  • 2020年度:23.0%
  • 2021年度:27.0%
  • 2022年度:26.1%
  • 2023年度:24.8%
  • 2024年度:24.6%
  • 2025年度:25.2%

2020年度に急増し、2021年度にピークを付けたあと、24%台まで下がりました。ただ、2019年度の14.8%には戻っていません。「一気に広がって、その後に少し縮んだが、前より高いところで残った」と整理するのが自然です。

直近1年間に実際にやった人の割合

より実態に近いのは、直近1年間の実施率です。

  • 2019年度時点の推計値:14.8%
  • 2020年度:21.4%
  • 2021年度:18.8%
  • 2022年度:16.1%
  • 2023年度:15.6%
  • 2025年度:16.8%

2025年度は前年から1.2ポイント上がりました。とはいえ、2020年度の21.4%には届いていません。ここから見えるのは、緊急対応としての急拡大は終わったが、完全には元に戻っていないということです。

ここがポイント: テレワークは「消えた」のではなく、全国で約6人に1人がこの1年に実施する働き方として残っています。ただし、その残り方は地域と業種でかなり違います。

地域差はまだ大きい

全国平均だけを見ると、定着したのか後退したのか判断しにくくなります。差が大きいのは地域です。

2025年度の地域別データ

雇用型テレワーカー割合は次の通りです。

  • 首都圏:37.7%
  • 近畿圏:25.0%
  • 中京圏:22.8%
  • 地方都市圏:17.2%
  • 全国:25.2%

直近1年間の実施率でも差は残ります。

  • 首都圏:28.1%
  • 近畿圏:15.6%
  • 中京圏:14.3%
  • 地方都市圏:9.8%
  • 全国:16.8%

首都圏の28.1%に対し、地方都市圏は9.8%です。同じ「日本のテレワーク」と言っても、首都圏と地方ではかなり別の景色になっています。

これは、都市部ほど情報通信、専門サービス、本社管理部門の比重が高く、反対に地方では対面や現場が前提の仕事の比重が高いことと無関係ではありません。ただし、ここから因果関係まで断定はできません。公的調査が示しているのは、まず地域差の事実です。

残ったのは「全面在宅」ではなくハイブリッド

2024年度調査では、国土交通省が「週1~4日テレワーク」が定着傾向と整理しています。実施頻度はピーク時より下がったものの、平均日数はなお週2日以上の水準を保っています。

つまり、残ったのは毎日自宅で働く形より、次のような形です。

  • 会議や調整が多い日は出社する
  • 集中作業の日だけ在宅にする
  • 通勤負担が大きい職場で週1〜2日だけ続ける

この変化は、読者の体感とも重なりやすいはずです。出社回帰が進んだ企業でも、テレワークが完全廃止ではなく、一部維持にとどまる例が多いと考えやすい数字です。

どの仕事で残り、どの仕事で残りにくいのか

2025年度調査の業種別データでは、差がかなりはっきりしています。

  • 情報通信業:74.1%
  • 学術研究、専門・技術サービス業:54.0%
  • 宿泊業・飲食業:6.0%
  • 医療・福祉:6.4%

ここで重要なのは、低い業種が「遅れている」と単純には言えないことです。宿泊、飲食、医療、福祉は、仕事そのものが現場で人と接する前提を持ちます。テレワークの広がりは、企業文化だけでなく、仕事内容の物理的な制約に強く左右されます。

制度としては、コロナ前よりかなり残った

制度面で見ると、テレワークはさらに残っています。2025年度は、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると答えた雇用型就業者が34.1%でした。

また、制度等に基づく雇用型テレワーカー割合は、次の推移です。

  • 2019年度:9.8%
  • 2020年度:19.7%
  • 2021年度:24.5%
  • 2022年度:22.7%
  • 2023年度:21.3%
  • 2024年度:20.9%
  • 2025年度:22.1%

実施率がピークより落ち着いた後も、制度そのものは残っています。必要な時に使える選択肢として社内に残った企業が少なくない、と読める部分です。

ここは誤読しやすい

このテーマでは、数字の読み違いが起きやすいので注意点を分けておきます。

  • 「これまでにしたことがある人」と「この1年で実際にした人」は別の指標
  • 2019年度の9.8%は制度ベースの指標で、25.2%とそのまま横並び比較はできない
  • 地域別データは、居住地の取り方が年度で一部異なる
  • WEB調査なので、回答行動の偏りが完全になくなるわけではない
  • 業種差が大きいため、全国平均だけで職場実感を判断しにくい

生活と地域を見るうえでの注目点

テレワークを働き方の話だけで終わらせないなら、次に見るべきは通勤、オフィス需要、昼間人口、地域消費です。首都圏で28.1%、地方都市圏で9.8%という差が残るなら、駅前商業、住宅選び、通勤定期、平日の人の流れにも差が出続ける可能性があります。

次の注目点はシンプルです。

  • 首都圏の実施率が再び上向くのか
  • 地方都市圏で1割前後の水準が広がるのか
  • 制度は残るが実施は減る状態が続くのか
  • ハイブリッド前提で通勤やオフィスがどう変わるのか

テレワークの答えは、もはや「あるかないか」ではありません。誰が、どこで、どの仕事なら続いているのかを見ないと、実態をつかみにくい段階に入っています。

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