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家庭ごみは本当に減っているのか 全国データで見る排出量とリサイクル率の推移

家庭ごみは確かに減った ただしリサイクル率は上がっていない

日本のごみ排出量は、最新の環境省調査でも減少が続きました。2026年3月27日に公表された令和6年度の全国データでは、ごみ総排出量は3,811万トン、家庭系ごみ排出量は2,117万トンで、どちらも前年度を下回っています。

ただし、同じ調査でリサイクル率は19.3%まで低下しました。結論を先に言えば、「捨てる量は減っている」が、「資源として戻せる割合は強く伸びていない」というのが今の姿です。

  • 最新の全国値は令和6年度、ごみ総排出量3,811万トン、家庭系ごみ2,117万トン
  • 1人1日あたりの家庭系ごみは466グラムで、前年度475グラムから減少
  • リサイクル率は19.3%で、前年度19.5%から低下
  • ごみ減少と資源循環の改善は、同じ動きではない
目次

使ったデータと比較条件

今回見たのは、環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等」です。対象は全国の一般廃棄物で、主に家庭から出る家庭系ごみと、事業所から出る事業系ごみを含みます。

比較の前提は次の通りです。

  • 最新値は令和6年度分。公表日は2026年3月27日
  • 直近比較は令和3年度から令和6年度の4年推移
  • 長めの比較では、環境省の過年度資料を使って2014年度や2015年度の水準も確認
  • 平成23年度以降は、国庫補助による災害廃棄物の処理量や経費を除外
  • リサイクル率は、中間処理後再生利用量からRDF・RPFや焼却灰のセメント原料化などを差し引く現在の定義に基づく

ごみ総排出量は「計画収集量 + 直接搬入量 + 集団回収量」の合計です。単純に焼却ごみ袋の量だけを見た数字ではありません。

まず最新値を見る

足元の変化ははっきりしています。排出量は減っています。

  • ごみ総排出量: 3,811万トン(前年度3,897万トン、2.2%減)
  • 1人1日あたりごみ排出量: 839グラム(前年度851グラム、1.5%減)
  • 家庭系ごみ排出量: 2,117万トン(前年度2,175万トン、2.7%減)
  • 1人1日あたり家庭系ごみ排出量: 466グラム(前年度475グラム、1.9%減)
  • 総資源化量: 738万トン(前年度763万トン、3.4%減)
  • リサイクル率: 19.3%(前年度19.5%)

家庭ごみまで含めて減っているので、「事業系だけが落ちた」という話ではありません。一方で、資源化量も減っており、そこがリサイクル率の伸び悩みにつながっています。

ここがポイント: 家庭ごみの量は減っているのに、リサイクル率は上がっていません。減量と資源循環は、別々に確認しないと実態を見誤ります。

直近4年の推移

短い期間でも傾向はかなり明確です。ごみは減少基調ですが、リサイクル率はむしろじわっと下がっています。

年度 ごみ総排出量 家庭系ごみ排出量 1人1日あたり家庭系ごみ リサイクル率
令和3年度 4,095万トン 本文確認値なし 本文確認値なし 19.9%
令和4年度 4,034万トン 2,275万トン 496グラム 19.6%
令和5年度 3,897万トン 2,175万トン 475グラム 19.5%
令和6年度 3,811万トン 2,117万トン 466グラム 19.3%

この4年だけ見ても、家庭系ごみは2,275万トンから2,117万トンへ減りました。差は158万トンです。1人1日あたりでも30グラム減っています。

一方、リサイクル率は19.9%から19.3%へ0.6ポイント低下しました。大きく崩れたわけではありませんが、少なくとも「ごみが減ったぶん、資源循環も前進した」とは言いにくい並びです。

10年前と比べるとどうか

長めに見ると、減量の流れはもっとはっきりします。

ごみ総排出量は1割超減った

2015年度のごみ総排出量は4,398万トンでした。令和6年度の3,811万トンと比べると、587万トン減っています。率にすると約13.3%減です。

家庭ごみも減った

環境省の2014年度版資料では、うち家庭排出ごみは2,435.3万トンでした。令和6年度の家庭系ごみ排出量2,117万トンと比べると、約318万トン減っています。こちらも約13%の減少です。

家庭ごみの減少は、全国計で見ても一時的なぶれではなく、10年単位の流れとして確認できます。

それでもリサイクル率は伸びていない

2015年度のリサイクル率は20.4%でした。令和6年度は19.3%です。10年で1.1ポイント低下しています。

つまり、「ごみの総量を減らすこと」では進んだが、「出たごみを再資源化する比率を高めること」では足踏みしている、という見方が妥当です。

ここから何が読み取れるか

データから言えることと、言い切れないことは分けておいたほうがいいです。

データから言えること

  • 全国のごみ総排出量は減少傾向にある
  • 家庭系ごみも減少している
  • 1人あたりで見ても減っているので、人口減少だけでは説明しきれない
  • リサイクル率は20%前後で横ばいからやや低下の動きにある

この数字だけでは言い切れないこと

  • ごみ減少の原因が、節約意識なのか、商品包装の変化なのか、紙媒体の縮小なのか
  • リサイクル率低下の主因が、分別の変化なのか、回収量の減少なのか、資源物の市場環境なのか
  • 自治体ごとの有料化や分別制度の違いが、全国値にどれだけ効いたのか

全国統計は全体像の確認には向いていますが、原因の切り分けには市区町村別データや品目別データが必要です。

なぜ「減ったのにリサイクル率が上がらない」のか

ここは誤読しやすい部分です。ごみが減れば、必ずリサイクル率が上がるわけではありません。

考えられる見方はあります。

  • 紙や布など、比較的資源化しやすいもの自体の発生が減った
  • 分別回収される量より、全体の排出減少や資源物減少の影響が大きかった
  • 資源化量も同時に減っているため、率として押し上がりにくい

ただし、これらは全国集計だけで因果関係を断定できません。記事として大事なのは、減量とリサイクルを一つの成果指標としてまとめないことです。

注意して見たい限界

このテーマでは、数字の読み方に注意点があります。

  • 家庭系ごみと生活系ごみは完全に同じ言い回しではなく、資料によって表記が違う
  • 年度によって公表資料の載せ方が異なり、本文で家庭系ごみを直接示す年と、詳細表で確認する年がある
  • リサイクル率は定義上、燃料化やセメント原料化の一部を差し引いて計算している
  • 災害廃棄物の扱いは平成23年度以降で整理が入っている
  • 外国人人口の扱いなど、1人あたり指標の前提も過年度でそろわない部分がある

そのため、超長期の比較ほど「同じ物差しで一直線に比べられる」とは限りません。今回は、まず最新値と直近の連続した傾向を重視して読みました。

生活と自治体を見るうえでの注目点

この数字が意味するのは、単に「ごみが減ってよかった」で終わらないということです。

自治体や住民の視点では、次の点を分けて見る必要があります。

  • ごみ袋有料化や分別強化で、排出量そのものが減っているのか
  • 資源物回収の仕組みが維持できているのか
  • 焼却や最終処分への依存をどこまで下げられているのか
  • 家庭ごみ削減が、食品ロスや紙類の減少など、どの品目で進んでいるのか

今後の見どころはシンプルです。家庭ごみの減少が続くかと、リサイクル率が20%前後の停滞から抜け出せるか。この2本を別々に追うと、日本のごみ政策の実力が見えやすくなります。

参照リンク

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