離婚件数は増えているのか減っているのか 2024年の最新値と家族構成の変化をデータで確認
離婚件数は、長い目で見れば減少傾向です。最新の年計で確認できる2024年は18万5895組で、2023年よりはわずかに増えましたが、2002年の28万9836組には届きません。
つまり、答えは単純な「増えている」でも「減っている」でもありません。足元では小幅増、長期では減少。そのうえで国勢調査を見ると、家族の形は別の方向でも変わっており、夫婦と子どもの世帯は減り、ひとり親世帯や単独世帯の比重が高まっています。
- 最新の年計で確認できる離婚件数は2024年の18万5895組
- 2023年比では1.1%増だが、2002年のピーク比では35.9%減
- 2024年の離婚率は人口千対1.55で、2002年の2.30より低い
- 家族構成では、2020年国勢調査で「夫婦と子供から成る世帯」が減り、「ひとり親と子供から成る世帯」と「単独世帯」が増えている
使ったデータと比較条件
今回の確認に使うのは、次の公的データです。
- 厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」
- 離婚件数、離婚率の年次推移を確認
- 2024年が、2026年5月7日時点で確認できる最新の通年値
- 総務省統計局「2020年国勢調査」
- 配偶関係別人口
- 世帯の家族類型別一般世帯数
ここで注意したいのは、データの対象が少し違うことです。
- 人口動態統計の離婚件数は、その年に届け出られた離婚の件数
- 国勢調査の「離別」人口は、調査時点で配偶者と離別して独身の状態にある人
- 「ひとり親と子供から成る世帯」は、離婚だけでなく死別や未婚を含む
同じ「家族の変化」を見ていても、指している範囲は同じではありません。ここを混ぜないことが大事です。
離婚件数は最新でもピークよりかなり少ない
結論から言うと、離婚件数は2000年代前半の高水準から下がっています。
2024年の離婚件数は18万5895組でした。2023年の18万3814組より2081組増え、増加率は1.1%です。1年だけ見ると増えましたが、長期で見ると流れは違います。
主な節目を並べると、動きが見えやすくなります。
- 2002年: 28万9836組
- 2019年: 20万8496組
- 2022年: 17万9099組
- 2023年: 18万3814組
- 2024年: 18万5895組
2002年のピークから2024年までは、10万3941組減りました。率にすると35.9%減です。
人口あたりで見ても下がっている
人口減少の中では、件数だけだと実感を誤りやすくなります。そこで離婚率も見ると、傾向は同じです。
- 2002年の離婚率: 人口千対2.30
- 2022年の離婚率: 人口千対1.47
- 2023年の離婚率: 人口千対1.52
- 2024年の離婚率: 人口千対1.55
2024年は2023年より少し上がりましたが、2002年よりかなり低い水準です。人口あたりで見ても、長期では減少局面といえます。
ここがポイント: 2024年の離婚件数は前年より少し増えました。ただし、日本全体で見ると、離婚は2000年代前半ほど多くありません。長期トレンドは減少です。
家族構成はどう変わったのか
離婚件数がピークから減っていても、家族構成が昔に戻っているわけではありません。2020年国勢調査では、世帯の形そのものが変わっています。
夫婦と子どもの世帯は減少
一般世帯のうち、「夫婦と子供から成る世帯」は2015年の1428万8203世帯から、2020年は1394万9190世帯に減りました。
割合でも、
- 2015年: 26.9%
- 2020年: 25.1%
と低下しています。
この数字が示すのは、子どもがいる標準的な家族像としてイメージされやすい世帯が、全体の中で小さくなっていることです。
ひとり親世帯は少し増えた
「ひとり親と子供から成る世帯」は、2015年の474万7976世帯から2020年は500万2541世帯へ増えました。
- 増加数: 25万4565世帯
- 増加率: 5.4%増
- 割合: 8.9%から9.0%へ上昇
増え方は急ではありませんが、減ってもいません。離婚だけが理由ではないものの、家族の形が一方向ではないことは読み取れます。
単独世帯の増加がいちばん大きい
より大きく増えているのは単独世帯です。
- 2015年: 1841万7922世帯
- 2020年: 2115万1042世帯
- 増加率: 14.8%増
- 割合: 34.6%から38.1%へ上昇
家族構成の変化を考えるとき、離婚だけを切り出すと全体像を見失います。日本の世帯構造では、ひとり親世帯の増加よりも、単独世帯の拡大のほうが目立つからです。
「離別」人口はむしろ増えている
件数ではなく、人の状態を見ると別の景色も見えます。
2020年国勢調査で、15歳以上人口のうち「離別」は644万1086人でした。2015年の603万7950人から40万3136人増えています。
男女別にみると、2020年は次の通りです。
- 男性の「離別」: 251万1963人、15歳以上男性の4.7%
- 女性の「離別」: 392万9123人、15歳以上女性の6.8%
女性のほうが人数も割合も高く、国勢調査の説明でも「死別」と「離別」の割合は女性が高いとされています。
なぜ件数が減っても離別人口は増えるのか
ここは誤読しやすい部分です。
- 離婚件数は、その年のフロー
- 離別人口は、離別状態にある人のストック
毎年の新規の離婚が減っても、過去に離婚した人が社会の中に積み上がれば、離別人口は増え得ます。高齢化や再婚率の動きでも見え方は変わります。
そのため、「離婚件数が減った=離別して暮らす人も減った」とは言えません。
データから言えること、言えないこと
ここまでの数字から、まず言えることを整理します。
- 離婚件数は2024年に前年より少し増えた
- ただし長期では、2002年のピークから大きく減っている
- 家族構成では、夫婦と子どもの世帯が減り、ひとり親世帯と単独世帯が増えている
- 離別状態にある人の数は、2015年から2020年にかけて増えている
一方で、数字だけでは言えないこともあります。
- 離婚件数の増減だけで、家族の不安定化が進んだと断定すること
- ひとり親世帯の増加を、そのまま離婚増とみなすこと
- 離婚件数の減少を、家族の安定回復と断定すること
背景には、未婚化、再婚の有無、寿命の伸び、子どものいる世帯そのものの減少など、複数の要因が重なります。
読むときの注意点
このテーマは、数字の定義の違いで誤解しやすいです。確認しておきたい注意点は3つあります。
- 2024年の18万5895組は「概数」で、厚生労働省の確定数とは後でわずかにずれる可能性がある
- 国勢調査の世帯類型と、人口動態統計の離婚件数は集計単位が違う
- 2026年5月7日時点では2025年の通年年計はまだ出ておらず、最新の通年比較は2024年までになる
特に3つ目は見落としやすい点です。厚生労働省は月報年計の概数を、毎年おおむね翌年6月上旬に公表すると案内しています。
これから見るべきポイント
離婚件数は、長期の減少トレンドの中で2023年と2024年にやや持ち直しました。ただ、家族構成の変化はそれより広く、単独世帯の増加や、離別人口の積み上がりとして続いています。
今後の注目点は次の3つです。
- 2025年の通年値が、2024年の小幅増を続けるのか
- ひとり親世帯の増加が今後も続くのか
- 地域別の離婚率や世帯構成差がどこで大きいのか
「離婚は増えているのか」という問いへの答えは、2024年時点ではこうなります。短期では少し増えたが、長期では減っている。けれど家族の形は、別のかたちで確実に変わっている。 次に見るべきなのは、件数そのものより、その変化がどの地域やどの世代で表れているかです。
