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学童保育は本当に増えているのか 2025年データで見る放課後児童クラブの需要と待機の実態

学童保育は本当に増えているのか 2025年データで見る放課後児童クラブの需要と待機の実態

学童保育の利用は、増えているといってよいです。こども家庭庁によると、放課後児童クラブの登録児童数は2025年5月1日時点で157万645人となり、前年より5万693人増えて過去最多を更新しました。

しかも増えているのは利用者数だけではありません。文部科学省の学校基本調査では、小学校の在学者数は同じ2025年度に581万2,375人で過去最少です。小学生全体が減るなかで学童保育の登録は増えており、放課後の受け皿としての必要性がむしろ強まっていることが見えてきます。

  • 2025年の放課後児童クラブ登録児童数は157万645人で過去最多
  • 待機児童は1万6,330人で前年より減ったが、なお解消していない
  • 小学校在学者数は581万2,375人で過去最少。それでも学童需要は拡大
  • 需要は低学年中心だが、待機は4年生にも厚く残っている
目次

まず確認したい使用データ

今回見たのは、主に次の公的データです。

  • こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」
  • 調査時点は2025年5月1日現在
  • 登録児童数、クラブ数、待機児童数、学年別内訳、市町村別待機児童数を確認
  • 文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値」
  • 小学校在学者数の最新値を確認
  • 内閣府男女共同参画局「令和7年版男女共同参画白書」補足資料
  • 共働き世帯数の長期推移を確認

比較条件としては、全国ベースの推移を主軸にしつつ、待機児童は市町村別の偏りも見ています。なお、放課後児童クラブの数値は原則5月1日現在ですが、2020年だけは7月1日現在です。

利用はどこまで増えたのか

結論を数字で置くと、増加はかなりはっきりしています。

こども家庭庁の公表値では、放課後児童クラブの登録児童数は次のように増えました。

  • 2015年: 102万4,635人
  • 2020年: 131万1,008人
  • 2024年: 151万9,952人
  • 2025年: 157万645人

2015年から2025年までの10年でみると、約54万6,000人増、伸び率は約53%です。単年でも2025年は前年比5万693人増で、増勢は止まっていません。

供給側も広がっています。2025年の数値は以下の通りです。

  • クラブ数: 2万5,928か所
  • 支援の単位数: 3万9,424単位

ここで重要なのは、クラブ数だけでなく「支援の単位」も増えている点です。1つのクラブの中で受け入れを細かく分け、実際の受け皿を増やしてきたことが分かります。

小学生が減っても、利用割合は上がっている

利用者数だけを見ると、単に子どもの数が多いから増えたのかどうかが分かりません。そこで小学校在学者数と重ねます。

文部科学省によると、2025年度の小学校在学者数は581万2,375人で、前年度より12万9,358人減り、過去最少でした。一方で同じ年の放課後児童クラブ登録児童数は157万645人です。

この2つを単純に置くと、登録児童数は小学生全体の約27.0%にあたります。前年は約25.6%でした。厳密には学童保育の対象や利用条件は全小学生と一致しませんが、全国ベースでは「小学生が減っているのに、学童利用はより一般的になっている」という流れを確認できます。

ここがポイント: 学童保育は「子どもの数が多い時代のサービス」ではなく、子どもの数が減る局面でも需要が伸びる放課後インフラになっています。

どこに需要が残っているのか

待機児童は減りました。ただし、減ったから十分とは言えません。

2025年の待機児童数は1万6,330人で、前年の1万7,686人から1,356人減りました。改善はしていますが、全国でなお1.6万人が利用できていません。

学年別では4年生の待機が最も多い

2025年の待機児童を学年別に見ると、こうなります。

  • 1年生: 1,966人
  • 2年生: 1,805人
  • 3年生: 3,305人
  • 4年生: 5,589人
  • 5年生: 2,644人
  • 6年生: 1,021人

最も多いのは4年生の5,589人です。低学年の利用が中心なのに、待機は4年生に厚い。このずれは、低学年優先の運用や定員配分の影響を考えるうえで見逃せません。

登録児童全体では1年生から3年生が約78%を占めています。つまり、利用者の中心は低学年です。それでも待機が4年生に多いということは、学年が上がった後の受け皿が十分に追いついていない地域があると読めます。

待機は全国に薄く広がるのではなく、特定自治体に偏る

市町村別の待機児童数では、2025年時点で次の自治体が上位に並びました。

  • 東京都杉並区: 481人
  • 兵庫県宝塚市: 329人
  • 兵庫県尼崎市: 323人
  • 千葉県市川市: 283人
  • 東京都中央区: 275人
  • 神奈川県茅ヶ崎市: 257人
  • 神奈川県藤沢市: 254人
  • 埼玉県所沢市: 227人

ここで見えてくるのは、需要が全国一律ではなく、首都圏の住宅地や一部の中核都市に強く偏っていることです。

ただし、この順位は人数そのものです。児童人口に対する割合ではありません。人口規模の大きい自治体ほど人数が多く見えやすいので、ランキングだけで「入りにくい自治体」を断定するのは早計です。

なぜ需要が続くのか

背景のひとつとして、共働き世帯の広がりがあります。

内閣府男女共同参画局の2025年版白書では、妻が64歳以下の世帯について、2024年時点で

  • 妻がパート就業の共働き世帯: 694万世帯
  • 妻がフルタイム就業の共働き世帯: 527万世帯
  • 男性雇用者と無業の妻から成る世帯: 461万世帯

となっています。共働き世帯を合計すると1,221万世帯で、専業主婦世帯を大きく上回ります。

もちろん、共働き世帯の増加だけで学童需要を説明し切ることはできません。通勤時間、祖父母との同居率、民間の代替サービス、地域の住宅開発、学校内での受け皿整備など、需要を左右する要因は複数あります。

それでも、放課後に家庭で子どもを見ることが難しい世帯が広く存在することは、最新の世帯データからも裏づけられます。学童保育は一部家庭向けの補助策ではなく、就業と子育てを両立させるための基盤に近づいています。

供給は増えているが、見方には注意がいる

数字は増加を示していますが、その読み方にはいくつか注意点があります。

  • 2015年度から法改正で対象児童が「おおむね10歳未満」から「小学6年生まで」に明確化された
  • そのため、2015年前後をまたぐ長期比較は制度変更の影響を含む
  • 登録児童数は実際の利用登録であり、「利用したい潜在需要」そのものではない
  • 待機児童数は自治体ごとの運用や把握方法の差を受けうる
  • 市町村別の待機人数は、児童人口や共働き率で割った値ではない
  • 2020年の調査時点だけ7月1日で、他年と完全同条件ではない

加えて、クラブ数が増えても、長時間開所や高学年受け入れが伴わなければ、使い勝手は同じではありません。実施状況を見ると、平日に18時31分以降まで開所しているクラブは全体の約62%です。数の拡大と、使える時間帯の拡大は分けて見る必要があります。

これから見るべきポイント

2025年のデータから言えるのは、学童保育の需要はまだ増えており、しかも小学生減少の流れでは説明できないということです。待機児童は減ったものの、需要の偏りは残り、特に一部自治体と高学年側で詰まりが見えます。

今後の注目点は次の3つです。

  • 受け皿整備が、待機の多い自治体にどこまで集中できるか
  • 低学年中心の運用のまま、高学年の放課後需要に対応できるか
  • 「クラブ数」だけでなく、開所時間や学校内設置の拡大が進むか

学童保育の数字は、子どもの放課後だけの話ではありません。地域でどれだけ就業と子育てを両立しやすいかを映す指標として、次の公表でも見ておきたいデータです。

参照リンク

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