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世界のコーヒー需要はどこで伸びているのか 国別データで見る消費増とカフェ拡大の地図

世界のコーヒー需要はどこで伸びているのか 国別データで見る消費増とカフェ拡大の地図

世界のコーヒー消費は、どこでも同じように増えているわけではありません。量の大きい市場は依然として欧州と米国ですが、伸びが目立つのはアジアと一部の生産国側です。

2025年12月公表のUSDA集計を見ると、EUと米国は大市場を維持しつつも直近数年では横ばい圏です。一方で、中国やベトナム、トルコ、英国、オーストラリアは増加が確認できます。店の増え方も同じ方向で、東アジアのブランド系カフェ市場は2025年に高い伸びを示しました。

  • 需要の総量ではEUが最大、次いで米国、ブラジル
  • 伸びの勢いは中国、ベトナム、トルコなどアジア寄りの市場が目立つ
  • カフェ店舗網は東アジアで拡大が速く、欧米は拡大しても伸び率は相対的に低い
  • ただし国別比較では、市場年の違いと消費定義の差に注意が必要
目次

使用データと比較条件

今回の比較では、主に次の資料を使いました。

  • USDA Foreign Agricultural Service「Coffee: World Markets and Trade」2025年12月版
  • International Coffee Organization(ICO)Annual Review 2024/25
  • World Coffee Portal の地域別カフェ市場リポート記事

比較の中心は、USDAが公表した各国のDomestic Consumption(国内消費)です。単位は千袋(60kg袋)で、2021/22から2025/26までの推移を確認しました。

ここがポイント: コーヒー需要の増加は、すでに大量に飲まれている国でさらに伸びる形ではなく、新しい外食需要や都市部のカフェ利用が広がる市場に寄っている

なお、USDA資料では国によって市場年の始まりが異なります。ブラジルは7月始まり、インドネシアは4月始まりなど、完全な暦年比較ではありません。そのため、この記事では厳密な順位競争よりも、どの地域で増勢が強いかを見る読み方を重視します。

まず結論 大市場は欧米、伸びはアジア寄り

USDAの2025/26見通しで消費量が大きい主な市場は次の通りです。

  • EU:41,870千袋
  • 米国:26,550千袋
  • ブラジル:22,280千袋
  • フィリピン:6,750千袋
  • 日本:6,718千袋
  • 中国:5,850千袋
  • ベトナム:4,900千袋

この並びだけを見ると、コーヒーの中心はまだ欧米です。ただし、2021/22から2025/26への変化を見ると景色が変わります。

増加が目立つ国

国・地域 2021/22 2025/26 増減
ベトナム 3,200 4,900 +1,700
中国 4,920 5,850 +930
トルコ 1,285 1,750 +465
英国 3,985 4,330 +345
オーストラリア 2,305 2,600 +295

単位は千袋、60kg袋ベースです。

この表で目立つのは、需要増の上位にアジア市場が並ぶことです。中国は量でもすでに日本にかなり近く、ベトナムは生産国でありながら国内消費も強く伸びています。トルコも増勢がはっきりしています。

横ばいか、減少が見える市場

一方で、大市場の一部は伸びが鈍いか、ほぼ横ばいです。

  • EU:41,897千袋から41,870千袋でほぼ横ばい
  • 米国:26,708千袋から26,550千袋で小幅減
  • ブラジル:22,340千袋から22,280千袋で横ばい圏
  • 日本:7,210千袋から6,718千袋で減少
  • フィリピン:7,190千袋から6,750千袋で減少

つまり、「たくさん飲む国」と「今も増えている国」は必ずしも一致しません。ここが今回のいちばん重要な点です。

世界全体ではどこが押し上げているのか

ICOの2024/25年次レビューでは、世界のコーヒー消費は1億7,510万袋とされ、前期比1.4%増でした。さらに、増加の主因として生産国側の需要拡大が挙げられています。

同レビューでは、アジア・オセアニアの消費が4,740万袋まで7.4%増となり、地域別では最も強い伸びでした。これは、世界全体の伸びを平均で見るよりずっとはっきりした動きです。

ここから読めるのは次の2点です。

  • 世界需要はまだ増えている
  • その増加分は、欧米の成熟市場よりも、アジアや生産国側に寄っている

コーヒーの国際価格や供給不安が注目されがちですが、需要面でも重心が少しずつ動いています。

カフェ文化の変化は店舗数に表れている

消費量だけでは、どの場面でコーヒーが飲まれているかは分かりません。そこで補助線として、ブランド系カフェの店舗データを見ると、需要増の背景が少し具体的になります。

東アジアは「店が増える市場」

World Coffee Portalによると、東アジアのブランド系カフェ市場は、2025年の1年間で店舗数が18.4%増えて180,268店になりました。中国だけでも31.5%増の87,505店で、1年で2万店超を積み増したとされています。

この数字は、単にコーヒー豆の輸入が増えたという話ではありません。都市部で、

  • 持ち帰り
  • アプリ注文
  • 低価格チェーン
  • 若年層向けの滞在型カフェ

といった利用形態が広がり、飲む場所そのものが増えていることを示します。

USDAの中国消費量は2021/22の4,920千袋から2025/26の5,850千袋へ増えています。店舗網の拡大と需要増が同じ方向を向いている点は見逃せません。

インドも「茶の国」からの上積みが続く

インドのUSDA年次報告では、国内消費は2023/24の125万袋から2025/26に136万袋へ増える見通しです。増加幅は中国ほど大きくありませんが、World Coffee Portalは2025年のインドのブランド系カフェ市場を12.7%増、5,339店としています。

ここで重要なのは、インドがまだ総量で巨大市場ではなくても、都市部の外食・カフェ需要が強い伸びしろを持つ市場だということです。今後の国別需要ランキングで急に上位へ飛ぶとは限りませんが、カフェ文化の拡大が需要の土台を厚くしていると読みやすい地域です。

欧州と米国は拡大しても「成熟市場」

欧州のブランド系カフェ市場は2025年に4.7%増の51,042店、米国は2025年に4.2%増の45,227店でした。どちらも拡大していますが、東アジアほどの加速ではありません。

これは、欧米でカフェ文化が弱いという意味ではありません。むしろ逆で、すでに広く定着しているため、伸び率が低くなりやすいと見る方が自然です。大市場ほど伸びしろが相対的に小さくなる典型です。

データから読み取れること

ここまでの数字をまとめると、世界のコーヒー需要は次のように整理できます。

1. 量の中心はまだ欧米

EUと米国は、2025/26時点でも消費量の大きさで抜けています。国際相場や貿易の重心が急にアジアだけへ移ったわけではありません。

2. 増加の中心はアジアと一部の生産国

中国、ベトナム、インドのように、人口規模や都市化、外食の変化が重なる市場では、総量も店舗数も伸びやすい状態です。ICOが生産国側の需要拡大を強調している点とも合います。

3. カフェ文化の拡大は「飲用場面」の変化を示す

店舗数の増加は、家庭内消費だけではなく、通勤途中、商業施設、デリバリー、モバイル注文など、日常の中でコーヒーに触れる接点が増えたことを示す材料になります。

ただし、店舗が増えたからそのまま同じ比率で豆消費も増える、とまでは言えません。小型店や低価格店が増えれば、1店当たりの販売量は抑えられることもあります。

注意したい限界と誤読しやすい点

このテーマは数字が多いぶん、読み違えやすい点もあります。

  • USDAの市場年は国ごとに異なり、完全な暦年比較ではない
  • 国内消費は推計値を含み、後で改定されることがある
  • カフェ店舗数はブランド系中心で、個人店や非公式店舗を十分に含まない場合がある
  • 店舗増加は来店文化の広がりを示すが、1人当たり消費量の増加を直接示すわけではない
  • 日本のように店数が安定していても、缶・ペットボトル・コンビニ・家庭内消費の構成変化で実態は変わりうる

つまり、豆の消費量データと、店の数のデータは別のものです。両方を重ねると方向感は見えますが、同じ指標として扱うのは危険です。

これから見るべきポイント

今後の注目点は、単に「どの国が一番飲むか」よりも、どの国で需要の増加が続くのかです。

  • 中国の需要増が価格競争後も続くか
  • ベトナムやインドで外食需要がどこまで定着するか
  • 欧米の成熟市場が数量より単価や高付加価値へ移るか
  • 国際価格の高止まりが新興市場の消費を鈍らせるか

世界のコーヒー地図は、量の順位だけではもう読み切れません。増えているのはどこか、どんな場面で飲まれているのかを分けて見ると、次の変化がかなりはっきり見えてきます。

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