MENU

世界のテレビ視聴時間はどこまで減ったのか 米欧アジアの最新データを比べて見えたこと

世界のテレビ視聴時間はどこまで減ったのか 米欧アジアの最新データを比べて見えたこと

海外でテレビ離れは進んでいます。とくに若い世代では、放送の決まった時間にテレビを見る習慣がかなり弱くなっています。

ただし、ここでいう変化は「テレビが消えた」という話ではありません。米国でも韓国でも、なお1日2時間台の視聴時間が残り、英国やドイツでもニュースやスポーツが強い日にテレビは大きな接触面を保っています。実態は、テレビ視聴の消滅ではなく、若年層を中心に放送から配信へ重心が移ったという見方が近いです。

  • 結論1: 若年層の「放送テレビ離れ」は米英韓でかなり明確に出ている
  • 結論2: それでも全体平均では1日2時間前後から3時間弱の視聴が残る国が多い
  • 結論3: テレビが強いのは、ライブ性の高いスポーツ、ニュース、時事番組
  • 結論4: 国ごとの順位をそのまま比べるより、定義の違いを踏まえて方向感を見るほうが正確
目次

使用データと比較条件

今回使ったのは、2024年時点で確認できる公表資料のうち、一次資料に近いものです。対象は米国、欧州は英国とドイツ、アジアは韓国にしました。

  • 米国: 米労働統計局(BLS)のAmerican Time Use Survey 2024。15歳以上が対象で、自己申告の日記式調査です。
  • 英国: Ofcom「Media Nations 2024」。主にBarbの視聴計測を使い、2023年の放送テレビ視聴を示しています。対象は4歳以上です。
  • ドイツ: AGF Videoforschungの2024年年間総括。3歳以上が対象です。
  • 韓国: 韓国放送通信委員会の「2024 Broadcast Media Consumption Behavior Survey」。13歳以上への面接調査です。

比較するときの注意点も先に置いておきます。

  • 米国は「watching TV」という時間利用調査で、自己申告ベース
  • 英国は主に放送テレビの視聴時間
  • ドイツは2024年から測定基準が拡張され、一部で前年と単純比較しにくい
  • 韓国は放送テレビ、スマホ、OTTを同じ調査内で追っている

つまり、ここで見るべきなのは厳密な国別ランキングよりも、どこで、どの層で、テレビの位置づけが崩れているかです。

主要な数値

まずは各国の最新公表値を短く並べます。

米国

BLSの2024年調査では、15歳以上の「Watching TV」は1日平均2.60時間でした。なお25〜34歳は1.84時間、35〜44歳は1.89時間ですが、65〜74歳は3.95時間、75歳以上は4.58時間です。

ここで重要なのは、米国ではテレビが減っていても、なお余暇時間の中で最も大きい項目だという点です。BLSの2010年データでは2.7時間だったので、長期では下がっていますが、急にゼロへ向かったわけではありません。

英国

Ofcomの2024年報告では、2023年の放送テレビ視聴は全体に減少しました。16〜24歳の放送テレビ視聴は2013年の2時間29分から2023年は33分まで縮小しています。

同じ報告では、2023年に16〜24歳の半数が、平均週で放送テレビをほとんど見ていない状態に入りました。一方で、図表ベースでは4歳以上全体の在宅動画視聴は1日271分あり、そのうち放送テレビ由来はライブ109分と録画25分で、合計約134分と読めます。配信や動画共有サービスの時間が増え、総動画時間は残るが、放送が細る構図です。

ドイツ

AGFによる2024年のドイツのテレビ視聴は、TV世帯基準で1日176分でした。前年の182分から、同じ基準でみて6分減です。

ただし、14〜49歳では83分にとどまります。全年齢平均と比べると差が大きく、若年層ほどテレビの中心性が落ちていることが分かります。

その一方で、2024年は欧州選手権や五輪など大型スポーツがあり、ライブ番組はなお強い集客力を見せました。減少トレンドの中でも、テレビが強い場面は残っています。

韓国

韓国放送通信委員会の2024年調査では、全体の平均テレビ視聴時間は1日2時間27分でした。2022年の2時間36分、2023年の2時間29分から、じわじわ下がっています。

ただし、同じ調査でスマホ画面時間は2時間6分、OTT利用時間は1時間10分まで伸びています。1人世帯ではテレビ視聴が2時間15分まで下がる一方、スマホは2時間27分でテレビを上回りました。

韓国は、テレビ視聴時間の減少とスマホ・OTTの伸びが同じ統計の中で並んで確認できるので、シフトの向きが特に読み取りやすい国です。

何が共通しているのか

数字を並べると、共通点はかなりはっきりしています。

  • 若年層ほどテレビ視聴時間が短い
  • 放送テレビの減少を、配信や動画共有サービスが埋めている
  • 高齢層ではテレビがまだ強い
  • スポーツやニュースのようなライブ性の高い番組はテレビに残りやすい

ここがポイント: 海外で進んでいるのは「動画離れ」ではなく、まず放送の時間割からの離脱です。

英国の若年層の落ち込みは特に急ですし、韓国では1人世帯でスマホ時間がテレビを逆転しました。ドイツでも14〜49歳の視聴時間は全体平均の半分弱です。米国も例外ではなく、年齢差が大きく開いています。

逆に、単純化しすぎると見誤る点

「海外ではもう誰もテレビを見ていない」という言い方は、データに合いません。

理由は3つあります。

  • 全体平均では、今も2時間台の国が多い
  • 高齢層では依然として長時間視聴が続く
  • 配信への移行が進んでも、大型スポーツや時事報道ではテレビ接触が戻る

米国では2024年でもテレビ視聴が余暇時間の最大項目です。ドイツでは2024年の大型スポーツが視聴を押し上げました。韓国でも7日間ベースのライブテレビ接触率は86.5%あります。減っているのは事実でも、テレビの役割が一気に消えたわけではありません。

この比較から言えること、言えないこと

この比較から言えることは明確です。放送テレビ離れは進んでいる、とくに若い世代で進んでいる、という点です。

一方で、言い切れないこともあります。

  • 米国の2.60時間とドイツの176分を、そのまま優劣比較すること
  • 英国の放送テレビ時間と韓国のテレビ視聴時間を完全に同じ尺度で扱うこと
  • 視聴時間の減少を、すべてOTTの増加だけで説明すること

定義も測定方法も違うからです。米国は時間利用調査、英国は放送テレビ中心、ドイツは2024年に測定枠組みが変わり、韓国は端末別の行動変化まで追っています。

そのため、国際比較で見るべき軸は次の4つです。

  • 全体平均が何分か
  • 若年層の落ち込みがどこまで進んだか
  • ライブ番組がどこまで残っているか
  • スマホやOTTが、どの端末でテレビ時間を置き換えたか

次に見るべきポイント

今後の変化を追うなら、単なる「テレビ時間」より、次の指標のほうが実態に近づきます。

  • 放送テレビと配信を分けた視聴時間
  • 年代別、とくに16〜34歳の推移
  • 1人世帯とファミリー世帯の差
  • スポーツ大会や選挙年のような一時的押し上げ要因

海外のテレビ離れは、もう印象論ではありません。数字で見ると、若い世代から先に放送の時間割が崩れ、残ったテレビは高齢層とライブ需要に強く寄る形へ変わっています。

次に注目すべきなのは、テレビがさらに減るかどうかだけではありません。減った時間を、誰が、どの端末で、どの種類の動画に置き換えたのかです。そこまで見ないと、同じ「テレビ離れ」でも中身を読み違えます。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次