郵便局はどこまで減り、何が増えたのか 局数と引受物数で見る生活サービスの変化
郵便局の利用は、単純に「減った」とは言い切れません。局数の減り方は比較的小さい一方で、扱う中身はこの10年余りで大きく入れ替わりました。
日本郵便の最新公表値で見ると、営業中の郵便局は2026年3月31日時点で2万3,290局です。会社統合時の2012年10月1日時点より943局少なく、減少率は3.9%でした。一方、引受物数は2012年度の223億4,575万通・個から、2025年度は160億5,332万通・個へ減っています。
まず押さえたい要点は次の3つです。
- 郵便局数は2012年10月の2万4,233局から、2026年3月末は2万3,290局へ減少した
- 引受物数は2012年度の223億4,575万通・個から、2025年度は160億5,332万通・個へ減少した
- 減少の中心は郵便物で、荷物は増えた。つまり、「局が急減した」のではなく「手紙中心の使われ方が薄れた」という変化が大きい
使用データと比較条件
今回は、次の公表資料を使って全国ベースで比較します。
- 郵便局数: 日本郵便「郵便局数の推移(会社統合後の営業中の店舗)」
- 引受物数: 日本郵便「2025年度郵便物・荷物の引受物数」および「平成24年度引受郵便物等物数」
- 最新時点:
- 郵便局数は2026年3月31日時点
- 引受物数は2025年度累計(2025年4月から2026年3月)で、2026年5月11日に公表
ここでいう引受物数は、日本郵便が取り扱った郵便物・荷物の総量です。郵便局窓口に来た人の数そのものではありません。 ポスト投函分や法人差出の比重も含むため、利用実態を見る指標として使いつつ、窓口来訪者数と同一視しないことが必要です。
郵便局の数は、見た目ほどは減っていない
全国の営業中の郵便局数は、次のように動いています。
- 2012年10月1日: 2万4,233局
- 2024年3月末: 2万3,512局
- 2025年3月末: 2万3,466局
- 2026年3月末: 2万3,290局
2026年3月末の内訳はこうです。
- 直営郵便局: 1万9,917局
- 簡易郵便局: 3,373局
減少幅を見ると、直営局は2012年10月から259局減、簡易郵便局は684局減です。ネットワーク全体が急激に崩れたというより、簡易局を中心にじわじわ縮んでいる形に近いと言えます。
地方で郵便局の存在感が大きいのは、郵便だけでなく、貯金、保険、各種支払い、行政事務の受託などを一つの拠点で扱うからです。その意味では、局数が数%の減少にとどまっていること自体が、全国ネット維持を強く意識した運営の結果とも読めます。
取扱件数は、局数よりずっと大きく動いた
一方で、取り扱う量は別の動きをしています。
- 2012年度の総引受物数: 223億4,575万通・個
- 2025年度の総引受物数: 160億5,332万通・個
- 10年余りの増減: 62億9,243万通・個減、減少率は約28.2%
内訳を比べると差はさらにはっきりします。
- 郵便物:
- 2012年度 188億6,230万通
- 2025年度 117億5,103万通
- 約37.7%減
- 荷物:
- 2012年度 34億8,345万個
- 2025年度 43億228万個
- 約23.5%増
2025年度の最新1年だけを見ても、傾向は続いています。
- 総引受物数: 前年度比5.0%減
- 郵便物: 前年度比6.5%減
- 荷物: 前年度比0.8%減
- ゆうパック: 前年度比1.3%増
- ゆうパケット: 前年度比4.7%増
- ゆうメール: 前年度比2.1%減
ここがポイント: 郵便局ネットワークは大きくは減っていないのに、扱う仕事の中心は「手紙」から「荷物」へかなり移っています。
この数字から何が読めるのか
短く言えば、郵便局は減ったというより、役割が変わったと見るほうが実態に近いです。
減少の主役は郵便物
総量減少の中心は郵便物です。とくに普通郵便物は、2012年度の183億5,170万通から2025年度は112億4,898万通まで落ちました。
請求書、通知、私的なやり取りの多くがデジタルに置き換わった結果として読むのが自然です。年賀も同じ方向で、2025年度は5億710万通と、2024年度からさらに27.1%減っています。
数字として重要なのは、郵便物の落ち込みが一時的な反動ではなく、複数年で続いていることです。生活の中で「郵便を出す」場面そのものが細っていると考えるのが妥当です。
荷物は増えたが、全体を埋め切るほどではない
荷物は増えています。とくに、2025年度のゆうパケットは5億6,255万個で、2012年度のゆうメール中心の構成とはかなり違う姿です。
ただし、荷物の増加だけでは郵便物の減少を埋め切れていません。2012年度から2025年度にかけて、荷物は約8.2億個増えましたが、郵便物は約71.1億通減っています。差し引きでは大幅なマイナスです。
つまり、ECの拡大で荷物需要は伸びても、郵便局全体の取扱量を押し上げるほどの規模にはまだ届いていないということです。
1局あたりの受け持ち量も軽くなった
局数と引受物数を単純に割ると、1局あたりの年間取扱量はおおまかに次の水準です。
- 2012年度ベース: 約92.2万通・個/局
- 2025年度ベース: 約68.9万通・個/局
約25%減りました。
もちろん、この計算は局数の基準日と引受物数の年度が完全には一致せず、しかも引受物数には窓口以外の差出も含みます。それでも、局の減り方より仕事量の減り方が大きいことは十分に伝わります。
注意したい限界と誤読しやすい点
このテーマは、数字の見方を誤ると結論を急ぎやすいです。主な注意点は3つあります。
- 郵便局数は「営業中の店舗数」で、ATM台数や配達拠点数とは別の数字
- 引受物数は日本郵便全体の総量で、窓口来訪者数や窓口取引件数そのものではない
- 2012年10月1日は会社統合時点、引受物数は年度集計なので、厳密に同じ日付基準ではない
そのため、この記事から言えるのは「郵便局ネットワークの縮小は緩やかだが、扱うサービスの中身は大きく変わった」という点までです。地域ごとの窓口混雑や、金融サービスの来店頻度までをこの数字だけで断定することはできません。
これから見るべきポイント
次に注目すべきなのは、数そのものより中身です。
- 簡易郵便局の減少が今後も続くのか
- 荷物のうち、ゆうパックとゆうパケットがどこまで伸びるのか
- 郵便物の減少が料金改定後も続くのか
- 郵便以外の行政・金融サービスが局の存在をどこまで支えるのか
生活インフラとして見るなら、郵便局は「手紙を出す場所」だけではなくなっています。局数の維持と、取扱内容の入れ替わりが同時に進んでいることが、いまの変化の核心です。今後は、局が何局残るかだけでなく、その局で何の用事がどれだけ残るのかを見たほうが実態に近づきます。
