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公衆電話はどこまで減ったのか 83,571台まで縮んだ全国ネットと、なお残る「最低限の通信手段」

公衆電話はどこまで減ったのか 83,571台まで縮んだ全国ネットと、なお残る「最低限の通信手段」

公衆電話は消えたわけではありません。NTTの公表資料では、全国の公衆電話総数は2026年3月末時点で83,571台まで減りました。

ただし、減り方の中身を見ると、単なる「懐かしい設備の縮小」では片づきません。日常利用は大きく細りつつも、駅前や病院、公共施設まわりに残す第一種公衆電話は、いまも社会インフラとして位置づけられています。

  • 2026年3月末の公衆電話総数は 83,571台
  • 2025年3月末の第一種公衆電話は 74,646台
  • 第一種公衆電話は2022年3月の 108,655台 から 31.3%減
  • NTTの計画では、第一種公衆電話は 2031年度末に3万台規模 まで絞り込む方針
目次

使用データと比較条件

今回見ているのは、主に次の公表資料です。

  • NTTの決算補足資料にある全国の公衆電話総数
  • NTT東日本・NTT西日本が公表する第一種公衆電話の設置台数
  • NTT西日本の公開資料にある設置基準、設置場所の考え方、環境変化の説明

比較では、数字の時点が少し異なります。

  • 公衆電話総数: 2026年3月末時点まで確認
  • 第一種公衆電話の都道府県別台数: 2025年3月31日現在
  • 第一種公衆電話の削減計画: 2026年3月公表の最新計画を参照

この違いがあるため、「総数」と「第一種」の数字は同じ日付で完全一致するとは限りません。記事中では、どの時点の数字かを分けて扱います。

まず結論 公衆電話は1年でも3年でもはっきり減っている

最新のNTT決算補足資料では、公衆電話総数は次のように減っています。

指標 起点 直近 増減
公衆電話総数 121,882台(2023年3月末) 83,571台(2026年3月末) 38,311台減
第一種公衆電話 108,655台(2022年3月時点) 74,646台(2025年3月末) 34,009台減

公衆電話総数は3年で 31.4%減。第一種公衆電話も3年で 31.3%減 です。かなり大きい縮小です。

しかも足元だけ見ても、総数は

  • 2025年3月末: 96,126台
  • 2026年3月末: 83,571台

と、1年で12,555台減っています。減少は止まっていません。

第一種公衆電話は何が違うのか

ここで重要なのは、すべての公衆電話が同じ扱いではないことです。

NTT西日本の公開説明では、第一種公衆電話は外出時の最低限の通信手段として、次のような場所に置く考え方です。

  • 主要な公共施設
  • 駅前やバス停付近
  • 大規模病院の施設内
  • 地域で利用者が多い商業施設

設置基準も明示されています。

  • 市街地: おおむね1kmに1台
  • それ以外の地域: おおむね2kmに1台

ここがポイント: 公衆電話は「昔の電話が惰性で残っている」のではなく、第一種公衆電話だけは今も最低限の通信手段として制度上の役割を持っています。

なぜここまで減ったのか

NTT西日本の参考資料では、公衆電話を取り巻く変化として次の点が示されています。

  • モバイル端末の保有増加
  • スマートフォン普及
  • SNSやチャット中心の連絡手段への移行
  • 公衆電話利用の大幅減少

同資料では、公衆電話の利用は約20年間で98%減、台数も約71万台から約14万台へ81%減と整理されています。ここで見えてくるのは、先に利用が細り、その後に設備削減が進んだという流れです。

つまり、台数減少は原因というより結果に近い面があります。利用が減ったから設備が減り、ただしゼロにはせず、必要な場所に残す方向へ制度が切り替わったわけです。

地域差はどう出ているか

2025年3月31日時点の第一種公衆電話を都道府県別にみると、絶対数が多いのは大都市圏です。

  • 東京都: 10,525台
  • 神奈川県: 4,029台
  • 大阪府: 4,021台
  • 千葉県: 3,865台
  • 愛知県: 3,305台
  • 北海道: 3,135台

この並びだけを見ると、人口や交通結節点の多い地域に集まっていることが分かります。駅、病院、商業施設など、設置場所の条件とも整合的です。

一方で、単純なランキングだけでは見えにくい点もあります。

  • 設置基準は人口ではなくメッシュ単位も使う
  • 都市部と非都市部で必要距離の考え方が違う
  • 県ごとに最低限必要な台数が別に定められている

たとえば東京都は10,525台に対し、告示上の最低限必要台数は1,165台です。大阪府は4,021台に対し951台。どちらも最低基準を大きく上回ります。

逆に、地方県は絶対数こそ少なくても、災害時や移動中の通信手段としての意味が相対的に軽いとは言い切れません。台数の多寡だけで利便性や重要度を決めるのは早計です。

2022年の制度見直しで削減は加速した

転機になったのは、2022年4月1日の制度見直しです。NTT東西の資料では、この見直しにより第一種公衆電話の設置対象メッシュ数はおおむね3分の1程度となり、設置台数の下限は2.7万台になったと説明しています。

そのうえでNTT東西は、故障や工事などで撤去が生じても基準割れしないよう余裕を見込み、2031年度末に東西計3.0万台へ段階的に減らす計画を示しています。

計画上の東西合計は次の通りです。

  • 2021年度まで: 10.9万台
  • 2024年度: 8.3万台
  • 2025年度: 7.4万台
  • 2031年度: 3.0万台

ここで重要なのは、「なくすか、残すか」の二択ではないことです。制度はすでに、広く置く時代から、最低限を維持しながら絞り込む時代へ移っています。

データから読み取れること

数字からは、少なくとも3つのことが言えます。

1. 日常インフラから非常時寄りのインフラへ重心が移った

利用減少と設置削減の流れは明確です。日常の連絡手段としての役割は、ほぼスマートフォン側に移りました。

その一方で、第一種公衆電話は公共施設、医療施設、交通拠点などに残されます。これは、普段の利用者数だけでは測れない役割を残す設計です。

2. 「総数の減少」と「第一種の維持」は同時に起きている

総数は83,571台まで減りましたが、第一種公衆電話はなお7万台規模です。公衆電話全体が減っても、制度上守る層は別にあるということです。

3. これからも減るが、急にゼロにはならない

2031年度末3万台計画が維持されるなら、今後も削減は続きます。ただし方針は全廃ではなく、最低限のネットワーク維持です。

誤読しやすい点と注意点

公衆電話の話は、数字だけ追うと誤解しやすい部分があります。

  • 公衆電話総数と第一種公衆電話は同じ指標ではない
  • 総数の最新値は2026年3月末、都道府県別第一種台数は2025年3月末が中心
  • 絶対数の多い都道府県が、必ずしも「探しやすい」とは限らない
  • 設置場所は屋内外の違いがあり、病院や施設内の台数も含む
  • 制度改正後の将来値には、計画値や見込みが含まれる

特に、第一種公衆電話の削減計画と、決算資料の公衆電話総数を混同しないことが大切です。前者は制度上の維持対象、後者は公衆電話全体の数です。

これから見るべきポイント

今後の焦点は、単に「何台減るか」だけではありません。

  • 2031年度末3万台計画がそのまま進むか
  • 駅、病院、公共施設まわりでの配置がどう変わるか
  • 災害時の通信確保を、通常の公衆電話と災害時用公衆電話でどう分担するか

公衆電話は、日常の主役ではなくなりました。それでも数字を追うと、縮小しながら役割を変えて生き残るインフラであることが見えてきます。次に注目すべきなのは、台数そのものより、残る場所がどこかです。

参照リンク

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