MENU

中古車価格はなぜ高騰したのか?市場データと供給要因を検証

中古車価格はなぜ高騰したのか?市場データと供給要因を検証

結論から言うと、中古車価格の上昇は需要が急に爆発したというより、新車不足で中古車の供給が細ったことが主因です。新車の生産と販売がコロナ禍後も元に戻りきらず、下取り車の流入が弱い状態が続きました。

その間に、国内の買い替え需要に加えて輸出向けの引き合いも重なり、流通市場では仕入れ競争が起きました。実際、リクルートの調査では中古車購入単価は2020年の135.5万円から2023年に172.1万円まで上がり、2024年は155.9万円へやや落ち着いたものの、2018年や2019年より高い水準です。

  • 中古車価格の上昇は、新車不足による供給制約で説明しやすい
  • 新車販売は2019年の519.5万台から、2024年も442.1万台にとどまった
  • 四輪車生産は2019年の968.4万台から2024年は823.5万台へ縮小した
  • 2024年は価格がやや落ち着いたが、供給が完全に正常化したとは言いにくい

ここがポイント: 中古車価格の高騰は「中古車だけの問題」ではありません。新車の供給が細ると、下取りも減り、流通在庫も減り、結果として中古車の値段が上がります。

目次

使用データと比較条件

今回は全国ベースで、次の公開データを組み合わせて見ます。

  • リクルート「中古車購入実態調査 2024」
  • 公表日: 2025年3月5日
  • 指標: 中古車購入単価、購入率、市場規模
  • 日本自動車工業会(JAMA)
  • 指標: 四輪車の生産台数、新車販売台数、中古車販売台数、平均使用年数
  • 日本自動車販売協会連合会(JADA)
  • 指標: 登録車の輸出抹消登録台数

比較の軸は次の3つです。

  • 時系列: コロナ前の2019年と、その後の2020年から2024年
  • 市場: 新車市場と中古車市場のつながり
  • 需給: 国内の流通量、保有年数、輸出向けの動き

なお、リクルート調査は2023年以前と2024年で設問形式が異なるため、2023年以前は参考値です。JADAの輸出抹消登録台数は登録車ベースで、軽自動車を含む中古車市場全体とは集計範囲が一致しません。

まず、価格はどこまで上がったのか

中古車価格の動きを、リクルートの購入単価で確認すると流れが見えやすくなります。

中古車購入単価 延べ購入台数 市場規模
2020年 135.5万円 253.6万台 3兆4366億円
2021年 155.0万円 269.1万台 4兆1704億円
2022年 156.6万円 227.2万台 3兆5577億円
2023年 172.1万円 227.0万台 3兆9060億円
2024年 155.9万円 309.8万台 4兆8285億円

ここで重要なのは、価格上昇と購入台数の増加がいつも同時ではないことです。2022年と2023年は延べ購入台数が大きく伸びていないのに、購入単価は高止まりしました。

つまり、この局面は「買う人が急増したから高くなった」というより、欲しい車に対して流通量が足りず、価格が押し上げられたと読むほうが自然です。

なぜ供給が細ったのか

中古車の値段を押し上げた最大要因は、新車側の供給不足です。中古車市場は独立して動くように見えても、実際には新車販売と強くつながっています。

新車の販売がコロナ前に戻りきらなかった

JAMAのデータでは、新車販売は次のように推移しました。

  • 2019年: 519万5,216台
  • 2023年: 477万9千台
  • 2024年: 442万1千台

2024年は2023年より7.5%減で、2019年より約77万台少ない水準です。新車が十分に売れないと、数年後に中古車市場へ出てくる比較的新しい車も増えません。

生産の落ち込みが長引いた

販売の背後には生産があります。JAMAによると、四輪車生産は次の通りです。

  • 2019年: 968万4千台
  • 2023年: 899万9千台
  • 2024年: 823万5千台

2019年から2024年で見ると、約145万台の減少です。半導体不足や部品供給の混乱で減産が続いたことが、新車の納車遅れを招き、そのまま中古車供給の細りにつながりました。

車を長く使う流れも供給を絞った

JAMAは、2024年3月末時点の乗用車の平均使用年数を13.32年としています。車を長く使う傾向そのものは以前からありますが、供給が不安定な時期にはこの傾向がさらに効きます。

  • 新車がすぐ届かない
  • 今の車を手放しにくい
  • 下取りが出にくい
  • 中古車の在庫が増えない

この連鎖が起きると、店頭で売れる台数が同じでも、仕入れ価格は上がりやすくなります。

需要だけでは説明しにくい理由

中古車価格の高騰を「人気が出たから」とだけ見ると、数字と合わない部分があります。

中古車販売台数は大幅急増ではない

JAMAによると、四輪中古車販売台数は2019年の698万8千台に対し、2024年は649万8千台です。2024年は前年比1.0%増ですが、コロナ前の2019年はまだ下回っています

価格が高かったのに、流通台数そのものは2019年超えではない。この組み合わせは、需要超過というより在庫不足の強さを示します。

輸出向けの引き合いも国内在庫を圧迫した

JADAの2024年12月累計では、登録車の輸出抹消登録台数は160万5,251台で、前年の146万7,444台から9.4%増でした。

この数字は軽自動車を含まないため市場全体の代表値ではありません。ただ、少なくとも登録車では、国内小売りだけでなく輸出向けでも車両の取り合いが起きていたことを示します。

国内の販売店から見れば、仕入れ競争の相手が国内客だけではないということです。これも価格を押し上げる要因になります。

データから言えること、言えないこと

ここまでの数字から、次の点はかなりはっきり言えます。

  • 価格上昇の中心は供給制約だった
  • 新車不足が中古車市場へ波及した
  • 2024年に入っても需給は完全には戻っていない

一方で、次の点は言い切れません。

  • 価格上昇の原因を半導体不足だけに絞ること
  • すべての車種、価格帯、地域で同じ幅だけ上がったとみなすこと
  • 2024年の単価低下だけで「高騰は終わった」と結論づけること

特に中古車は、軽自動車、ミニバン、SUV、年式の新しい車で値動きがかなり違います。全国平均だけでは、どの車種が最も上がったかまでは分かりません。

これから見るべきポイント

中古車価格が再び上がるか、落ち着くかを見るなら、注目点ははっきりしています。

  • 新車販売が2019年の519万台台へ戻るか
  • 生産台数が2024年の823万台水準から回復するか
  • 登録車の輸出抹消が高水準で続くか
  • 比較的新しい下取り車が市場に増えるか

中古車価格の高騰は、景気の気分や人気車種の話だけでは説明できません。新車の供給、保有年数、輸出需要が同時に詰まった結果として見ると、ここ数年の動きはかなり整理しやすくなります。

2024年は購入単価が2023年より下がりましたが、供給側の数字はまだ弱いままです。次に見るべきなのは、「価格が下がったか」だけではなく、中古車が無理なく回るだけの新車供給が戻ったかどうかです。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次