非正規雇用は何歳で多いのか 2025年の年齢別データで見る雇用形態の変化
非正規雇用が多い年代を先に言うと、割合が高いのは15〜24歳と65歳以上、人数が多いのは55〜64歳と65歳以上、そして45〜54歳です。
2025年平均の全国データでみると、役員を除く雇用者に占める非正規の割合は全体で36.5%でした。ただし年齢別にみると並び方はかなり違います。若年層はアルバイト比重が高く、高齢層は定年後の再雇用や短時間就業を含む非正規が厚い。一方で、人数ベースでは中高年層も大きなボリュームを持っています。
- 2025年平均で非正規割合が最も高いのは65歳以上の約76.1%
- 次いで15〜24歳が約52.3%、55〜64歳が約42.6%
- 人数では55〜64歳が460万人で最多、65歳以上が446万人、45〜54歳が413万人
- 2015年と比べると、25〜54歳では非正規割合が下がる一方、15〜24歳と65歳以上は高止まりが続く
ここがポイント: 「非正規が多い年代」は1つではありません。割合でみると若年層と高齢層、人数でみると55歳以上と45〜54歳が目立ちます。
使用データと比較条件
今回の主な出典は総務省統計局の労働力調査(基本集計)2025年平均結果の概要です。比較には同じく総務省統計局の2015年平均結果、直近確認として2026年3月分の月次結果を使いました。
- 対象地域: 全国
- 主な対象年: 2025年平均
- 比較年: 2015年平均
- 追加確認: 2026年3月分
- 指標: 役員を除く雇用者のうち、正規の職員・従業員と非正規の職員・従業員
- 単位: 万人、割合は記事内で計算した概算値を含む
ここでいう非正規には、パート、アルバイト、契約社員、嘱託、派遣社員などが含まれます。役員は含みません。
2025年時点で、どの年代に非正規が多いのか
まずは2025年平均の人数です。人数だけを見ると、学生が多い15〜24歳よりも、50代後半から高齢層のほうが大きいことが分かります。
| 年齢階級 | 正規(万人) | 非正規(万人) | 非正規割合 |
|---|---|---|---|
| 15〜24歳 | 270 | 296 | 約52.3% |
| 25〜34歳 | 864 | 225 | 約20.7% |
| 35〜44歳 | 834 | 289 | 約25.7% |
| 45〜54歳 | 980 | 413 | 約29.6% |
| 55〜64歳 | 620 | 460 | 約42.6% |
| 65歳以上 | 140 | 446 | 約76.1% |
この表から見えることは明快です。
- 割合トップは65歳以上。雇用者の4人に3人超が非正規です。
- 15〜24歳も半数超が非正規。学生アルバイトや入り口段階の就業が影響しやすい層です。
- 人数トップは55〜64歳。定年前後の就業者が厚く、非正規の人数も大きいです。
- 25〜44歳は、人数は多くても非正規割合は2〜3割弱にとどまります。
10年でどこが変わったのか
2015年平均と2025年平均を比べると、変化は一様ではありません。25〜54歳では非正規割合が下がった一方、若年層と高齢層では高い水準が続いています。
| 年齢階級 | 2015年の非正規割合 | 2025年の非正規割合 | 差 |
|---|---|---|---|
| 15〜24歳 | 約48.2% | 約52.3% | +4.1ポイント |
| 25〜34歳 | 約27.2% | 約20.7% | -6.5ポイント |
| 35〜44歳 | 約29.6% | 約25.7% | -3.9ポイント |
| 45〜54歳 | 約32.6% | 約29.6% | -3.0ポイント |
| 55〜64歳 | 約47.4% | 約42.6% | -4.8ポイント |
| 65歳以上 | 約74.2% | 約76.1% | +1.9ポイント |
人数の増減でも流れは見えます。
- 65歳以上の非正規は268万人から446万人へ増加
- 55〜64歳も414万人から460万人へ増加
- 25〜34歳は292万人から225万人へ減少
- 35〜44歳も396万人から289万人へ減少
つまり、この10年は「非正規が全世代で同じように増えた」のではありません。中心は若年化ではなく、高齢化と中高年シフトです。
男女で見ると、山の位置が違う
2025年平均では、男性と女性で非正規が多い年齢帯がかなり違います。
男性は65歳以上が突出
男性の非正規人数は678万人です。年齢別では次の順です。
- 65歳以上: 217万人
- 15〜24歳: 141万人
- 55〜64歳: 132万人
- 25〜34歳: 78万人
- 45〜54歳: 59万人
- 35〜44歳: 53万人
男性は定年後の65歳以上が最も大きく、次に若年層と55〜64歳が続きます。現役ど真ん中の35〜54歳では、女性より人数がかなり小さい構図です。
女性は45〜64歳の厚みが大きい
女性の非正規人数は1450万人で、男性の2倍超です。年齢別では次の通りです。
- 45〜54歳: 354万人
- 55〜64歳: 328万人
- 35〜44歳: 236万人
- 65歳以上: 229万人
- 15〜24歳: 155万人
- 25〜34歳: 147万人
女性では45〜54歳と55〜64歳が大きいのが特徴です。非正規の中心が学生アルバイトではなく、家計を支える就業層にも広く分布していることが分かります。
直近の月次データでも傾向は大きく変わっていない
最新の確認として、総務省統計局の2026年3月分結果でも同じ傾向が続いています。
- 役員を除く雇用者に占める非正規割合は36.7%
- 男性は22.9%、女性は51.9%
- 65歳以上の非正規割合はなお高い水準
年平均と単月はそのまま同列には置けませんが、「高齢層の非正規比率が高い」「女性の非正規人数が大きい」という大きな形は崩れていません。
このデータから言えること、言えないこと
データから言えるのは、非正規雇用の重心が年齢によって違うことです。
- 若年層では、就業の入口として非正規比率が高い
- 高齢層では、定年後就業を含む非正規比率が非常に高い
- 女性では45〜64歳の人数が厚く、生活を支える年齢帯にも非正規が広がっている
一方で、この統計だけでは次の点までは断定できません。
- 非正規である理由がすべて不本意かどうか
- 賃金水準や社会保険加入状況が年齢階級ごとにどう違うか
- 産業や職種ごとの要因がどこまで効いているか
同じ「非正規」でも、学生アルバイト、短時間パート、再雇用の嘱託では意味が違います。年齢別の比率だけで働き方の実態を一括りにはできません。
読むときの注意点
このテーマは数字がひとり歩きしやすいので、読み方に注意が必要です。
- 年平均と月次は集計期間が違う
- 役員は含まれない
- 数値は万人単位の丸めがあるため、合計と内訳が一致しない場合がある
- 15〜24歳は学生アルバイトの影響を受けやすい
- 65歳以上は再雇用や短時間勤務の影響を受けやすい
特に「非正規が多い年代」を考えるときは、割合と人数を分けて見る必要があります。割合だけなら65歳以上が突出しますが、政策や家計への影響を考えると、人数が大きい45〜64歳の層も見落とせません。
今後の注目点
次に見るべきポイントは絞れます。
- 65歳以上の非正規がさらに増えるのか
- 45〜64歳女性の非正規人数が縮むのか、横ばいか
- 25〜34歳で下がってきた非正規割合が定着するのか
- 物価上昇下で短時間就業と家計補助型の就業がどう動くのか
非正規雇用を「若い人の問題」だけで見ると、統計の実像を外します。2025年のデータでは、むしろ高齢層と中高年層の厚みをどう読むかが重要です。
