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ペットを飼う家庭は増えたのか 最新データで見る犬・猫の飼育頭数と暮らしの変化

ペットを飼う家庭は増えたのか 最新データで見る犬・猫の飼育頭数と暮らしの変化

結論から言うと、日本でペットを飼う家庭が一貫して増えているとは言いにくいです。2025年の全国犬猫飼育実態調査では、犬の推計飼育頭数は682.0万頭で前年よりわずかに増えた一方、猫は884.7万頭で前年から減少しました。犬は下げ止まり、猫はなお高水準ですが、「飼う家庭が増え続けている」とまでは読めません。

むしろ見えてくるのは、飼育世帯そのものの増加より、飼い方の変化です。犬は世帯飼育率が下がる中でも1世帯あたり頭数の上昇で総数が持ちこたえ、猫は犬より多い状態を保ちながらも直近では減少に転じました。

  • 2025年推計は犬682.0万頭、猫884.7万頭
  • 犬は前年の679.6万頭から微増、猫は915.5万頭から減少
  • 公的な犬登録頭数は2024年度末で604万8725頭、長期では減少傾向
  • 「ペットが増えたか」を見るときは、頭数と世帯飼育率を分けて見る必要がある
目次

まず確認したい使用データ

今回の基準にしたのは次の2系統です。数字の意味が違うので、同じ列に並べてそのまま比較はできません。

  • 一般社団法人ペットフード協会「2025年 全国犬猫飼育実態調査」
  • 対象: 全国
  • 内容: 犬・猫の推計飼育頭数、世帯飼育率、1世帯あたり頭数など
  • 性格: 標本調査にもとづく推計値
  • 厚生労働省「犬の登録頭数と予防注射頭数等の年次別推移」
  • 対象: 全国
  • 内容: 狂犬病予防法にもとづく犬の登録頭数、予防注射頭数
  • 性格: 行政統計

猫には犬のような全国一律の登録制度がないため、猫の長期動向は公的な登録統計では追えません。そのため、猫の全国動向は調査データに依存します。

最新値では何が増え、何が減ったのか

2025年調査の推計飼育頭数は次の通りです。

区分 2024年 2025年 増減
679.6万頭 682.0万頭 +2.4万頭
915.5万頭 884.7万頭 -30.8万頭
合計 1595.1万頭 1566.7万頭 -28.4万頭

ここで大事なのは、犬と猫で動きが違うことです。

  • 犬は前年並みから微増
  • 猫はなお犬より多いが、直近では減少
  • 合計では前年割れ

つまり、見出しだけで「ペット人気が拡大」とまとめるのは正確ではありません。2025年時点では、増えているというより横ばいからやや縮小寄りです。

「飼う家庭」は増えたのか

この問いには、頭数だけでは答えきれません。1世帯で2匹以上飼えば、飼育頭数は増えても飼育世帯数は増えないからです。

ペットフード協会の調査概要では、犬は世帯飼育率の低下傾向が続く一方、1世帯あたり平均飼育頭数の上昇で総頭数が下支えされたと読めます。猫も高水準を保ってきましたが、2025年は総頭数が前年を下回りました。

ここがポイント: 「ペットを飼う家庭が増えているか」を見るなら、総頭数ではなく世帯飼育率を見る必要があります。2025年の最新データは、少なくとも犬でその増加を裏づけていません。

この見方をすると、最近の変化はこう整理できます。

  • 犬: 飼う家庭は広がっていないが、飼っている家庭の頭数や飼育継続が総数を支えている
  • 猫: 犬より多い状態は続くが、直近1年では減少
  • 全体: 新たに急増しているというより、既存の飼育層に支えられている色合いが強い

公的データで見る犬の長期変化

犬だけは、行政統計でも長い推移を追えます。厚生労働省の集計では、2024年度末の登録頭数は604万8725頭でした。前年度の605万4519頭からは微減です。

長い目で見ると、登録頭数は減っています。2009年度末は688万844頭だったため、2024年度末までにおよそ83万頭減りました。

登録頭数が示すこと

  • 犬は日本の暮らしの中で依然として大きな存在だが、長期では拡大していない
  • 少なくとも「犬を飼う裾野が広がり続けている」とは読めない
  • 行政の犬登録ベースでも、右肩上がりの局面ではない

一方で、登録統計はあくまで狂犬病予防法にもとづく犬の登録です。調査ベースの推計頭数682.0万頭と差があるのは、統計の定義が違うためです。未登録犬の有無、調査推計の誤差、集計時点の違いが混ざります。

暮らしの変化として何が読み取れるか

ここから先は解釈ですが、数字から無理なく言える範囲はあります。

1. 「家庭数の拡大」より「飼い方の変化」が目立つ

犬の総数が急減していないのは、飼う世帯の広がりよりも、飼っている世帯の継続や複数飼育の影響が大きい可能性があります。頭数だけを見ると増減の印象が強くなりますが、実際には裾野の拡大とは別の動きです。

2. 猫優位は続くが、猫も無条件に増えているわけではない

猫は犬を上回る頭数が続いています。とはいえ、2025年は前年より30万頭超の減少です。ここを見落とすと、「猫はずっと増え続けている」という古いイメージのまま読み違えます。

3. 子ども人口との比較では、なおペットの存在感が大きい

2025年の犬猫合計1566.7万頭は、総務省が2025年4月1日現在で公表した15歳未満人口1366万人を上回ります。もちろん、ペット頭数と子ども人口は性質の違う数字です。それでも、日本の家庭内でペットが占める存在感が大きいことは示しています。

誤読しやすい点と限界

このテーマは、数字の取り方で印象がかなり変わります。特に次の点は押さえておきたいところです。

  • 犬の登録頭数と、調査による犬の推計飼育頭数は同じではない
  • 猫には全国一律の登録統計がなく、犬ほど長期の公的時系列を取りにくい
  • ペットフード協会調査は標本調査なので、年ごとの小幅な増減は誤差も含めて見る必要がある
  • 2021年以降は推計方法の見直しが入っており、長期比較では定義の連続性に注意が必要
  • 頭数が増えても、飼育世帯数が増えたとは限らない

「何匹いるか」と「何世帯が飼っているか」は別の指標です。今回の問いに真正面から答えるなら、後者を重く見るべきです。

これから見るべきポイント

今後の確認軸は絞れます。

  • 2026年調査で、犬の微増が続くのか再び減少に戻るのか
  • 猫の2025年減少が一時的なぶれか、トレンド転換か
  • 犬の登録頭数が600万頭前後で下げ止まるのか
  • 世帯飼育率と1世帯あたり頭数のどちらが変わっているのか

最新データが示しているのは、ペットが急に増えた社会ではなく、飼育世帯の広がりが鈍い中で、既に飼っている家庭の行動が全体の数字を左右しているという姿です。次に見るべきなのは、頭数の大きな見出しではなく、その内訳です。

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