スーパーの食品価格は本当に高くなったのか?主要食材の価格推移を可視化
結論から言うと、食品価格は「少し上がった」ではなく、2020年を基準に見てかなり上がっています。総務省統計局の消費者物価指数では、全国の「食料」は2026年2月時点で129.0。2020年平均を100とすると、食品全体で約29%高い水準です。
ただし、すべての食品が同じように上がったわけではありません。米、コーヒー豆、チョコレート、食用油、卵のように大きく上がった品目がある一方、野菜や一部の加工品は月によって下がるものもあります。
- 使用データ: 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数」および品目別価格指数
- 対象地域: 全国
- 主な比較時点: 2020年平均 = 100 と 2026年2月
- 見る指標: 食料全体と主要食品の指数、前年同月比
使ったデータと見方
この記事では、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)を使います。
CPIは、家計が買う商品やサービスの価格がどれくらい変わったかを見る統計です。基準は「2020年平均 = 100」。たとえば指数が129なら、単純に言えば2020年平均より約29%高い水準にある、という読み方になります。
今回見るのは、主に次の範囲です。
- 全国の食料品
- 2026年2月分の月次データ
- 2025年平均の全国CPI
- 食パン、米類、鶏卵、牛乳、食用油、鶏肉、チョコレート、コーヒー豆などの品目別指数
総務省統計局によると、CPIの品目価格には小売物価統計調査で調べた小売価格が使われています。つまり、これは「特定スーパーのチラシ価格」ではなく、全国の小売価格をもとに作られた物価指標です。
ここがポイント: レジで感じる値上がりは、統計上も確認できます。ただし「スーパーのすべての商品が一律に3割上がった」という意味ではなく、米や油、卵、コーヒーのような品目が強く押し上げています。
食料全体は2020年より約29%高い
まず全体像です。総務省統計局が2026年3月24日に公表した全国CPIの2026年2月分では、総合指数は112.2、生鮮食品を除く総合指数は111.4でした。
一方、食料は129.0です。総合指数よりも食料のほうが明らかに高く、家計の買い物で食品の値上がりを感じやすい理由がここにあります。
| 項目 | 2026年2月指数 (2020年=100) | 2020年からの上昇幅 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 112.2 | +12.2% | +1.3% |
| 食料 | 129.0 | +29.0% | +3.95% |
| 穀類 | 150.8 | +50.8% | +7.33% |
| 乳卵類 | 130.6 | +30.6% | +7.40% |
| 油脂・調味料 | 124.9 | +24.9% | +5.22% |
食品全体の上昇は、2025年だけの一時的な動きではありません。2025年平均の全国CPIでも、総合指数は111.9で前年比3.2%上昇していました。2020年以降の物価上昇が、年平均でも月次でも続いていることが分かります。
主要食材を並べると、上がり方はかなり違う
食品の値上がりを「食料全体」で見ると約29%ですが、買い物かごに入る品目ごとに見ると差は大きくなります。
2026年2月時点で、2020年平均からの上昇が特に大きいのはコーヒー豆、米類、チョコレート、食用油、鶏卵です。
| 品目 | 2026年2月指数 (2020年=100) | 2020年からの上昇幅 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| コーヒー豆 | 258.8 | +158.8% | +51.43% |
| 米類 | 213.8 | +113.8% | +17.09% |
| チョコレート | 183.5 | +83.5% | +26.99% |
| 食用油 | 157.0 | +57.0% | +6.37% |
| 鶏卵 | 146.5 | +46.5% | +10.90% |
| 牛乳 | 125.8 | +25.8% | +5.10% |
| 食パン | 126.4 | +26.4% | -0.32% |
| 鶏肉 | 122.5 | +22.5% | +7.46% |
| キャベツ | 106.2 | +6.2% | -49.21% |
この表で大事なのは、2つの数字を分けて見ることです。
- 2020年からの上昇幅: 長めの値上がりを確認する数字
- 前年同月比: 直近1年でさらに上がったか、下がったかを見る数字
たとえば食パンは2020年より約26%高い水準ですが、2026年2月の前年同月比ではわずかに下がっています。逆にコーヒー豆は2020年比でも大きく上がり、前年同月比でもさらに5割超上がっています。
ざっくり可視化すると、米とコーヒーが突出している
指数の大きさを棒で見ると、食品全体の上昇と、品目ごとの突出が分かりやすくなります。基準はすべて2020年平均 = 100です。
コーヒー豆 258.8 | ##########################
米類 213.8 | #####################
チョコ 183.5 | ##################
食用油 157.0 | ###############
鶏卵 146.5 | ##############
食料全体 129.0 | ############
食パン 126.4 | ############
牛乳 125.8 | ############
鶏肉 122.5 | ############
キャベツ 106.2 | ##########
この並びを見ると、「食品全体がじわじわ上がった」というより、一部のよく買う食品が大きく跳ね上がったことが買い物の実感を強めていると読めます。
特に米類は、主食として購入頻度が高い品目です。指数が213.8ということは、2020年平均の2倍を超える水準です。毎週または毎月の買い物で目にする品目がこれだけ動くと、家計の印象は総合CPI以上に強くなります。
「スーパーが高くなった」と感じる理由
CPIは店頭の1品1品の値札そのものではありません。それでも、スーパーでの体感に近い理由があります。
よく買う品目ほど上がっている
米、卵、牛乳、パン、鶏肉、油は、外食や高額耐久財よりも買う頻度が高い食品です。1回あたりの上昇額が小さくても、購入回数が多いと家計には残りやすい。
たとえば鶏卵は指数146.5、食用油は157.0です。どちらも2020年より4割から5割ほど高い水準にあります。
値上がりした品目が料理の土台に入っている
食用油、卵、牛乳、パン、米は、単体で買うだけでなく、弁当、総菜、菓子、外食にも関係します。食品メーカーや飲食店が使う原材料も上がれば、加工食品や外食メニューにも時間差で影響が出ます。
CPIの食料には調理食品や外食も含まれます。2026年2月時点で、調理食品は127.4、外食も食料分類の中で別に集計されています。家庭で料理する人だけでなく、総菜や弁当を買う人にも影響が及ぶ構造です。
一方で、野菜は月ごとの振れが大きい
キャベツは2026年2月時点で指数106.2、前年同月比は49.21%の下落でした。これは、野菜が天候や出荷量で大きく動く品目であることを示しています。
したがって、ある月に野菜が安くなっても、食品全体の値上がりが消えたとは言えません。米、油、乳卵類、飲料、菓子類のように高い水準で残っている品目があるからです。
地域差を見るときの注意点
今回の表は全国平均です。実際のスーパーの価格は、地域、店舗、容量、銘柄、特売の有無で変わります。
小売物価統計調査は、価格調査と家賃調査を全国の市町村、店舗、事業所を対象に行う基幹統計です。ただし、CPIの品目別指数は「同じ買い物かごを全国どこでも同じ価格で買った」という意味ではありません。
地域差を読むときは、次の点を分ける必要があります。
- 全国平均: 日本全体の物価の方向を見る
- 東京都区部など都市別データ: 都市ごとの価格水準を見る
- 個別店舗の価格: チラシ、特売、PB商品、容量変更の影響を受ける
- 容量変更: 価格据え置きでも内容量が減ると、体感は変わる
この記事で示した「2020年比」は、全国CPIの指数から見た変化です。近所の店で同じだけ上がった、という意味ではありません。
読み取れることと、言い切れないこと
数字から言えることははっきりしています。全国の食料CPIは2026年2月に129.0で、2020年平均より約29%高い。米類、コーヒー豆、チョコレート、食用油、鶏卵はそれ以上に上がっています。
一方で、次のことはこのデータだけでは断定できません。
- どのスーパーが値上げしたか
- 値上げの原因が仕入れ、物流、人件費、天候、為替のどれにどれだけあるか
- PB商品や特売品まで同じ幅で上がったか
- 内容量の変化を含めた実質的な単価がすべて同じ方向に動いたか
CPIは「物価の動き」を見る統計です。原因を一つに決める統計ではありません。
次に見るべきポイント
食品価格を見るなら、今後は単に「物価上昇率が何%か」だけでなく、品目ごとの粘り強さを見る必要があります。
特に注目したいのは次の4点です。
- 米類の指数が200台から下がるか
- コーヒー豆やチョコレートの上昇が落ち着くか
- 卵、牛乳、食用油のような日常品が高止まりするか
- 野菜の下落が食料全体の指数をどこまで押し下げるか
スーパーの食品価格は、統計で見ても高くなっています。問題は「上がったかどうか」ではなく、どの品目が家計の負担として残り続けるかです。次の月次CPIを見るときは、総合指数よりも、米類、乳卵類、油脂、飲料、菓子類の品目別指数を追うほうが、買い物の実感に近い変化をつかめます。
