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世界の郵便物はどこまで減ったのか 国際データで見る通信インフラの交代

世界の郵便物はどこまで減ったのか 国際データで見る通信インフラの交代

世界の郵便は、少なくとも「手紙を運ぶ主役」という位置では明確に縮小しています。UPU(万国郵便連合)が示した長期推計では、指定郵便事業者が扱う国内のレター郵便物数は2012年から2021年にかけて約27%減り、国際郵便は半分未満まで落ちました。

一方で、通信インフラそのものが消えたわけではありません。ITU(国際電気通信連合)によると、2025年には世界人口の74%がインターネットを使う一方、22億人はまだオフラインです。郵便は減っているが、物理拠点の役割は残る。この二重の動きが今のポイントです。

  • 結論: 世界の手紙は長期で減少傾向にあり、特に国際郵便の落ち込みが大きい
  • 対照的な変化: インターネット利用者とモバイル接続は拡大し、通信の主役はデジタル側へ移った
  • ただし: 世界ではなお22億人が未接続で、郵便ネットワークの物理的な到達力は残っている
  • 見方の注意: 郵便統計とICT統計では対象年や定義が異なるため、単純な因果関係としては読まない方がよい
目次

使ったデータと比較条件

今回の比較では、郵便とデジタル通信を次の一次資料で見ています。

比較の前提も整理しておきます。

  • 郵便の数字は、主にUPU加盟国の指定郵便事業者が扱うレター郵便です
  • 民間宅配便のすべてを含む物流総量ではありません
  • ITUのインターネット利用率は、個人が一定期間内にネットを使ったかを集計した指標です
  • 郵便の長期比較は主に2012年対2021年、デジタル側は2023年または2025年の値が中心です

郵便物は実際にどれだけ減ったのか

ここは数字を先に押さえるのが早いです。

  • UPUによると、2021年の国内レター郵便物数は2570億通
  • これは2012年水準の約73%で、逆に言えば約27%減です
  • 国際レター郵便物数は2021年に18億通
  • 国際分は2012年の半分未満で、総レター郵便物に占める比率も1%未満でした
  • 2020年はパンデミックの年で、レター郵便物数は前年比でほぼ14%減と大きく落ち込みました

つまり、減少は一時的な現象ではありません。2020年の急落は特殊要因ですが、その前から長く続く下り基調があり、2021年に戻り切れていません。

ここがポイント: 世界の郵便は「なくなった」のではなく、まず手紙から縮み、その空いた場所をデジタル通信と一部の小口物流が埋めてきた、と見るのが実態に近いです。

特に落ち込みが大きいのは国際郵便

国内郵便よりも、国際郵便の落ち込みが急です。ここが重要です。

国をまたぐ連絡は、電子メール、メッセージアプリ、オンライン請求、電子契約に置き換わりやすいからです。企業間の通知や個人間の近況連絡は、紙を使わなくても成立しやすい。UPUの数字で国際レター郵便が総量の1%未満まで縮んだのは、その変化をかなり端的に示しています。

その間に通信インフラはどう変わったか

郵便が減る一方で、デジタル側はかなり広がりました。

  • ITUによると、2023年の世界のインターネット利用者は54億人、人口比67%
  • さらに2025年推計では、60億人、人口比74%まで増加
  • 2023年のモバイル契約数は89億件で、世界人口を上回る規模
  • モバイル契約数は人口100人当たり111件
  • モバイルブロードバンド網の人口カバー率は2023年に95%
  • 4Gカバー率は90%5Gは40%まで到達

通信の主役が「紙を運ぶネットワーク」から「電波と回線のネットワーク」へ移ったことは、ここからかなりはっきり読み取れます。

ただし「つながる」と「使える」は別

数字だけ見ると、世界はかなりオンライン化したように見えます。ですが、そこには段差があります。

  • 2025年時点でも22億人がオフライン
  • 2023年ベースでは、低所得国のインターネット利用率は27%
  • 低所得国では、4G以上のカバー率が39%にとどまる
  • 世界全体で見ても、固定電話は2005年の人口100人当たり20契約から、2023年には11契約へ半減

デジタル化は進んだものの、どこでも均等に置き換えが進んだわけではありません。接続できる地域、速度、端末の価格、デジタル技能まで含めると、利用可能性にはまだ大きな差があります。

郵便ネットワークはなぜまだ残るのか

郵便物数が減っても、郵便インフラがすぐ不要になるとは言えません。理由は単純で、物理拠点の密度がまだ大きな意味を持つからです。

UPUのConnect.post構想によると、世界には65万超の郵便局があり、その多くは農村部や遠隔地にあります。しかも、10万局超はまだ未接続です。ここから分かるのは、郵便局が古いインフラとして消えていく一方通行ではなく、むしろデジタルの入口として再利用されようとしていることです。

変わったのは「郵便局の役目」

以前の中心機能は、手紙や通知を紙で届けることでした。

今はそれに代わって、次の役目が前に出ています。

  • 荷物や越境ECの受け渡し
  • 行政手続きや本人確認の補助
  • デジタルサービスへの対面アクセス
  • ネットに不慣れな人への支援窓口

郵便物数の減少だけを見て「郵便は不要」と切ると、この役目の転換を見落とします。

数字から言えること、言えないこと

ここは分けておきたいところです。

言えること

  • 世界のレター郵便は長期で減っている
  • 国際レター郵便の減少は国内より急だ
  • 同じ時期に、インターネット利用とモバイル接続は大きく伸びた
  • 郵便ネットワークは、縮小しながらもデジタル移行の受け皿として残ろうとしている

まだ言い切れないこと

  • 「郵便が減った原因のすべてがデジタル化」とは断定できない
  • パンデミック、料金改定、景気、企業の請求方法変更、越境物流の制度変更も影響しうる
  • UPU統計は指定郵便事業者中心なので、民間事業者を含む通信・物流全体の代替関係をそのまま示すわけではない
  • 郵便統計の長期系列と、ICT統計の最新年は一致しないため、厳密な同年比較ではない

これから見るべき点

世界の郵便減少を追うときは、単に「何通減ったか」だけでは足りません。次はこの3点を見ると動きがつかみやすくなります。

  • 手紙の減少がどこで止まるか: 生活連絡や請求の紙離れが一巡した後、減少率が鈍るのか
  • 郵便局のデジタル化が進むか: 未接続の10万局超がどこまでネット接続されるか
  • 地域差が縮むか: インターネット利用率74%の裏に残る22億人を、どのインフラが支えるのか

手紙は減りました。ただ、通信インフラの勝者が単純にデジタルへ総入れ替えされたわけでもありません。オンライン化が進むほど、最後の入口としての物理拠点が逆に重要になる地域がある。世界の郵便を今見る意味は、そのねじれが数字に出始めている点にあります。

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