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家賃は本当に上がり続けているのか?主要都市の賃料推移と地域差をデータで比較

家賃は本当に上がり続けているのか?主要都市の賃料推移と地域差をデータで比較

家賃がずっと一本調子で上がっている、という見方は少し単純です。公的統計で追うと、家賃は食料や光熱費のように急角度で跳ねる項目ではなく、動きは緩やかです。その一方で、都市ごとの差は小さくなく、同じ「家賃上昇」と言っても東京圏と地方都市では見え方が変わります。

今回は、総務省統計局の小売物価統計調査住宅・土地統計調査を中心に、主要都市の賃料の見方を整理します。月次で追える動きと、5年ごとに確認できる地域差は別物なので、その違いを分けて読むのがポイントです。

  • 結論は、家賃は全国で一様に上がり続けているとは言い切れない
  • 月次で見ると、家賃の動きは他の生活コストより緩やか
  • 地域差を見るなら、都市別の家賃調査や住宅・土地統計調査を併用する必要がある
  • 単純なランキングだけでは、面積や住宅の質の違いを見落としやすい
目次

使ったデータと比較条件

まず、この記事で見ている「家賃」は同じ名前でも集計方法が違います。ここを混ぜると誤読しやすくなります。

月ごとの動きを見るデータ

総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)です。都道府県庁所在市と人口15万以上の市を対象に、民営家賃を1か月・3.3平方メートル当たりで調べています。毎月公表されるので、直近の動きはこの統計で追えます。

地域差をまとめて見るデータ

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査です。こちらは2023年10月1日現在の状況を集計した5年ごとの調査で、借家や民営借家の平均家賃、平方メートル当たり家賃などを全国・都道府県・市区町村ベースで確認できます。

この記事での見方

  • 推移: 小売物価統計調査と消費者物価指数の家賃関連系列
  • 地域差: 住宅・土地統計調査の借家・民営借家関連表
  • 対象地域: 東京圏を含む主要都市、全国比較
  • 注意点: 月次統計は3.3㎡当たり、住宅・土地統計調査は1住宅当たりや1㎡当たりなど、単位が違う

まず結論: 「上がり続けている」より「じわじわ上がる都市と鈍い都市に分かれる」

家賃の話で印象が強くなりやすいのは、食料品や電気代のような急な値上がりです。ですが、総務省の統計体系では、家賃はそうした品目とは性格が違います。

借主が入れ替わるたびに一気に全体が跳ねるわけではなく、既存契約が多く残るため、統計上の平均はゆっくり動きます。つまり、ニュースで感じる「新しく借りる部屋が高い」という感覚と、統計で見る「全体平均の家賃」は一致しないことがあります。

ここがポイント: 家賃は上がる都市でも、統計上は“急騰”より“じわじわ上昇”として現れやすい。逆に、横ばいに見える地域でも、新規募集家賃だけ見れば別の景色になり得ます。

月次データで見ると、家賃は急上昇型ではない

家賃の足元を見るには、小売物価統計調査やCPIの家賃関連系列が向いています。

総務省統計局のCPIでは、全国の2025年平均の総合指数は111.92024年度平均は109.5でした。これは物価全体がこの数年でしっかり上がっていることを示します。

ただし、家賃はこの総合指数ほど急には動きません。家賃は契約の更新タイミングや既存入居者の継続が影響するため、食品やエネルギーのように短期間で大きく振れにくいからです。

ここで押さえたいのは次の点です。

  • 物価全体の上昇ペースと、家賃の上昇ペースは同じではない
  • 「生活費が急に上がった」という体感だけで家賃全体を判断するとズレやすい
  • 家賃は月次で追っても、連続的な急騰より緩やかな積み上がりとして表れやすい

主要都市の差はどこで出るのか

地域差を見るときは、単純な平均家賃だけでは足りません。都市ごとに住宅の広さ、木造か非木造か、単身向けかファミリー向けかが違うからです。

東京圏は「総額の高さ」が目立ちやすい

住宅・土地統計調査では、東京都や特別区部、政令指定都市ごとの借家・民営借家の平均家賃や平方メートル当たり家賃を確認できます。東京圏は総額ベースで高くなりやすく、特に非木造の民営借家が厚い地域では、月額の見かけが上がりやすい傾向があります。

これは「同じ広さで必ず高い」という意味ではありません。駅距離、築年数、設備、単身向け住戸の多さでも数字は動きます。ですが、都市の住宅ストックの構成そのものが、平均家賃の差を作っている点は見落とせません。

地方中枢都市は「上昇率」と「水準」を分けて見る必要がある

札幌、仙台、名古屋、福岡のような地方中枢都市では、東京ほどの水準でなくても、需給の締まり方によって上昇が目立つ局面があります。

ここで重要なのは、次の2軸です。

  • 水準: もともとの家賃が高いか低いか
  • 変化: 直近でどれだけ上がったか

水準が低い都市でも、上昇率だけ見れば目立つことがあります。逆に、水準が高い都市でも、統計上の変化率は小さいことがあります。

同じ都市でも、面積で見える景色が変わる

住宅・土地統計調査には、1住宅当たり家賃だけでなく、延べ面積1㎡当たり家賃の表もあります。これを見ると、広い住宅が多い地域と、コンパクトな住宅が多い地域を少し公平に比べやすくなります。

東京圏の総額が高く見えるのは事実ですが、面積当たりで見たときに差がさらに広がるのか、あるいは縮むのかは、地域ごとに確かめる必要があります。

「家賃が上がった」と感じやすい場面

統計の動きが緩やかなのに、生活実感では家賃上昇が強く意識される理由もあります。

新しく借りる人に変化が集中しやすい

既存契約の入居者は、同じ部屋で急に大幅値上げを受けないことが多い一方、新規募集では条件が先に見直されやすいです。そのため、引っ越しをする人ほど「前より高い」と感じやすくなります。

住み替え先が小さくても支払いが増えることがある

同じ予算でも、都心寄りに動く、駅近を選ぶ、築浅を選ぶと、面積が縮んでも月額が上がることがあります。ここでは「家賃総額」と「1㎡当たり単価」の両方を見る必要があります。

家賃以外の住居コストも同時に上がりやすい

住居費の実感は家賃だけで決まりません。

  • 更新料 n- 共益費・管理費
  • 火災保険料
  • 引っ越し費用
  • 修繕や設備負担

このため、統計上の民営家賃が緩やかな上昇でも、引っ越し時の負担感は強くなりやすいのです。

読み解くときの注意点

ここはかなり大事です。家賃データは、見出しだけ拾うと誤解しやすいテーマです。

「募集家賃」と「実際に住んでいる家賃」は違う

小売物価統計調査やCPIの家賃系列、住宅・土地統計調査の平均家賃は、ポータルサイトの募集賃料ランキングとは性格が違います。募集家賃は新規募集中心、公的統計は居住実態や継続契約の影響も受けます。

単位をそろえないと比較を誤る

  • 小売物価統計調査: 1か月・3.3㎡当たり
  • 住宅・土地統計調査: 1住宅当たり、1㎡当たりなど複数
  • CPI: 指数

同じ「家賃」でも、円なのか指数なのか、面積をそろえているのかで意味が変わります。

2025年以降の都市別比較は接続に注意

小売物価統計調査では、統計表の変更や調査市町村の見直しが入ることがあります。総務省統計局も、家賃調査地区の追加などで過去との単純比較ができない場合があると案内しています。長い時系列を引くときは、この注記を必ず確認したいところです。

生活者目線で見るなら、次にどこを見るべきか

「家賃は上がり続けているのか」という問いへの実務的な答えは、こうなります。

  • 全国平均だけでは判断しない
  • 住みたい都市の民営家賃の月次推移を見る
  • その都市の1㎡当たり家賃も確認する
  • 引っ越し検討なら、募集賃料と公的統計の両方を見る

特に2026年時点で次に注目したいのは、東京圏だけでなく、札幌、仙台、福岡など地方中枢都市の動きです。総額の高さでは東京圏が目立っても、伸び方の変化は別の都市で先に出ることがあります。

家賃を見るときに必要なのは、「全国で上がったか下がったか」という一問一答ではありません。どの都市で、どの単位で、どの期間を比べているのか。そこを揃えるだけで、見え方はかなり変わります。

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