MENU

ガソリン価格はどこまで変動しているのか?過去推移と要因を分析

ガソリン価格はどこまで変動しているのか?過去推移と要因を分析

結論から言うと、足元のガソリン価格は落ち着いて見えても、ここ数年の振れ幅はかなり大きいです。資源エネルギー庁の週次調査では、全国平均のレギュラー価格は2021年1月の136.1円から、2023年8月には185.6円まで上がり、2026年1月には155.7円まで下がりました。2026年4月13日時点では167.5円で、ピーク圏からは下がったものの、数年単位で見ると高めの水準が続いています。

今回の記事では、資源エネルギー庁の週次小売価格、日銀の為替データ、公開されている原油・備蓄関連データを使い、全国のガソリン価格がどのくらい動いたのか、その背景に何があったのかを整理します。

  • 最新の全国平均は167.5円/L(2026年4月13日調査)
  • 近年の高値局面では185円台まで上昇
  • 価格を動かす主因は、原油価格、円安、政府補助の3つ
  • 地域差も大きく、同じ週でも最安160.1円、最高178.1円と18.0円差がある
目次

使用データと比較条件

まず、この記事で見ている数字の範囲をはっきりさせます。

  • ガソリン価格: 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の給油所小売価格調査
  • 最新値: 2026年4月13日時点、4月15日公表
  • 対象: 全国平均と都道府県別のレギュラーガソリン店頭価格
  • 為替: 日本銀行「為替相場(東京インターバンク相場)月次」
  • 原油・供給面の補足: 資源エネルギー庁の燃料油価格対策ページ、石油備蓄関連資料、国別原油輸入データ

資源エネルギー庁の週次調査は、原則として毎週月曜日に調査し、水曜日に公表されます。なお、同庁は2004年4月以降の価格は消費税込みとしています。長期比較では、この定義をそろえて見る必要があります。

まず押さえたい最新水準

2026年4月13日時点の全国平均は、レギュラーで167.5円/Lでした。前週比は0.1円の上昇で、ほぼ横ばいです。

都道府県別に見ると、同じ週でもかなり差があります。

  • 最安: 埼玉県 160.1円/L
  • 最高: 長崎県 178.1円/L
  • 価格差: 18.0円/L

全国平均だけを見ていると動きが小さく見えますが、実際の給油価格は地域でかなり違います。通勤や配送で車を使う人にとっては、この差は月間の家計や事業コストにそのまま効いてきます。

ここがポイント: ガソリン価格は「全国平均の上下」だけでなく、その時点の政策対応と地域差を合わせて見ると実態がつかみやすくなります。

過去推移を見ると、数年で50円近く動いている

近年の主な節目を並べると、変動の大きさが分かります。

  • 2021年1月4日: 136.1円/L
  • 2021年6月14日: 154.5円/L
  • 2023年8月28日: 185.6円/L
  • 2025年1月20日: 185.1円/L
  • 2026年1月5日: 155.7円/L
  • 2026年4月13日: 167.5円/L

この並びだけでも、2021年初から2023年夏の高値まで約49.5円上がり、その後2026年1月まで約29.9円下がり、春にかけて再び約11.8円戻したことになります。

特に2023年8月の185.6円/Lは、比較可能な1990年以降で高値更新と報じられた水準です。2025年1月の185.1円/Lも、それに迫る水準でした。つまり、最近の日本のガソリン価格は「高止まりの中で上下に大きく振れる局面」に入っていたと見たほうが実感に近いです。

2021年から2023年にかけての上昇局面

2021年初の136円台から、2021年半ばには154円台まで上がりました。この時期は世界経済の持ち直しで石油需要が戻り、原油高が店頭価格に反映された時期です。

その後、2022年から2023年にかけては、原油高に加えて円安が重なりました。価格上昇が続いた結果、2023年8月には185.6円/Lに達しています。

2025年末から2026年初の下落局面

一方、2026年1月5日時点では155.7円/Lまで下がりました。報道ベースでは、2021年6月以来の安値水準とされています。原油価格の下落が主因とされ、ピーク圏からはかなり下がりました。

ただし、その後は中東情勢の緊張もあって再び上向き、2026年4月時点では167円台に戻っています。

価格を動かす3つの要因

ガソリン価格の変動は、1つの理由だけで説明しにくいです。実際には、次の3つが重なって動きます。

1. 原油価格

いちばん大きいのは、当然ながら原油そのものの価格です。日本は原油を輸入に頼っているため、海外市況の影響を受けやすい構造です。

資源エネルギー庁の公開データをもとにした国別原油輸入データでは、2024年3月時点の日本の原油輸入の94.7%が中東です。輸入先の中心はアラブ首長国連邦で、ここが44.1%を占めていました。

この構造だと、中東情勢が緊張したときに、日本のガソリン価格が反応しやすいのは自然です。2026年3月以降の政策対応が急いで打たれたのも、その脆弱さを前提にしています。

2. 円安

原油が同じドル建て価格でも、円安になると日本の輸入コストは上がります。

日銀の月次データを見ると、ドル円の月中平均は次のように動いています。

  • 2021年1月: 103.7円/ドル
  • 2022年10月: 147.2円/ドル
  • 2024年6月: 157.9円/ドル
  • 2025年1月: 156.4円/ドル
  • 2026年3月: 158.6円/ドル

2021年初と比べると、円の弱さはかなり進みました。ガソリン価格の上昇を「原油だけ」で見ると読み違えます。原油高と円安が同時に来ると、店頭価格は上がりやすいという点が重要です。

3. 政府補助と備蓄放出

足元の価格を読むうえで見落とせないのが、政府の価格抑制策です。

資源エネルギー庁の特設ページによると、2025年後半からガソリン向け補助は段階的に拡充され、2025年12月11日以降は25.1円/L、2026年4月16日以降は35.5円/Lの支給単価が示されています。

さらに2026年3月からは、中東情勢を踏まえた緊急的な激変緩和措置が始まりました。政府は全国平均で170円程度に抑える方針を示し、国家備蓄原油の放出や民間備蓄義務量の引き下げも進めています。

つまり、2026年春の167円台は、市況だけで自然に決まった数字ではありません。補助金と供給対策で押し下げられた結果の価格でもあります。

地域差はなぜ残るのか

全国平均が政策である程度抑えられても、地域差は消えません。

資源エネルギー庁のQ&Aでも、ガソリン価格には輸送コストなどによる地域差があると説明されています。実際、2026年4月13日時点では、埼玉160.1円に対して長崎178.1円でした。

地域差が出やすい要素は、主に次の通りです。

  • 製油所や物流拠点からの距離
  • 島しょ部を含む輸送条件
  • 地域の競争環境
  • 販売量の多寡

生活者目線では、同じ「全国平均167.5円」というニュースでも、自分の地域で170円を超えていれば体感はかなり違います。配送業や営業車を多く使う事業者では、その差が月次コストに積み上がります。

このデータから何が言えて、何が言えないか

事実として言えるのは、次の点です。

  • 日本のガソリン価格は、ここ数年で50円近い上昇局面を経験した
  • 2026年春の価格は、2023年の高値圏より低いが、2021年初よりは高い
  • 価格の動きには、原油、為替、補助が重なっている
  • 日本の原油調達は中東依存が9割超で、地政学リスクの影響を受けやすい

一方で、注意も必要です。

  • 店頭価格の変動を、単純に「原油価格だけ」で説明することはできない
  • 補助金がある時期の価格は、補助のない市場価格と同列に比較しにくい
  • 週次調査の全国平均と、実際に自分が給油する店舗価格は一致しない
  • 地域差があるため、全国平均の変化がそのまま家計負担の変化にはならない

今後の見どころ

次に見るべき点ははっきりしています。

  • 補助金の支給単価が今後どう変わるか
  • 中東情勢の緊張が原油調達にどこまで影響するか
  • 国家備蓄や民間備蓄の放出が供給安定にどこまで効くか
  • 170円前後の抑制が続くのか、それとも再び180円台に近づくのか

ガソリン価格は、家計のなかでは電気代や食料品ほど毎日意識しない人もいます。ただ、車通勤、地方の移動、物流費を通じた物価への波及まで含めると、変動の影響は広いです。次の焦点は「原油が上がるか」だけではなく、「補助が続くか、地域差が広がるか」にあります。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次