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サブスク支出は増えているのか?家計調査データから実態を分析

サブスク支出は増えているのか?家計調査データから実態を分析

結論から言うと、家計の「サブスク支出」は一律に増えているとは言い切れません。 ただし、動画やアプリ、電子書籍のようなデジタル系の継続課金に近い支出は伸びています。

一方で、新聞のような従来型の定期購読は長期では縮小傾向です。公的統計で見ると、家計の固定費がそのまま膨らみ続けているというより、中身がデジタル寄りに入れ替わっている と見るのが実態に近いです。

  • 最新の年平均では、二人以上世帯の消費支出は2025年に月31万4,001円で、実質0.9%増
  • ただし「サブスク」は家計調査の正式な1項目ではないため、通信・受信料とネット上のデジタル支出を組み合わせて読む必要がある
  • 2024年の家計消費状況調査では、ネットショッピングの教養関係費は月2,417円で前年比9.9%増
  • その内訳では、電子書籍が21.9%増、ダウンロード版の音楽・映像・アプリなどが15.0%増だった
目次

まず押さえたい結論

「サブスク」という言葉は便利ですが、総務省の家計調査ではそのままの分類名では出てきません。そこで今回は、次の2つを合わせて見ます。

  • 毎月払いやすい固定費に近いもの
  • インターネット接続料、NHK放送受信料、ケーブルテレビ受信料など
  • デジタルの継続利用に近いもの
  • 電子書籍、ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど

この見方で整理すると、増えているのは主に後者です。通信や受信のような古くからある定額支出だけを見て「サブスクが急増している」とまでは言えません。

ここがポイント: 公的統計で見えるのは「サブスク全体」ではなく、通信・受信料とデジタルコンテンツ支出の断片です。増えているのは主にデジタル側です。

使用データと比較条件

今回使うのは、主に総務省統計局の2つの統計です。

  • 「家計調査」
  • 全国の世帯を対象に、日々の収入と支出を調べる基幹統計
  • 最新の年平均として確認できるのは、2025年平均結果(2026年2月6日公表)
  • 「家計消費状況調査」
  • 家計調査を補完する調査で、ICT関連支出やネットショッピングの内訳を把握しやすい
  • 2024年平均結果では、電子書籍やダウンロード版コンテンツの支出が確認できる

比較の中心は、二人以上の世帯・全国・2023年と2024年 です。これはデジタル系支出の内訳を公的資料で追いやすい組み合わせだからです。

なお、家計調査は2025年1月分から収支項目分類が改定されています。年をまたぐ比較では、項目のつながりが完全に同じとは限らない 点に注意が必要です。

主要な数字を見る

家計全体の支出はどう動いたか

総務省の家計調査によると、二人以上の世帯の消費支出は次の通りです。

  • 2024年平均: 月30万243円、名目2.1%増、実質1.1%減
  • 2025年平均: 月31万4,001円、名目4.6%増、実質0.9%増

家計全体では2025年に実質でも持ち直しました。ただ、ここからすぐに「サブスクが増えた」とは言えません。支出総額の増減と、継続課金型サービスの増減は別の話だからです。

デジタル系の支出は増えている

2024年の家計消費状況調査では、二人以上世帯のネットショッピング利用世帯割合は 55.3% で、前年の53.5%を上回りました。ネットショッピング支出額も 月2万4,928円 と、前年の2万3,021円から 8.3%増 です。

このうち、サブスクに近い支出が含まれやすい「教養関係費」は次の通りです。

項目 2023年 2024年 前年比
教養関係費 2,200円 2,417円 +9.9%
電子書籍 210円 256円 +21.9%
ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど 234円 269円 +15.0%
チケット 950円 1,080円 +13.7%
音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト 393円 380円 -3.3%

ここで目立つのは、モノのソフトより、電子書籍やアプリのようなデジタル配信系が伸びている ことです。継続課金の多いサービスが家計の中で存在感を増している、と読む材料になります。

通信・受信の固定費はすでに家計に深く入っている

家計消費状況調査の2024年平均では、二人以上世帯の インターネット接続料は月4,447円 でした。これは家計にとって小さくない固定費です。

また、総務省のFAQでは、家計調査の「情報通信関係費」は次の合計とされています。

  • 固定電話通信料
  • 携帯電話通信料
  • NHK放送受信料
  • ケーブルテレビ放送受信料
  • 他の受信料
  • インターネット接続料

つまり、家計調査で見える「定額で払い続ける支出」は、動画配信だけではありません。通信回線や放送受信料のような昔からの固定費も同じ束に入っています。

何が増えて、何が減っているのか

増えているのは「配信・アプリ・電子書籍」

2023年から2024年にかけて増加率が大きかったのは、次のようなデジタル項目です。

  • 電子書籍: 21.9%増
  • ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど: 15.0%増
  • ネットショッピング全体の教養関係費: 9.9%増

この動きは、家の中で使う娯楽や学習、スマホ経由の少額課金が、じわじわ家計に組み込まれていることを示します。

減りやすいのは紙やパッケージ中心の支出

一方、総務省の過去の家計調査ミニトピックスでは、「読書」関連支出は2004年から2014年にかけて17.1%減り、内訳では新聞が14.9%減でした。少し古い数字ですが、定期購読の中心が紙からデジタルへ移ってきた長期傾向 を確認できます。

このため、家計の中で起きているのは「サブスク総額の一直線の増加」というより、

  • 紙の定期購読やパッケージ購入が弱くなる
  • その代わり、配信やアプリ課金が増える

という置き換えです。

この記事で言えること、言えないこと

言えること

  • 家計の中で、デジタル配信系の支出は増えている
  • 2024年は電子書籍やダウンロード型コンテンツの伸びがはっきり確認できる
  • 通信・受信の固定費は、すでに毎月の家計に大きく組み込まれている

言えないこと

  • 公的統計だけで「NetflixやSpotifyなどのサブスク総額」をそのまま出すこと
  • すべての継続課金サービスを1本の時系列で厳密に比較すること
  • 支出増加の理由を、物価、利用者増、単価上昇のどれか1つに断定すること

特に注意したいのは、家計消費状況調査の「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」には、単発購入と継続課金が混ざり得る点です。ここはサブスクに近い動きの参考指標 として読むのが妥当です。

これから見るべきポイント

2025年以降も追うなら、見るべき点は3つです。

  • インターネット接続料がさらに増えるのか、それとも横ばいになるのか
  • 電子書籍やアプリなど、デジタル配信系の伸びが続くのか
  • 2025年の収支項目分類改定後に、関連項目の比較がどこまで素直にできるか

家計の現場で起きているのは、「サブスクが増えた」という単純な話ではありません。紙やパッケージの支出が弱まり、通信とデジタル配信の固定費が家計の中心へ寄っている。 次に注目すべきなのは、その流れが2025年以降も続くかどうかです。

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