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飲食店の減少は一様ではない――高知の居酒屋・喫茶店を20年の統計で比べる

喫茶店や居酒屋、専門料理店が並ぶ日本の街並みのイメージ。

飲食店の減少は一様ではない――高知の居酒屋・喫茶店を20年の統計で比べる

高知県では、飲食店の事業所数が2001年の6,335から2021年の3,809へ、約4割減りました。ただし、業態ごとの差は大きく、喫茶店やバーなどが減る一方、「その他の専門料理店」は増えています。

全国の喫茶店も2016年から2021年に12.7%減りました。飲食店の減少を読むには、総数に加え、どの業態が減ったのか、従業者数も同じように減ったのかを見る必要があります。

この記事では、高知県の業態別推移と全国の喫茶店統計を使い、次の点を整理します。

  • 高知県の飲食店は、20年間でどの程度減ったのか
  • 喫茶店、居酒屋、専門料理店で減り方はどう違うのか
  • 店の数と、働く人の数を分けると何が見えるのか
  • 2024年の新しい統計を、そのまま過去と比べられない理由
目次

使用データと比較条件――全国と高知県を分けて読む

比較の中心は、2001〜2021年の高知県の飲食店事業所数で、全国については喫茶店の推移を確認します。

高知県の数値は、四国銀行が公表した『高知県の経済と産業2023』の飲食店資料に掲載された集計です。元データは、総務省の「事業所・企業統計調査」と、総務省・経済産業省の「経済センサス」です。四国銀行の資料には、業態別の事業所数と従業者数が並んでいます。

全国の喫茶店については、全日本コーヒー協会が経済センサスなどから整理した事業所数・従業者数の資料を使います。

比較条件は次のとおりです。

  • 対象地域:高知県、全国。県の増減率を全国全体の増減率として扱わない
  • 対象期間:長期比較は2001〜2021年、直近の比較は2016〜2021年
  • 指標:事業所数と従業者数。売上高、席数、営業時間とは別の指標
  • 単位:事業所数は拠点の数、従業者数は人。企業数やブランド数ではない
  • 計算方法:増減率は「比較年の数÷基準年の数−1」。小数第1位に丸める

2021年の調査時点は6月1日です。産業横断的集計は2023年6月27日に公表されています。総務省統計局の公表情報

なお、2026年10月時点では、2024年経済センサス‐基礎調査の確報も公表済みです。ただし対象範囲が異なるため、本記事の数値比較には継ぎ足していません。この違いは後半で説明します。

高知県の飲食店は20年で約4割減った

高知県の飲食店は長期的に減少しており、2016〜2021年の5年間だけを見ても減っています。

四国銀行の集計では、飲食店全体の事業所数は次のように変化しました。

  • 2001年:6,335事業所
  • 2016年:4,435事業所
  • 2021年:3,809事業所

2001〜2021年の減少数は2,526、減少率は39.9%です。2016〜2021年も626減り、減少率は14.1%でした。

ここで押さえたいのは、減少がコロナ禍の前から続いていたことです。2001〜2016年の間にも、事業所数は約3割減っています。2021年の少なさを、すべて感染拡大後の変化として説明することはできません。

ただし、これは各調査時点の数を比べた結果です。「2,526店が閉店した」という意味ではありません。期間中に開業した店もあるため、確認できるのは開業や廃業などを経た後の差です。

業態別では喫茶店の減少が大きく、専門料理店には増加もある

同じ県内でも、2016〜2021年の増減は業態によって分かれます。

下表は四国銀行の資料に基づく高知県の比較です。事業所数の単位は事業所、増減率は本記事で計算しました。「食堂・レストラン」は専門料理店を除く区分です。

業態2016年2021年増減率
食堂・レストラン406331−18.5%
喫茶店1,053834−20.8%
酒場・ビヤホール995863−13.3%
バー・キャバレー・ナイトクラブ809684−15.5%
日本料理店〈料亭を含む〉179181+1.1%
その他の専門料理店191202+5.8%

喫茶店と居酒屋では、減少幅が違う

この6区分で2016〜2021年の減少率が最も大きいのは喫茶店です。酒場・ビヤホールより7.5ポイント大きく減っています。

20年間で見ても、喫茶店は49.3%減、酒場・ビヤホールは23.2%減でした。喫茶店は約半分になった一方、酒場・ビヤホールの減少は約4分の1です。飲食店全体の約4割減という数字だけでは、この差が隠れます。

「酒場・ビヤホール」は、居酒屋を読むうえで使える統計区分です。ただし、店名に「バー」が付いている店をすべて同じ区分に集めているわけではありません。調査の分類例では、ダイニングバーは酒場・ビヤホール、スナックなどはバー・キャバレー・ナイトクラブ側に示されています。総務省統計局の分類例

増えた業態もあるが、少ない母数に注意したい

高知県の「その他の専門料理店」は2001年比で66.9%増えています。総数が減る中でも、すべての料理ジャンルが縮小したわけではありません。

一方、2016〜2021年の増加数は11事業所です。日本料理店も2事業所増にとどまります。増加率だけを見て、県内の飲食需要が大きく拡大したと判断するのは早計です。

また、「その他の専門料理店」は複数の料理ジャンルをまとめた区分です。この集計だけでは、どの料理が増加を支えたのかまでは分かりません。

全国の喫茶店も減少――高知だけの現象ではない

喫茶店の減少は全国でも確認できますが、高知県の減り方は全国平均より大きくなっています。

全日本コーヒー協会が整理した全国の事業所数は、2012年に70,454、2016年に67,198、2021年に58,669でした。

2012〜2016年は4.6%減、2016〜2021年は12.7%減です。後の期間で減少率が大きくなっています。ただし、前者は4年間、後者は5年間で、比較期間の長さは同じではありません。

同じ2016〜2021年で比べると、全国の12.7%減に対し、高知県は20.8%減。高知県の減少率が8.1ポイント上回ります。

この差から確認できるのは、全国と高知県の喫茶店数の動きが同じではないことです。人口の変化、経営者の年齢、出店する企業の違いなどは検証すべき背景ですが、店舗数だけではそれぞれの寄与を特定できません。

「カフェが増えた印象」と統計は両立する

統計上の喫茶店には、昔ながらの喫茶店だけでなくカフェも含まれます。主としてコーヒー、紅茶、清涼飲料や簡易な食事を、その場所で提供する事業所という区分です。

一部の駅前や商業施設でカフェが開業しても、ほかの場所でそれ以上の減少があれば、全国の総数は減ります。特定のチェーンの出店と、地域全体の事業所数は別々に確かめる必要があります。

また、この区分だけでは、個人店とチェーン店の入れ替わりを直接測れません。「喫茶店の減少」を、そのまま「個人店がチェーンに置き換わった証拠」と読むこともできません。

店の数ほど従業者は減っていない

喫茶店では、事業所数と従業者数の減少率が異なり、1事業所当たりの人数は増えています。

全国の喫茶店の従業者数は、2016年の328,893人から2021年の307,693人へ、6.4%減りました。事業所数の12.7%減より小さい減少です。

両者を割ると、1事業所当たりの従業者数は約4.9人から約5.2人になります。店の数が減った割合と、働く人が減った割合は一致しません。

これは、平均すると従業者の多い事業所の比重が高まったことを示します。ただし、既存店が人員を増やしたのか、小規模店が減ったのか、大きな店が新しく開業したのかは、この平均だけでは切り分けられません。

高知県の飲食店全体でも、2001〜2021年の事業所数は39.9%減、従業者数は27.0%減でした。拠点の数と雇用の規模は、違う速さで縮小しています。

生活との関係でも、この違いは重要です。店が少なくなることは、食事や休憩に立ち寄れる場所の減少に関わります。一方、従業者数は地域の仕事の規模を考える材料です。席数や営業時間が分からない以上、店の減少率からサービスの供給量まで同じ割合で減ったとは言えません。

最新統計の注意点――2024年の数字をそのまま継ぎ足さない

2024年の新しい結果を使う際は、雇用者のいない個人経営の事業所が通常の調査対象から外れている点を確認する必要があります。

総務省統計局は、2024年経済センサス‐基礎調査の甲調査について、過去の経済センサスと対象範囲が異なると明記しています。確報の公表日は2025年12月24日です。2024年調査の結果と比較上の注意

例えば、店主だけで営業する個人経営の喫茶店は、この対象範囲の違いが関係する事業所です。対象をそろえずに2021年と2024年を引き算すれば、調査対象から外れた分まで実際の店舗減少として扱いかねません。

雇用者のいない個人経営の事業所を含む参考表も公表されています。e-Statの参考表一覧には、産業小分類別の表があります。ただし、個人経営の事業所を含むことだけで比較条件がすべてそろうわけではなく、把握方法や活動状態の扱いも確認が必要です。

長期比較にも注意点があります。

  • 調査の違い:2001年は事業所・企業統計調査、2016年と2021年は経済センサス‐活動調査。長期の数字を完全に同じ方法で測った系列とは扱わない
  • 業態の違い:店内での飲食を主とする店と、持ち帰り・配達飲食サービス業は別区分。後者への移行は飲食店の数だけでは追えない
  • 時点の違い:2021年はコロナ禍の調査時点。2026年の営業状況を示す数ではない
  • 指標の違い:事業所数は売上、客数、利益とは別。店が減っても、残った店の売上が増える場合はある

総務省統計局の飲食店数に関する統計FAQも、経済センサスと従来の事業所・企業統計調査では調査手法が異なると説明しています。

地域の飲食環境を見るなら、次は規模と場所を確かめる

次に確認すべきなのは、減った業態がどこにあり、どの規模の店だったのかです。

今回の数字からは、高知県の飲食店の長期的な減少、喫茶店と酒場の減少幅の違い、専門料理店の一部の増加が確認できます。しかし、県全体の集計では、県庁所在地の中心部と郊外、人口の少ない町村の違いは分かりません。

地域の生活に結び付けて読むなら、次の順でデータを重ねると判断しやすくなります。

  • 市区町村別の事業所数:県内のどこに減少が集中しているか
  • 従業者規模別の事業所数:少人数の店と大きな店で増減が違うか
  • 人口当たりの事業所数:住民数の変化と店の減少を分けて確認。ただし観光客や通勤者の利用も考慮する
  • 持ち帰り・配達の事業所数:店内飲食の拠点が減る一方で、別の提供方法が増えているか

人口と店の数がともに減れば、住民当たりの店舗数は大きく変わらない場合があります。それでも、近くの店がなくなれば移動距離は伸びます。反対に、中心部に店が集まれば、県全体の総数が減っていても、その周辺では選択肢が多く見えます。

飲食店の減少率を見た後に確かめたいのは、日常的に歩いて、あるいは短い移動で利用できる店が、どこに残っているかです。総数、業態、規模、場所を順に見ることで、地域の食事や休憩の選択肢がどう変わったかに近づけます。

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