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引っ越しは減っているのか 2025年の住民移動データで見る地域間移動の鈍化

引っ越しは減っているのか 2025年の住民移動データで見る地域間移動の鈍化

引っ越しは急減しているというより、じわっと減っているというのが最新データの答えです。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年の市区町村間移動者数は519万548人で、2024年より0.3%減りました。都道府県をまたぐ移動も251万5731人で0.3%減っています。

ただし、全国で一様に動かなくなったわけではありません。東京圏はなお12万3534人の転入超過で、若年層の移動率も高いままです。総数は少し減っても、進学や就職に伴う都市部への移動は強く残っています。

  • 2025年の市区町村間移動者数は519万548人で、前年より0.3%減
  • 2022年の531万972人を起点にみると、3年続けて縮小
  • ただし2025年の市区町村間移動率は4.17%で、2024年と同率
  • 東京圏は2025年も12万3534人の転入超過で、集中自体は続いている
目次

使用データと比較条件

今回みるのは、総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」です。対象は住民基本台帳に基づく国内移動で、主に次の数字を使います。

  • 2025年結果(2026年2月3日公表)
  • 2024年結果(2025年1月31日公表、移動率など一部は2025年4月24日公表)
  • 2023年結果(2024年1月30日公表)
  • 用語の定義と統計の概要

比較の軸は次の4つです。

  • 全国の移動者数
  • 都道府県をまたぐ移動の規模
  • 東京圏・名古屋圏・大阪圏の転入超過、転出超過
  • 年齢別の移動率

住民基本台帳人口移動報告でいう「移動者」は、市区町村の境界を越えて住所を移した人です。同じ市区町村内の転居は含まれません。また、同じ人が年内に2回以上引っ越せば、その都度カウントされます。

まず結論 引っ越しは減っているが、落ち込みは大きくない

2023年から2025年までの全国値を並べると、減少は確認できます。

  • 2023年の市区町村間移動者数: 526万3249人
  • 2024年の市区町村間移動者数: 520万7746人
  • 2025年の市区町村間移動者数: 519万548人

都道府県間移動者数も同じ方向です。

  • 2023年: 254万4639人
  • 2024年: 252万3249人
  • 2025年: 251万5731人

2022年は市区町村間移動者数が531万972人でした。そこからみると、直近3年は緩やかな縮小です。つまり「みんなが急に引っ越さなくなった」というより、移動の総量が高止まりしたまま少しずつ細っていると見るほうが実態に近いです。

ここがポイント: 2025年は移動者数が減った一方で、市区町村間移動率は4.17%で前年と同じでした。人数だけ見ると減少ですが、人口規模も縮んでいるため、動く人の比率は大きくは下がっていません。

地域差は大きい 全国平均より東京圏への集中が目立つ

全国の移動総量が少し減っても、地域差はかなり残っています。

2025年に転入超過だったのは東京都、神奈川県、埼玉県など7都府県でした。なかでも東京都は6万5219人の転入超過で最も大きく、神奈川県は前年より転入超過幅が1089人拡大しています。

3大都市圏でみると、差はさらに分かりやすいです。

  • 東京圏: 12万3534人の転入超過
  • 名古屋圏: 1万2695人の転出超過
  • 大阪圏: 8742人の転入超過

ここで重要なのは、東京圏の転入超過が前年より1万2309人縮小していても、なお他地域を大きく上回る流入超過を維持していることです。集中の勢いはやや弱まっても、集中そのものが崩れたわけではありません。

日本人だけで見ても東京圏優位は続く

外国人を除いた日本人移動者でも、傾向は大きく変わりません。

  • 東京圏: 11万2738人の転入超過
  • 名古屋圏: 9561人の転出超過
  • 大阪圏: 7503人の転入超過

東京圏は30年連続の転入超過、名古屋圏は13年連続の転出超過、大阪圏は3年連続の転入超過です。引っ越し総数の微減よりも、地域ごとの受け皿の差のほうが、生活者にとっては影響が大きい場面があります。

どの世代が動いているのか

2025年の都道府県間移動率は、若年層で際立って高くなっています。

  • 20〜24歳: 9.25%
  • 25〜29歳: 8.16%
  • 30〜34歳: 4.85%
  • 総数: 2.02%

20代前半の移動率が高いのは、進学、就職、初職からの転職、単身世帯の住み替えが集中しやすいからです。30代に入ると率は下がりますが、それでも総数平均よりかなり高い水準です。

このため、「引っ越しが減っているか」を考えるときは、全国総数だけでなく、若年層の都市間移動がまだ強いことを別に見ておく必要があります。家族世帯や高齢層の移動が鈍くても、進学・就職期の流れは残りやすいからです。

2025年の数字をどう読むべきか

ここまでの数字から言える事実は比較的はっきりしています。

  • 全国の移動者数は2022年以降、縮小方向にある
  • ただし減少幅は年0.3%から1%台で、急激ではない
  • 東京圏への流入超過は続いている
  • 若年層、とくに20代前半の都道府県間移動率は依然として高い

一方で、データだけでは言い切れないこともあります。

  • 移動者数の減少が、住宅費上昇の影響だけで起きたとは断定できない
  • テレワークの定着だけで地域差が生まれたとは言えない
  • 結婚、出生、雇用、大学進学、外国人受け入れの変化など、複数の要因が重なっている可能性が高い

数字が示しているのは「移動は弱っているが、都市への吸引力はなお強い」という構図です。全国平均だけを見ると見落としやすい部分です。

誤読しやすい点と注意点

この統計は便利ですが、読み方には注意が必要です。

同じ自治体内の転居は入らない

同一市区町村内の引っ越しは、この統計の「移動者」に含まれません。たとえば同じ市内で賃貸を替えた動きは、住み替え需要としては重要でも、この集計では見えません。

届出ベースなので、実際の移動時期とずれることがある

この統計は転入届出や職権記載の時点で計上されます。実際に引っ越した日と、統計に載る月や年がずれることがあります。

長期比較では定義の違いに注意

外国人が住民基本台帳人口移動報告の対象に含まれるのは、制度改正後の2013年7月8日以降です。したがって、2010年代前半以前と最近の総数をそのまま並べると、制度差の影響が混ざります。

生活目線で見るなら、次に見るべき数字

引っ越し総数の微減だけでは、地域の実感まではつかみにくいです。むしろ次の3点を追うと、住まいと地域の変化が見えやすくなります。

  • 東京圏の転入超過がさらに縮むのか、それとも高水準で粘るのか
  • 20代前半の移動率が下がるのか、進学・就職期の流れが維持されるのか
  • 都道府県別ではなく、市区町村別でどこに流入が集まっているのか

2025年時点の答えは単純ではありません。引っ越しする人は少し減っている。けれど、進学や就職を軸にした地域間移動、特に東京圏への集中はまだ強い。 次に確認したいのは、この鈍化が全国に広がるのか、それとも一部地域だけの現象にとどまるのかです。

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