外国人労働者はどれくらい増えたのか?業種別の推移を可視化
外国人労働者は、直近の公表値で257万1,037人まで増えました。厚生労働省の届出ベースでは、2021年10月末の172万7,221人から2025年10月末には約1.49倍です。
増え方を業種別に見ると、人数が最も多いのは製造業ですが、伸びが目立つのは医療・福祉、建設、宿泊・飲食です。つまり、外国人労働者の増加は一部の業種だけでなく、現場人手を必要とする幅広い分野に広がっています。
- 最新公表値は2025年10月末時点、公表日は2026年1月30日
- 総数は257万1,037人、前年より26万8,450人増
- 2021年比で大きく増えたのは医療・福祉、建設、宿泊・飲食
- ただし数字は年1回の10月末時点の届出件数で、賃金や労働時間までは分からない
使用データと比較条件
今回使うのは、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出データです。対象は、事業主に雇用されている外国人労働者で、特別永住者と在留資格が「外交」「公用」の人は含まれません。制度の説明と対象範囲は厚生労働省の案内にあります。
本文では、最新の2025年10月末時点の数値と、同じ資料に掲載された2021年から2025年までの産業別推移を使います。産業分類は資料注記によると日本標準産業分類(2023年7月改定)対応です。
ここがポイント: 外国人労働者は「どこで多いか」だけでなく、「どの業種で増え方が速いか」を見ると実態がつかみやすいです。最新年の人数だけでは、伸びている現場と横ばいに近い現場が見えにくくなります。
まず総数はどれくらい増えたのか
厚生労働省の公表値では、外国人労働者総数は次のように増えています。
- 2021年10月末: 1,727,221人
- 2022年10月末: 1,822,725人
- 2023年10月末: 2,048,675人
- 2024年10月末: 2,302,587人
- 2025年10月末: 2,571,037人
2021年から2025年までの増加数は84万3,816人です。2023年に200万人を超え、その後も2年続けて20万人超の増加が続きました。
ここで重要なのは、増加が止まっていないことです。前年比の伸び率は2024年、2025年とも2桁台で、2025年も11.7%増でした。
業種別にみると、どこで増えたのか
2025年10月末時点で人数が多い主な業種は次の通りです。
| 業種 | 2025年10月末 | 構成比 | 2021年比 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 635,075人 | 24.7% | +169,346人 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 391,946人 | 15.2% | +109,819人 |
| 卸売業、小売業 | 340,687人 | 13.3% | +111,689人 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 319,999人 | 12.4% | +116,507人 |
| 建設業 | 206,468人 | 8.0% | +96,450人 |
| 医療、福祉 | 146,105人 | 5.7% | +88,317人 |
| 情報通信業 | 97,924人 | 3.8% | +27,316人 |
人数の中心は今も製造業です。全体の約4人に1人が製造業で働いています。
一方で、増え方まで見ると印象は変わります。2021年比では、主要業種の中で医療・福祉が約2.5倍、建設業が約1.9倍、宿泊・飲食が約1.6倍でした。単に工場だけで増えたのではなく、介護、建設、外食・宿泊まで広がっているのが足元の特徴です。
伸びが速い業種
特に増加率が高いのは次の業種です。
- 医療・福祉: 57,788人から146,105人へ増加
- 建設業: 110,018人から206,468人へ増加
- 宿泊業、飲食サービス業: 203,492人から319,999人へ増加
- 卸売業、小売業: 228,998人から340,687人へ増加
医療・福祉の中身も偏りがあります。2025年時点では、同分野14万6,105人のうち社会保険・社会福祉・介護事業が10万8,140人で、医療業の3万7,481人を大きく上回ります。増加の中心が介護・福祉寄りにあることは、現場の受け皿を考えるうえで見逃せません。
製造業は「最大の受け皿」のまま
増加率では医療・福祉や建設が目立ちますが、絶対数では製造業が依然として最大です。さらに製造業の中でも、人数が多いのは次の分野です。
- 食料品製造業: 203,834人
- 輸送用機械器具製造業: 105,846人
- 金属製品製造業: 64,940人
- 電気機械器具製造業: 42,229人
この並びを見ると、生活に近い食品と、日本の製造業の基幹に近い輸送機械の両方で外国人労働者への依存が大きいことが分かります。
推移をどう読むべきか
ここまでの数字から言える事実ははっきりしています。外国人労働者は増えており、その増加は製造業だけでなく、建設、物流、小売、宿泊・飲食、介護・福祉まで広がっています。
ただし、そこから先は慎重に分けて見る必要があります。
事実として言えること
- 外国人労働者総数は2021年から2025年にかけて一貫して増えた
- 2025年時点で人数が最も多いのは製造業
- 伸び率が高いのは医療・福祉、建設、宿泊・飲食
- 卸売・小売やサービス業でも人数はかなり大きい
このデータだけでは言い切れないこと
- なぜその業種で増えたのかという因果関係
- 人手不足がどの程度解消されたか
- 賃金、定着率、労働時間、待遇改善の有無
- 都市部と地方で同じ事情なのかどうか
つまり、この統計は「どこで増えたか」には強い一方で、「なぜ増えたか」「働き方はどう変わったか」までは直接は示しません。
見るときの注意点
数字を読むうえで、特に注意したい点は3つあります。
- 10月末時点の届出件数であり、年間平均ではない
- 対象は雇用される外国人で、特別永住者などは除外される
- サービス業(他に分類されないもの)は幅が広く、2025年はこの分野の外国人労働者39万1,946人のうち、25万7,633人が派遣・請負事業所に属している
最後の点はかなり重要です。サービス業の人数が多く見えても、その中には派遣や請負を通じた就労が大きく含まれます。業種の実態を細かく読むなら、製造業や介護のような比較的中身が見えやすい区分と、広い雑多な区分は分けて考えたほうが安全です。
生活や地域を見るうえでの注目点
このデータは、外国人労働者の増加が日本の雇用全体の周辺ではなく、かなり中心的な現場に入ってきていることを示しています。食品製造、物流、小売、外食、介護は、どれも地域の生活インフラに近い業種です。
今後、数字を見るなら次の点を追うと変化が読みやすくなります。
- 都道府県別にどの業種が増えているか
- 在留資格別にどの業種へ入っているか
- 介護、建設、外食などで増加が続くのか
- 製造業の中で食品と輸送機械の比重がどう動くか
次に見るべきなのは総数の更新だけではありません。どの地域で、どの業種の増加が定着しているのかまで追うと、外国人雇用が地域の仕事をどう支えているかが、もっと具体的に見えてきます。
