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再エネ電力はブラジル87%、日本は約24%――2025年の主要国比較で見える差

水力発電所、風車、太陽光パネルと住宅地を送電線が結ぶイメージ。

再エネ電力はブラジル87%、日本は約24%――2025年の主要国比較で見える差

主要国の中で再生可能エネルギーによる発電比率が際立って高いのは、ブラジルです。2025年は87%で、G20では首位。日本は約24%にとどまり、太陽光の比率は世界平均を上回る一方、風力の小ささが目立ちます。

ただし、再エネ比率だけで電力の脱炭素化や電気料金まで判断することはできません。水力を多く持つ国と、太陽光・風力を増やしている国では、高い比率に至る道筋も、供給を支える課題も違います。

  • 再エネ比率:2025年はブラジル87%、カナダ64%、中国37%、米国26%、日本約24%。
  • 日本の特徴:太陽光9.8%に対し、風力は1.3%。化石燃料は発電量の約67%を占める。
  • 比較の注意点:原子力は再エネに含まれない。発電比率と設備容量比率も別の指標。

この記事では、まず比較条件をそろえ、主要国の比率、日本の電源構成、長期の変化を順に見ていきます。数値の中心は、Emberが2026年4月21日に公表した「Global Electricity Review 2026」の2025年データです。

目次

使用データ:比べるのは「国内で発電した電気の割合」

比較する指標は、国内の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合です。

計算は「再エネ発電量÷総発電量×100」。太陽光パネルや風車の設置規模ではなく、年間に実際に生み出した電気を比べます。

使用条件は次のとおりです。

  • 公表主体:エネルギー分野のシンクタンク、Ember。
  • 中心資料:2026年4月21日公表の年次報告。
  • 対象期間:2025年1~12月。推移の説明には2015年などの過去年を使用。
  • 対象地域:ブラジル、カナダ、中国、米国、インド、日本。EUは国ではなく地域として補足。
  • 再エネの範囲:水力、風力、太陽光、バイオエネルギー、その他の再生可能電源。原子力は別枠。

報告は215か国を分析し、このうち2025年のデータを収録した91か国で世界の電力需要の93%をカバーします。すべての国で同じ時点の確報がそろっているわけではありません。

特に2025年値は、月次データなどから推計した総発電量を含み、改定される可能性があります。家庭の屋根にある太陽光など、統計で直接把握しにくい発電も可能な範囲で補完されています。集計方法と推計の説明を踏まえ、細かな小数点の差より、電源構成の大きな違いを読むのが適切です。

「再エネ」と「低炭素電源」は分けて読む

Emberの「低炭素電源」は、再エネに原子力を加えた区分です。

原子力の多い国では、再エネ比率がそれほど高くなくても、化石燃料の比率は低くなります。反対に、再エネを増やしていても石炭火力が多く残れば、発電時の排出削減には課題が残ります。

また、ここで扱うのは電気です。自動車の燃料、工場で直接使う燃料、暖房用燃料まで含めた「エネルギー全体の再エネ比率」ではありません。

主要国比較:ブラジルは87%、中国は37%

2025年の主要国を並べると、ブラジルとカナダの高さが際立ちます。

以下は比較対象を選んだ一覧であり、世界全体の順位表ではありません。比率はEmberの報告に合わせて概数で示しています。

国再エネ発電比率・2025年比較で押さえる点
ブラジル87%G20首位。水力に加えて風力・太陽光が拡大
カナダ64%G20でブラジルに次ぐ比率
中国37%再エネが伸びる一方、石炭も大きな電源
米国26%再エネ以外に原子力があり、ガスが最大の電源
インド24%再エネが拡大しても、石炭中心の構成が続く
日本約24%低炭素電源約33%から原子力約9%を除いた概数

出典:Ember「主要国・地域の分析」。日本の値は丸められた構成比から整理しているため、インドとの僅差の順位判定には使えません。

世界全体の再エネ比率は33.8%でした。これは各国の比率を単純平均した数字ではなく、世界の再エネ発電量を世界の総発電量で割った値です。発電規模の大きな国ほど、世界の値を強く左右します。

「世界で最も高い国」と「主要国で高い国」は違う

ブラジルの87%は主要経済国の中で非常に高い値ですが、世界最高を意味しません。

例えば、Emberのノルウェー国別ページでは、2024年の再エネ比率が98%、水力だけで89%とされています。高い再エネ比率が、必ずしも太陽光や風力の大量導入を意味しないことが分かります。

ただし、このページは2026年4月14日更新でも対象年は2024年です。2025年の比較表には混ぜていません。ページの更新年と、数字の対象年は別です。

電源構成:再エネ以外に何が残るかで評価が変わる

再エネ比率と一緒に、原子力、石炭、ガスの割合を見ると、各国の違いが明確になります。

2025年の報告では、中国は石炭が約54%、米国はガスが約40%、インドは石炭が約71%。日本はガス約33%と石炭約32%で、化石燃料全体は約67%です。

この違いは、再エネを増やしたときに、どの燃料による発電を減らせるかに関わります。同じ「再エネ比率が上がった」という変化でも、電源構成全体の変化は一様ではありません。

EUを補助線にすると、原子力を別に見る意味も分かります。2025年は再エネが約48%、原子力が約23%で、両者を合わせた低炭素電源は約71%でした。EU全体の数字は加盟国ごとの差をならした地域合計です。EmberのEU分析

ブラジルの強み:水力中心から電源を増やしてきた

ブラジルの高い比率は、豊富な水力を土台に、風力と太陽光を積み重ねてきた結果です。

2025年の水力は発電量の約52%。2000年代初めの約90%から比率は低下しました。一方、風力と太陽光を合わせた割合は約27%へ広がっています。Emberのブラジル国別解説

ここで、水力の「比率低下」を水力発電の衰退とだけ読むと、変化を取り違えます。他の電源が増えれば、水力の発電量が同じでも分母が大きくなり、割合は下がるからです。

ブラジルの例から日本が読み取れるのは、87%という到達点だけではありません。既存の水力に、新しい電源をどう組み合わせるかという点です。水力資源の量が異なる国に、同じ構成比をそのまま当てはめることはできません。

日本の10年:太陽光は伸びたが、風力との差は大きい

日本は太陽光を増やしてきましたが、風力を含めた広がりでは差が残っています。

Emberの年次報告では、太陽光の発電比率は2015年の3.4%から2025年の9.8%へ上昇しました。10年間で6.4ポイント増え、約2.9倍です。世界平均の8.7%も上回っています。

一方、2025年の風力は1.3%。日本の再エネを考える際、太陽光の伸びと風力の小ささをひとまとめにして「導入が遅れている」と説明するのは粗すぎます。

原子力の回復も、化石燃料を減らす側に働いた

日本の低炭素電源の拡大には、再エネだけでなく原子力も関わっています。

2026年6月4日更新の日本国別解説では、2025年の原子力比率は約9%、低炭素電源全体は約33%とされています。原子力の比率は2024年の約8%から上がりました。

再エネ比率だけを追うと、この変化を拾えません。日本の電力が化石燃料からどこまで離れたかを見るには、再エネ、原子力、化石燃料を分けて確認する必要があります。

国内統計の23.1%とは、期間が違う

日本の公的統計では、2024年度の再エネ比率は23.1%です。

資源エネルギー庁の確報による総発電量は9,911億kWh。確報の公表日は2026年4月14日です。総合エネルギー統計の公表ページと2024年度確報の本文で確認できます。

これは2024年4月~2025年3月の年度集計です。Emberの2025年1~12月とは期間が違い、推計や補完方法も一致しません。23.1%と約24%を並べて、その差をそのまま1年間の伸びとすることはできません。

読み取りの限界:比率だけでは料金も安定供給も分からない

再エネ比率は発電の実績を示しますが、家計の電気料金や時間ごとの供給力までは示しません。

設備容量が大きくても、発電量が同じとは限らない

設備容量は、発電設備がどれだけの出力を持つかを示す指標です。年間発電量は、実際に動いた時間や出力にも左右されます。

太陽光は日射、風力は風況、水力は水の条件によって発電量が変わります。設備の順位と発電量の順位、さらに発電比率の順位は分けて読む必要があります。

国内発電の比率は、使った電気の比率とも違う

今回の分母は国内の総発電量です。国際送電線を通じて輸出入する電気は、国内で発電した電気とは区別されます。

そのため、国内発電の再エネ比率が高いことと、国内で消費した電気のすべてが同じ比率になることは同義ではありません。消費側を調べる場合は、輸出入も含む別の集計が必要です。

年間比率が同じでも、必要な対策は異なる

年間に十分な電気を生み出していても、需要が大きい時間に供給できるかは別の問いです。

  • 昼間の太陽光が増える場合:余剰が出る時間と、夕方以降の需要をどうつなぐか。
  • 水力が多い場合:水の条件が悪い年にも供給を維持できるか。
  • 発電地点が需要地から離れる場合:送電線が必要な電気を運べるか。

蓄電池や送電網、需要を動かす仕組みなどを合わせて見る必要があります。この国際比較だけで、どの国の家庭料金が安いか、停電が少ないかを順位付けすることはできません。

なお、再エネに分類されるバイオエネルギーも、他の再エネと環境上の性質がすべて同じではありません。Emberも、分類と排出量の評価を分けています。再エネ比率は、個々の電源の環境負荷を一つにまとめた指標ではないのです。

次に見る数字:再エネの伸びと、化石燃料の減り方

日本で次に確認したいのは、再エネ比率の上昇が、化石燃料の発電量の減少につながっているかです。

電力需要が増えれば、再エネが増えても化石燃料が減らない場合があります。逆に需要が減れば、新しい設備があまり増えなくても再エネ比率が上がることがあります。割合と発電量を並べることで、この違いを見分けられます。

今後の統計では、次の3点が判断の手がかりになります。

  • 風力の発電量:小さい構成比から、継続的に増えているか。
  • 石炭・ガスの発電量:再エネや原子力の増加とともに、実量が減っているか。
  • 電力需要と時間帯:新しい電気が、増えた需要を満たすだけなのか、既存の火力を置き換えるのか。

ブラジルの87%と日本の約24%は、大きな差を示します。その差を生活との関係で読むには、再エネの割合に加え、何による発電が減り、必要な時間にどう供給するかまで追うことが必要です。

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