ごみ焼却の発電量は24年で2.2倍に――415施設が生む年間104億kWh
全国の一般廃棄物のごみ焼却施設は、2024年度に年間104億4,800万kWhを発電した。2000年度の約2.2倍で、発電設備を持つ施設は233施設から415施設へ増えた。施設数よりも発電量の伸びが大きいことが、この24年間の変化だ。
一方、すべての焼却施設が発電しているわけではない。2024年度末の設置割合は41.9%。発電の広がりと、実際に取り出せた電気の量を分けて見ると、ごみ処理施設の変化がつかみやすくなる。環境省の最新公表値をもとに確認する。
この記事で分かることは、次の3点だ。
- 2000~2024年度の発電施設数・設備能力・発電量の変化
- 発電量が施設数以上に増えた理由を考えるための指標
- 「267万世帯分」という換算や、自治体の発電実績を読む際の注意点
使用データは全国の一般廃棄物焼却施設
今回比較するのは、自治体などが扱う一般廃棄物のごみ焼却発電であり、産業廃棄物を含む廃棄物発電全体ではない。
基礎資料は環境省の「一般廃棄物処理事業実態調査」。過去の数値は環境統計集、最新値は2026年3月27日公表の2024年度調査結果を使う。2026年10月8日時点で確認できる最新の全国結果で、2026年度の発電実績を示すものではない。
比較条件は次のようにそろえた。
- 対象地域:全国
- 比較期間:2000~2024年度。長期表には主要年度を抜粋
- 施設数:各年度の施設整備状況。稼働中の施設だけを数えた値ではない
- 発電量:各年度1年間の総発電電力量
- 対象範囲:一般廃棄物のごみ焼却施設。家庭ごみだけでなく事業系の一般廃棄物も関係する
最新調査は1,741市区町村と540一部事務組合を対象とする。施設整備状況は2025年3月31日現在で、報告書の施設データには都道府県が設置した施設を含まない。調査結果の概要に集計条件が示されている。
24年間で施設数は1.8倍、発電量は2.2倍
長期的には、発電設備のある施設が増えるとともに、全国で生み出す電気の量も拡大した。
| 年度 | 発電施設数 | 総発電能力 MW | 総発電電力量 GWh/年 |
|---|---|---|---|
| 2000 | 233 | 1,192 | 4,846 |
| 2005 | 286 | 1,512 | 7,090 |
| 2010 | 306 | 1,700 | 7,210 |
| 2014 | 338 | 1,907 | 7,958 |
| 2023 | 411 | 2,230 | 10,254 |
| 2024 | 415 | 2,289 | 10,448 |
出典:2000~2010年度は平成25年版環境統計集、2014年度は平成29年版環境統計集、2023・2024年度は最新調査結果。年度間を抜粋した表であり、毎年の増減をすべて表示しているわけではない。
2000年度と2024年度の公表値から計算すると、変化は次のようになる。
- 発電施設数:182施設増、78.1%増
- 総発電能力:1,097MW増、92.0%増
- 総発電電力量:5,602GWh増、115.6%増
電気の量は施設数以上に伸びた。ただし、この差をそのまま「同じ施設の性能が2倍になった」と読むことはできない。新設・廃止によって施設の顔ぶれが変わり、設備の大きさや運転状況も異なるからだ。
増加は一直線ではなかった
施設を増やせば、その年度の発電量も必ず増えるわけではない。
2005~2010年度には発電施設が286から306へ増えたが、発電量は7,090から7,210GWhへの増加にとどまった。さらに2006~2009年度を見ると、施設数は293から304へ増える一方、発電量は7,190から6,876GWhへ減っている。
長期の拡大と、短期の上下は両立する。設備の普及を知りたいときは施設数、実際の電気の供給規模を知りたいときは年間発電量を見る必要がある。
MWは設備の能力、GWhは実際に発電した量
発電設備の大きさと、1年間の成果は別の指標である。
ごみ発電は、焼却時の熱をボイラーで回収して蒸気をつくり、タービンを回す仕組みだ。環境白書の説明でも、焼却施設の余熱利用の一つとして位置づけられている。
ここで混同しやすい単位を整理しておこう。
- MW:設備が発電できる出力の規模。1MWは1,000kW
- GWh:一定期間に発電した電気の量。1GWhは100万kWh
2024年度の2,289MWは設備能力の合計で、10,448GWhは年度中の発電量だ。設備能力が増えても、停止期間が長ければ年間発電量は伸びない。逆に、施設数があまり増えなくても、稼働時間や熱回収の条件が変われば発電量は増え得る。
1施設平均は伸びたが、典型的な施設を表さない
総発電量を発電施設数で割ると、2000年度は約20.8GWh、2024年度は約25.2GWh。単純平均は約21%増えた。
これは全国の総量を施設数で割った参考値である。建設中・休止施設を含む施設数と年間実績を組み合わせているため、稼働施設だけの平均ではない。規模の大きい施設が平均を押し上げる可能性もあり、中央値や個別施設の発電実績とは区別したい。
したがって長期増加は、「発電施設が増えたこと」と「集計上の1施設当たり発電量が増えたこと」に分けられる。ただし、その内訳だけでは設備更新や運転改善の寄与を特定できない。
焼却施設が減るなかで、発電設備の割合は上昇
近年は焼却施設全体が減る一方、発電設備を持つ施設は増えている。
2015年度の焼却施設は1,141施設で、このうち発電施設は348施設だった。2024年度は全体が991施設、発電施設が415施設。発電設備の設置割合は、計算すると約30.5%から41.9%へ、約11.4ポイント上がった。
この間、焼却施設全体は150施設減り、発電施設は67施設増えた。焼却施設の総数が減ったことと、ごみ発電の縮小は同じではない。
ただし、全国集計だけから個々の自治体の統合・更新計画を説明することはできない。どの施設が廃止され、どの施設に発電設備が導入されたかは、施設別資料で確かめる必要がある。
ごみ1トンから取り出す電気も増えている
総量に加えて、処理したごみの量に対する発電量を見ると、もう一つの変化が分かる。
環境省が示す「ごみ処理量当たりの発電電力量」は、2015年度の241kWh/トンから2024年度の340kWh/トンへ増えた。約41%の上昇だ。2022年度には前年をわずかに下回っているが、期間全体では増加している。
この指標の分母には、発電設備のない焼却施設の年間処理量も含む。そのため、発電設備の普及と、発電する施設での熱回収・運転の変化がともに反映される。タービン単体の効率を測る数値ではない。
発電量を伸ばす道筋は、ごみを多く燃やすことだけではない。発電設備のある施設で処理する割合や、処理量に対して取り出す電気の量も見ることで、ごみ減量とエネルギー回収を同時に評価できる。
「267万世帯分」は家庭に届けた電気の量ではない
世帯換算は規模をつかむ目安であり、実際の供給先や売電量を示してはいない。
環境省は2024年度の総発電量を約267万世帯分の年間電力使用量に相当すると説明している。換算に用いたのは、2023年度の家庭部門の調査による1世帯当たり年間3,911kWhだ。
計算は、104億4,800万kWhを3,911kWhで割るもの。分かりやすい比較だが、267万世帯がごみ発電だけで暮らしているという意味ではない。
焼却施設の電気の使い道を知るには、総発電量のほかに次の数値が必要になる。
- 施設内で使用した電力量
- 外部へ送った、または販売した電力量
- 外部から購入した電力量
同じ総発電量でも、施設内の消費量が違えば外部へ送れる電気は変わる。自治体の収支を見る場合には、売電量に加えて販売単価、購入電力、維持管理費も確認しなければならない。全国の総発電量だけでは、家計負担やごみ処理費がどれだけ軽くなったかは判断できない。
長期比較では施設の数え方と発電効率に注意
増加の意味を正確に読むには、年度・集計範囲・指標の定義をそろえる必要がある。
まず、過去の環境統計集は、当該年度に着工した施設や休止施設を含み、廃止施設を除くと明記している。最新報告も施設整備状況を着工ベースで扱う。415施設を「1年間すべて稼働した発電所の数」と読み替えてはいけない。
また、2011年度からは国庫補助による災害廃棄物の処理量・経費等が除外されている。ごみ量や費用を長期比較に組み合わせる際には、この取り扱いの変更にも注意が必要だ。
発電効率と処理量当たり発電量は違う
発電効率は、ごみに含まれる熱エネルギーのうち、どれだけ電気として取り出すかを見る指標だ。一方、kWh/トンはごみの重さに対する発電量で、ごみの発熱量の違いも関係する。
過去の統計集の注記では、発電効率について標準ごみ質における仕様値・公称値等を調査し、それがない場合は実績値から算出している。こうした値を、全国の年間実績から計算した単一の効率と同じものとして扱うことはできない。
ごみの重量が同じでも、含まれる水分や燃える物の構成が違えば、取り出せる熱は違う。全国の発電量の増減だけから、分別方法の変更が原因だったと断定することもできない。
発電しない施設にも熱利用がある
発電設備の有無だけでは、焼却熱を活用しているかどうかを判断できない。
2024年度は、発電を含む余熱利用を710施設、全体の71.6%で実施している。温水や蒸気の利用もあるため、発電設備を持たない施設を一律に「熱を捨てている」と評価するのは誤りだ。
熱利用の区分は重複回答である。温水利用施設と発電施設を単純に足すと、同じ施設を二重に数える場合がある。
自治体の施設更新では、発電量とごみ減量を一緒に見る
地域のごみ処理を評価する際は、発電量の最大化だけを目標にせず、処理するごみの減少と電気・熱の使い道を確かめたい。
全国では24年間で発電量が約2.2倍になった。ただし今後も同じ速さで伸びるとは限らない。処理量が減る場合、1トン当たりの回収量が増えても総発電量は減り得る。反対に、施設更新で発電設備の設置が進めば、ごみ量の減少と発電量の増加が同時に起こる可能性もある。これは将来の分岐であり、今回の集計から確定できる予測ではない。
自治体の新しい清掃工場や更新計画を見るなら、次の項目を並べると判断しやすい。
- 処理量:将来のごみ減量をどの程度織り込んでいるか
- 発電実績:設備能力のMWだけでなく、年間kWhを示しているか
- 利用先:施設内消費、外部への送電、温水・蒸気利用を分けているか
- 費用:売電収入だけでなく、建設費と維持管理費を説明しているか
年間104億kWhという全国の成果を地域の評価につなげるには、まず身近な焼却施設の「処理量」「年間発電量」「外部へ送った電力量」を同じ年度でそろえることが出発点になる。
