ボランティア参加率は26.0%から17.8%へ――年代と都道府県で見る減少の実像
ボランティアをする人は、全国統計では増えていない。総務省「社会生活基本調査」の2021年結果では、過去1年間に活動した10歳以上の人の割合は17.8%で、2016年の26.0%から8.2ポイント下がった。
ただし、これは感染症流行期を含む結果だ。2026年10月8日時点で、この調査の最新公表結果は2021年分であり、現在の参加状況や、その後の回復まで示す数字ではない。総務省統計局の結果要約と2026年調査の案内を踏まえて、変化を読む必要がある。
この記事で分かることは、次の3点だ。
- 全国の参加率は、2006~2016年の約26%から2021年に大きく低下した。
- 年代別ではすべての年齢階級で低下し、2021年は65~69歳が最も高かった。
- 都道府県別では島根県25.6%、青森県14.0%。ただし、順位だけで住民の意欲を評価することはできない。
使用データ:参加率は「過去1年間に活動した人」の割合
ここで比較するのは、活動の延べ人数や団体の登録者数ではなく、住民のうち実際に活動した人の割合だ。
使用するのは、総務省統計局が5年ごとに実施する社会生活基本調査の、調査票Aに基づく「生活行動に関する結果」。全国推移は2001~2021年、年代比較は2016年と2021年、地域比較は2021年の47都道府県を対象とする。
比較条件をそろえるため、本文の参加率は原則として10歳以上・男女総数の「行動者率」に統一した。行動者率は、該当する人口に占める、過去1年間にその活動をした人の割合を意味する。統計局のFAQでは、活動の種類や頻度、活動形態別の結果も確認できる。
- 調査主体:総務省統計局
- 調査時点:2021年10月20日現在
- 活動の対象期間:調査時点における過去1年間
- 主な結果の公表日:2022年8月31日
- 比較する地域:全国、47都道府県
調査は世帯を抽出して行う標本調査であり、全住民を数えた結果ではない。対象や抽出方法は2021年調査の概要に示されている。
清掃や学校行事の手伝いも含まれる
統計上のボランティア活動は、報酬を目的とせず、自分の労力、技術、時間を提供して、地域社会や個人・団体の福祉を増進する活動を指す。
災害支援だけではない。道路・公園の清掃、子供会の世話、学校行事の手伝い、高齢者の日常生活の手助けなども対象に含まれる。結果の概要にある用語・分類を見ると、この数字が身近な地域活動まで捉えていることが分かる。
一方、年に1度参加した人も、毎週活動した人も、全体の行動者率ではともに「活動した人」に入る。参加の広がりを見る指標であり、支援に投入された時間や、継続的な担い手の厚みを直接示すものではない。
全国推移:約26%で横ばいだった参加率が2021年に下がった
長期推移の特徴は、毎回少しずつ減ったというより、2021年に低下幅が広がったことだ。
全国の行動者率は次のように推移した。各年とも10歳以上・男女総数で、単位は%。
- 2001年:28.9%
- 2006年:26.2%
- 2011年:26.3%
- 2016年:26.0%
- 2021年:17.8%
2006~2016年の3回は26%前後だった。そこから2021年には、100人当たりの参加者が約26人から約18人になった計算になる。結果要約の推移図で確認できる変化だ。
「8.2ポイント減」と「8.2%減」は異なる。参加率そのものは8.2ポイント低下し、2016年の26.0%を基準にした相対的な低下率は約31.5%になる。後者は公表値からの計算である。
人数も減ったが、人数と割合は別の問いに答える
行動者数は2016年の2,943万8千人から、2021年の2,005万6千人へ減少した。差は938万2千人だ。総務省統計局「結果の概要」
人数は全国でどれほどの人が活動したかを示す。割合は、その年の対象人口に対して参加がどれほど広がっていたかを示す。
人口が減る地域では、参加率が同じでも活動者数が減りうる。逆に人口の多い地域なら、参加率が低くても人数は多くなりうる。地域の担い手不足を考える際には、率だけでなく人数も必要になる。
ここがポイント: 2021年には参加した人の割合も人数も減った。ただし、この結果だけでは、参加意欲の低下と、活動機会の減少を切り分けられない。
年代別:65~69歳が最高、減少は若い世代だけではない
2021年の参加率は65~69歳が23.4%で最も高く、25~29歳が10.1%で最も低かった。
年代差と5年間の変化を併せて見るため、主な年齢階級を抜き出した。以下は全国・男女総数で、増減は2021年から2016年を引いた値である。
| 年齢階級 | 2016年 | 2021年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 10~14歳 | 26.5% | 12.1% | −14.4ポイント |
| 25~29歳 | 15.3% | 10.1% | −5.2ポイント |
| 40~44歳 | 32.2% | 21.1% | −11.1ポイント |
| 65~69歳 | 29.8% | 23.4% | −6.4ポイント |
| 70~74歳 | 30.0% | 23.0% | −7.0ポイント |
| 75歳以上 | 20.0% | 16.4% | −3.6ポイント |
出典:総務省統計局「結果の概要」表2-2。表は一部の年齢階級を抜粋している。
高齢になるほど参加率が上がるわけではない
65~69歳と70~74歳は23%台だが、75歳以上は16.4%になる。したがって、「高齢者ほど参加する」と一括りにはできない。
また、40~44歳も21.1%と比較的高い。担い手を考える際に、高齢層だけに目を向けると、働く世代の活動を見落とす。
ただし、この表から、退職したから参加が増えた、子供がいるから活動した、とまでは言えない。その説明には、就業状態や子供の有無、活動内容を組み合わせた比較が必要だ。
すべての年齢階級で低下した意味
全国の参加率低下は、参加率の低い年代が人口に占める割合を増やしたことだけでは説明できない。公表されたすべての年齢階級で、2016年より2021年の率が低かったからだ。
最大の低下は10~14歳の14.4ポイント。40~44歳も11.1ポイント下がっており、若者だけの変化ではない。
ここで注意したいのは、同じ人を5年間追跡した表ではないことだ。2016年の25~29歳と2021年の25~29歳は、異なる出生年代の集団である。「当時の若者がそのまま活動をやめた」と読むことはできない。
都道府県別:最高と最低の差は11.6ポイント
2021年の地域差は大きく、島根県の25.6%に対して青森県は14.0%だった。
同じ10歳以上・男女総数で比較した上位5県は、次のとおりだ。
- 1位:島根県、25.6%
- 2位:佐賀県、24.8%
- 3位:岩手県、24.4%
- 4位:滋賀県、24.2%
- 5位:鳥取県、24.1%
比較対象として、東京都は15.5%、大阪府は14.5%、青森県は14.0%。全国は17.8%である。数値と順位は、沖縄県が公表した社会生活基本調査結果の都道府県比較表に基づく。
島根県と青森県の差は11.6ポイント、率の比では約1.83倍になる。人口規模の違いを除いても、住民のうち活動した人の割合には開きがある。
「地方は高い、都市は低い」で終わらせない
上位には大都市圏以外の県が目立つ一方、最低値は青森県だった。この組み合わせだけでも、都市か地方かという二分法では説明が足りない。
しかも、ここで数えているのは災害支援や専門的な福祉活動に限らない。地域清掃や学校行事の手伝いも入る。地域の活動機会を比較するなら、総参加率に加えて、どの種類の活動が多いかを確認する必要がある。
たとえば、総参加率が同程度の2県でも、清掃活動に参加した人が多い県と、高齢者支援に参加した人が多い県では、担っている仕事が異なる。総合順位から、必要な支援が足りているかまでは判断できない。
年齢構成をそろえると評価が変わる可能性がある
年代別の参加率に差がある以上、県全体の率には住民の年齢構成も関係する。
ここに示した都道府県値は、年齢構成を同じにした比較ではない。地域固有の参加のしやすさを調べるには、同じ年齢階級同士で比較するか、共通の年齢構成で計算し直す必要がある。
全国17.8%の扱いにも注意したい。これは47都道府県の率を単純に足して47で割った値ではない。人口規模の異なる県を同じ重みで平均すると、全国の住民の参加率とは別の数字になる。
減少の背景:活動の実績と参加意欲を分けて読む
2021年の低下は活動実績の変化を示すが、住民の気持ちがどれだけ変わったかは示さない。
対象となる過去1年間は、新型コロナウイルス感染症の流行期と重なる。集まって行う活動が実施できたかどうかは、比較の重要な条件になる。
ただし、今回の総参加率から「低下のすべてがコロナによるもの」とは断定できない。活動したかどうかの回答だけでは、参加しなかった理由を特定できないためだ。
考えられる経路は複数ある。
- 活動そのものが開かれず、参加する機会がなかった。
- 活動はあっても、仕事や家族の事情で参加できなかった。
- 参加できる条件はあっても、その年は参加しなかった。
これらは背景を検証するための仮説であり、今回の数値から確定した内訳ではない。同じ「不参加」でも、活動を再開すれば戻る人と、開催時間や参加方法を変えなければ参加しにくい人では、必要な対応が異なる。
参加率の回復だけでは現場の負担を測れない
仮に次の調査で参加率が戻っても、継続的に活動する人が増えたとは限らない。年1回の参加者が増えた場合にも、行動者率は上がる。
自治体や活動団体が運営を考えるなら、確認すべきなのは次の組み合わせだ。
- 行動者率:どれほど広い層に参加が届いているか。
- 行動者数:実際にどれほどの人数が活動したか。
- 活動頻度:継続して参加する人がどれほどいるか。
- 活動の種類:清掃、子供支援、高齢者支援など、どこに担い手がいるか。
率が上がっても、頻繁に参加する人が減っていれば、日常的な運営を少人数で支える状況は残りうる。参加の裾野と、継続して担う人の数は、別々に見る必要がある。
次の確認点:2026年結果を2016年と2021年の両方に比べる
今後の焦点は、流行期に下がった参加率が戻るか、その戻り方に年代差や地域差があるかだ。
2026年10月8日時点では、2026年社会生活基本調査の公式ページは調査の実施・公表に向けた案内を掲載し、結果の参照先として2021年調査を示している。新しい結果が公表されるまでは、2021年の17.8%を「今の参加率」として扱わないことが大切だ。
次の結果では、少なくとも3つの分岐を確認したい。
- 2021年より上昇し、2016年の26.0%にも近づく場合:全国では参加が戻ったと評価できる。年代別にも戻っているかを続けて確認する。
- 2021年より上昇しても、2016年を下回る場合:増加と回復不足が同時に起きる。「増えた」という見出しだけでは変化を捉えきれない。
- 全国では上昇しても、一部の年代や県では低下する場合:全国値に隠れた参加機会や担い手の偏りが、検討すべき課題になる。
自分の地域を見る際も、全国順位だけで判断せず、同じ年代の参加率と、活動内容・頻度を並べたい。清掃に一度参加する人を増やすことと、毎週の支援を担う人を確保することでは、確認すべき数字も変わる。
