野菜不足はどの年代で深いのか 2023年調査で見る日本の食生活
野菜は足りているのか。最新の公的データで見ると、足りていません。厚生労働省の2023年「国民健康・栄養調査」では、20歳以上の野菜摂取量は平均256.0gで、健康日本21が掲げる1日350gの目標に94.0g届いていません。
不足が大きいのは、特に20代から40代です。20代は221.8g、30代は231.1g、40代は229.3g。どの年代も目標未達ですが、若い世代ほど差が大きく、食生活の課題がはっきり出ています。
- この記事の要点
- 最新の公表値では、20歳以上の野菜摂取量は平均256.0g
- 20代は221.8g、30代は231.1g、40代は229.3gで、目標350gとの差が100gを超える
- 350g以上を摂っている人の割合は全体で23.5%。20代は15.5%にとどまる
- 70代以上でも達成者は27.8%で、多くの人は目標に届いていない
使用データと見方
まず、今回見ている数字の範囲を整理します。
- 出典は厚生労働省の「令和5年国民健康・栄養調査報告」。2023年調査の結果が2025年3月に公表された
- 主に使うのは、20歳以上の「野菜類」の1人1日当たり摂取量と、摂取量区分ごとの割合
- 調査は2023年11月中の1日分で、日曜日と祝日は除かれている
- 「野菜類」には、緑黄色野菜、その他の野菜に加え、野菜ジュースと漬物も含まれる
このため、ここでの数字は「その年代の平均的な傾向」を見るのに向いています。一方で、1日調査なので個人の普段の食生活をそのまま写したものではありません。
年代別ではどこが足りないのか
結論は明快です。若い成人層ほど目標との差が大きく、60代以降でやや持ち直します。
| 年代 | 野菜摂取量 | 350gとの差 |
|---|---|---|
| 20〜29歳 | 221.8g | -128.2g |
| 30〜39歳 | 231.1g | -118.9g |
| 40〜49歳 | 229.3g | -120.7g |
| 50〜59歳 | 248.2g | -101.8g |
| 60〜69歳 | 267.2g | -82.8g |
| 70〜79歳 | 286.2g | -63.8g |
| 80歳以上 | 271.8g | -78.2g |
| 20歳以上平均 | 256.0g | -94.0g |
20代の不足分128.2gは、厚労省の目安でいえば野菜料理およそ2皿弱に近い水準です。30代、40代もほぼ同じ水準で不足しています。高齢層は相対的に多いものの、それでも目標の350gには届きません。
350g以上を食べている人はどれくらいいるか
平均値だけでなく、達成者の割合を見ると差はさらに分かりやすくなります。
- 20歳以上全体: 23.5%
- 20〜29歳: 15.5%
- 30〜39歳: 20.9%
- 40〜49歳: 19.7%
- 50〜59歳: 21.1%
- 60〜69歳: 25.4%
- 70歳以上: 27.8%
ここがポイント: 平均が足りないだけではありません。20代では6人に1人ほどしか350g以上に届いておらず、70代以上でも3割未満です。
この数字が示しているのは、「一部の人だけが大きく不足している」というより、広い年代で未達が普通になっているという状態です。特に20代から40代は、目標に届く人の少なさが目立ちます。
データから読み取れること
20〜40代の不足はかなり深い
20代から40代は、平均摂取量が220g台から230g台に集中しています。目標との差はおおむね120g前後で、60代以降より明らかに大きい水準です。
数字の意味は単純です。若い世代では「少し足りない」ではなく、副菜1品を足すだけでは埋まりにくい不足が起きています。外食や中食が多いか、食事の組み立てで野菜が後回しになりやすいかまでは、この表だけで断定できません。ただ、少なくとも結果としての摂取量は低いままです。
高齢層は多めだが、安心できる水準ではない
70〜79歳は286.2gで最も高く、80歳以上でも271.8gあります。若年層よりは多いものの、目標との差はなお大きいままです。
特に見落としにくいのは、70歳以上でも350g以上の人が27.8%にとどまる点です。高齢層は相対的に良好でも、達成が広く定着しているとは言えません。
「野菜類」は生野菜だけではない
ここは誤読しやすいところです。調査の「野菜類」には、緑黄色野菜や淡色野菜だけでなく、野菜ジュースや漬物も含まれます。
つまり、256.0gという全体平均は、サラダや煮物だけの量ではありません。それらを含めても350gに届いていない、というのが今回の数字です。
注意しておきたい限界
数字を読むうえで、押さえておきたい点があります。
- 調査は11月中の1日分で、季節やその日の献立に左右される
- 全国平均の調査であり、都道府県別や市区町村別の差はこの表では分からない
- 平均摂取量の表は70〜79歳、80歳以上に分かれている一方、摂取量区分の表は70歳以上でまとめられている
- 野菜ジュースや漬物を含むため、「生鮮野菜だけの不足量」とは一致しない
このため、この記事で言えるのは「どの年代が相対的に少ないか」「目標との差がどれだけあるか」までです。忙しさや所得、家族構成との因果関係までは、このデータだけでは決められません。
いま見るべき論点
食生活の改善を数字で考えるなら、焦点は20〜40代です。ここが220g台から230g台にとどまったままだと、全体平均も上がりにくいからです。
今後の見どころは次の3点です。
- 20〜40代の平均摂取量がまず250g台に乗るか
- 350g以上の達成者割合が若年層で上向くか
- 野菜そのものだけでなく、主食・主菜・副菜の組み合わせが若い世代で改善するか
今回のデータは、野菜不足が「なんとなくの印象」ではなく、年代差を持った事実だと示しました。次に見るべきなのは、若い世代の不足が一時的なぶれなのか、それとも固定化した食習慣なのかという点です。
