子ども0人の夫婦は約1割に――2025年調査で読む「平均1.86人」の内訳
結婚して15〜19年の初婚どうしの夫婦では、出生子ども数が0人の割合は2025年に9.6%となり、前回調査から増えました。平均の子ども数も1.90人から1.86人へ低下しています。ただし、これは未婚者を含む「日本のすべての人」の数字ではありません。
もう一つ大切なのは、平均の低下を子ども0人の増加だけでは説明できないことです。1人の夫婦が増え、2人の夫婦が減る変化も起きています。国立社会保障・人口問題研究所の2025年調査から、その内訳と読み方を確認します。
- 結婚15〜19年の夫婦では、子ども0人が9.6%、1人が20.4%、2人が48.7%。
- 平均出生子ども数は1.86人。ただし、妻が45〜49歳の夫婦に限ると1.81人で前回と同じ。
- 「実際に生まれた子ども数」と「希望する子ども数」は別の指標。
- 全国の全成人について、生涯子どもを持たない割合を示した結果ではない。
使用データ――2025年の全国調査を、結婚期間と妻の年齢で読む
この記事の中心は、出生数の年間集計ではなく、夫婦がそれまでに何人の子どもを生んだかという蓄積です。
使用する最新資料は、国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月11日に公表した「第17回出生動向基本調査 結果の概要」です。調査対象時点は2025年6月30日。2026年10月8日時点で確認できる公表資料を使っています。
調査概要によると、全国1,000調査区の独身者と、妻が55歳未満の夫婦を対象に実施されました。夫婦調査の回答者は妻で、有効回答は5,024票、有効回収率は47.9%です。ただし、以下の各指標は条件に合う夫婦だけを取り出した集計で、5,024組すべてが分母になるわけではありません。
「完結出生児数」は平均であり、人数の分布とは違う
完結出生児数は、夫婦の最終的な出生子ども数を捉える指標です。調査では、主に次の二つの条件で集計しています。
- 結婚持続期間15〜19年の夫婦:結婚からの経過時間をそろえる。
- 妻が45〜49歳の夫婦:妻の年齢をそろえる。
前者は結婚生活の長さ、後者は年齢を基準にするため、含まれる夫婦が違います。結婚期間をそろえても妻の年齢は同じにならず、妻の年齢をそろえても結婚期間は同じになりません。
「平均1.86人」は、各夫婦の出生子ども数を平均した値です。子ども0人の割合でも、最も多い子ども数でもありません。問いが「子どもを持たない人は増えたか」であれば、平均だけでなく、0人という区分の割合を見る必要があります。
主要な数値――0人と1人を合わせると3割になる
結婚15〜19年の夫婦では、子ども0人と1人の割合が合わせて30.0%になりました。
2025年の分布は次のとおりです。対象は初婚どうしの夫婦で、妻の調査時年齢は55歳未満です。
- 子ども0人:9.6%
- 子ども1人:20.4%
- 子ども2人:48.7%
2人の夫婦は依然として最大の区分ですが、半数を下回りました。「平均が2人を下回った」という事実と、「2人の夫婦が半数を下回った」という事実は、意味が違います。前者は全区分を合算した平均、後者は家族規模の分布を示しています。
生活に引きつけるなら、夫婦の家族構成を一律に「子ども2人」で想定すると、少なくとも0人・1人の3割を十分に捉えられません。住宅の間取り、家計の支出項目、仕事と家庭の時間配分を考える際にも、平均だけより内訳のほうが役立ちます。ただし、この調査だけから各区分の支出額や住宅需要まで分かるわけではありません。
長期推移――平均の低下は2000年代以降に進んだ
完結出生児数は長く2.2人前後で推移していましたが、2000年代以降は低下しています。
国立社会保障・人口問題研究所の公表資料では、結婚15〜19年の夫婦の平均は2002年調査まで2.2人前後で安定していました。その後低下し、2021年は1.90人、2025年は1.86人です。
直近の差は0.04人。2021年の値を基準にすると約2.1%の低下になります。これは公表された平均値同士の差であり、「各夫婦の子ども数が2.1%減った」という意味ではありません。
分布にも変化があります。2021年調査の報告書に掲載された2015年の値では、子ども0人は6.2%、1人は18.5%、2人は54.1%でした。2025年と比べると、0人と1人の区分が大きくなり、2人の区分が小さくなっています。
ただし、この10年間の差をそのまま同条件の増減として扱うことはできません。2021年から、妻の調査時年齢の上限が50歳未満から55歳未満に広がったためです。後で結婚した夫婦をより多く含む変更なので、長期比較では実際の変化と集計対象の変化を分けて考える必要があります。
別の基準では横ばい――「どの夫婦か」で結論が変わる
妻が45〜49歳の夫婦の平均は、2025年も1.81人で前回と同じでした。
結婚15〜19年の夫婦では平均が低下し、妻の年齢をそろえた夫婦では横ばい。この二つは矛盾しません。対象が違うからです。
この違いは、「夫婦の子ども数は一様に減っている」という読み方への重要な留保になります。低下が確認できる集計がある一方、直近では平均が変わらない集計もあります。
さらに、平均が横ばいでも、内部の分布が同じとは限りません。0人・1人・2人・3人以上の割合がそれぞれ動き、その結果として平均が同じになることもあります。平均は全体を短く示すのに便利ですが、家族構成の変化を一つの値に圧縮しています。
ここがポイント: 「子ども0人が増えたか」は0人の割合で、「夫婦の子ども数が減ったか」は平均と分布で確かめます。どちらも、結婚期間や妻の年齢という分母の条件が必要です。
実績と希望――0人という結果から理由は決められない
出生子ども数が0人であることは、子どもを希望しなかったことと同義ではありません。
夫婦調査の出生子ども数は、それまでの実績を捉えます。一方、独身者調査の希望子ども数は、調査時点の考えを尋ねています。実績と希望は、同じ「0人」でも別の情報です。
2025年の公表概要では、18〜34歳の未婚男女の約6人に1人が、結婚しても子どもを望まないとされています。これは、将来の家族像の変化を見る材料です。しかし、この人たちが最終的に全員子どもを持たないと確定したわけではありません。
逆に、現在子どもがいない夫婦についても、本人の希望、夫婦間の考えの違い、健康や生活上の事情を、出生子ども数だけから判別することはできません。
この区別は支援の考え方にも関わります。子どもを望む夫婦が予定を実現できない場合と、子どもを持たない生活を望む場合では、必要な対応が違います。0人という区分を一つの動機で説明すると、その違いが見えなくなります。
注意点――全国の「生涯子どもを持たない人の割合」には置き換えられない
今回確認できるのは、条件を限定した夫婦の傾向であり、全成人の生涯の結果ではありません。
誤読を避けるため、次の点を押さえる必要があります。
- 未婚者を含む全体の割合ではない:中心の集計は初婚どうしの夫婦。未婚者や再婚者を含む全人口とは範囲が違います。
- 人数の増加とは別:0人の割合が上がっても、その集団の夫婦総数が減れば、0人の夫婦の実数が増えるとは限りません。
- 同じ夫婦を追跡した結果ではない:各回で条件に合う回答者を比較しています。2021年の回答夫婦が2025年にどう変わったかを直接示すものではありません。
- 調査時点での結果である:「完結」は集団の最終的な出生を近似する指標。個々の夫婦について、その後の出生がないと断定する言葉ではありません。
- 標本調査である:全国の全夫婦を数えた調査ではなく、回答しなかった人との違いや標本の揺れにも注意が必要です。
特に、平均1.90人から1.86人という差は小さいため、公表値が低下したことと、統計的に明確な差があることを同一視すべきではありません。差の確かさを評価するには、標本数や推定誤差を含めた確認が必要です。
また、この全国集計から都道府県や市区町村の順位は作れません。地域の少子化を読む場合には、地域別の年齢構成や婚姻状況、出生のデータを別にそろえる必要があります。
次に見るべき数字――0人の割合と、希望の実現を分けて追う
今後の変化を読むには、「0人が増えたか」だけでなく、どの段階で子ども数の分布が変わったかを確かめることが大切です。
次回以降、次の三つを分けて見ると、変化を具体的に捉えられます。
- 結婚期間をそろえた夫婦で、0人の割合がさらに上がるか。
- 妻の年齢をそろえた夫婦でも、平均と0人の割合が同じ方向に動くか。
- 希望・予定する子ども数と、実際の出生子ども数との差が縮まるか。
2025年調査で確認できる答えは、結婚15〜19年の夫婦では子ども0人の割合が増え、約1割になったということです。その数字を全国の全成人に広げず、1人・2人の区分や本人の希望と併せて読むことが、家族の変化を捉える次の一歩になります。
