人口減少はどの市区町村で進むのか 2020年国勢調査と2050年推計で見る地域差
地方の人口減少は、もう一部の町村だけの話ではありません。市区町村単位で見ると、すでに2015年から2020年の実績で人口が減った自治体は1,728市区町村換算で81.9%、さらに将来推計では2020年から2025年の時点で90.2%、2050年には95.5%まで広がる見通しです。
しかも減り方は一様ではありません。北海道、東北、中国、四国では2050年までにすべての市区町村で2020年人口を下回る一方、人口を維持または増やす自治体は大都市とその郊外、そして沖縄県に比較的多く残ります。
- 2015年から2020年の実績で人口減少は1,416市区町村、全体の81.9%
- 2020年から2025年の推計では人口減少が1,558市区町村、90.2%
- 2050年に2020年人口以上を保つのは77市区町村、4.5% בלבד
- 2050年に2020年比で半分未満になる市区町村は341、19.7%
まず押さえたいデータの見方
今回の結論は、主に2つの公的データを組み合わせて読んでいます。
- 長期比較の基準は総務省統計局の2020年国勢調査
- 将来の市区町村差は国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計(2020年から2050年)
- 最新の市区町村人口の公表系列としては、総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数がある
ここで注意したいのは、国勢調査と住民基本台帳は同じ数字ではないことです。
- 国勢調査は2020年10月1日現在の人口を基準にする
- 住民基本台帳は毎年1月1日現在の登録人口を集計する
- 住民基本台帳の総計は、日本人住民と外国人住民を合算する
ここがポイント: 「地方の人口減少はどこで進んでいるか」を全国で比較するなら、単年の話だけでなく、国勢調査ベースの実績と市区町村推計を続けて見る必要があります。
人口減少はどこまで広がっているのか
結論を数字で置くと、減少はかなり広い範囲に及んでいます。
国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計では、1,728市区町村換算で次のようになります。
- 2015年から2020年の実績で人口減少は1,416市区町村
- 2020年から2025年の推計で人口減少は1,558市区町村
- 2035年には1,641市区町村
- 2050年には1,709市区町村
割合で見るとこうです。
- 2015年から2020年は81.9%
- 2020年から2025年は90.2%
- 2035年は95.0%
- 2050年は98.9%
つまり、人口減少は「一部の過疎地で深い」だけでなく、今後は大半の自治体で当たり前に起きる変化として広がる見通しです。
地域差はどこに出ているか
全国平均だけでは見えないのが、減少の広がり方の差です。
2050年までに全自治体が減少見通しのブロック
2050年時点で、次の地域ブロックはすべての市区町村で2020年人口を下回る推計です。
- 北海道
- 東北
- 中国
- 四国
この4ブロックでは、「増える自治体がほぼ見当たらない」ではなく、ブロック全体で増加自治体がゼロという見え方になります。
すでに2020年から2025年で減少がほぼ全面化する地域
2020年から2025年に人口減少となる市区町村割合は、地域ごとにかなり差があります。
- 四国 98.9%
- 北海道 98.3%
- 中国 98.1%
- 東北 97.7%
- 北関東 95.2%
- 南関東 66.5%
南関東でも減少自治体の方が多い一方、北海道、東北、中国、四国では、早い段階から地域全体で減少がほぼ標準になる構図です。
4割以上減る自治体が多いのはどこか
2050年に2020年比で人口指数60未満、つまり4割以上減る市区町村数が多いのは次のブロックです。
- 東北 148市区町村
- 北海道 129市区町村
- 中部 100市区町村
割合で見ると厳しさはさらにはっきりします。
- 北海道 72.1%
- 東北 69.2%
- 四国 60.0%
同じ「人口減少」でも、数%の減少で踏みとどまる地域と、4割以上減る自治体が多数派になる地域では、行政運営や生活インフラへの重みがまったく違います。
2050年に人口を保てる市区町村はどれくらいあるのか
ここはかなり明確です。2050年に2020年人口以上を保つ市区町村は、77市区町村、全体の4.5%しかありません。
反対に、減少する市区町村は1,651で95.5%です。内訳は次の通りです。
- 0から3割減 605市区町村
- 3から5割減 705市区町村
- 5割以上減 341市区町村
全体の約6割に当たる1,046市区町村で3割以上減少し、約2割で半減未満になる。ここまで来ると、人口減少は「緩やかな縮小」と言い換えにくい水準です。
人口を維持・増加できる自治体が比較的多い地域について、推計は大都市とその郊外、ならびに沖縄県を挙げています。地方圏の中でも一律ではなく、雇用、大学、医療、交通の集積がある地域に人口が残りやすいことを示す材料として読めます。
減っているのは総人口だけではない
人口減少が厳しい自治体では、年齢構成の変化も同時に進みます。
子どもの数はほぼ全国で減る
2050年に0から14歳人口が2020年を上回る市区町村は17、全体の1.0%だけです。残る1,711市区町村、99.0%で減少します。
しかも、2020年比で半数未満になる市区町村は850、49.2%に達します。人口が減るだけでなく、学校規模、通学距離、子育てサービスの維持条件も変わるということです。
高齢化率はさらに上がる
2020年から2050年にかけて、65歳以上人口割合が上昇する市区町村は1,696、98.1%です。
- 65歳以上人口割合50%以上の市区町村は59から557へ増加
- 2050年には全体の32.2%が高齢者比率50%以上
- 30%未満の市区町村は490から51へ縮小
「高齢者が増える」だけではありません。市区町村によっては総人口の減り方が大きく、高齢化率が急に高く見える局面も出ます。人口構成の変化は、医療や介護需要だけでなく、地域の担い手不足とも結びつきます。
高齢者人口そのものも永遠には増えない
見落とされやすい点ですが、65歳以上人口もずっと増え続けるわけではありません。
- 2050年に65歳以上人口が2020年以上の市区町村は546、31.6%
- 反対に2020年を下回る市区町村は1,182、68.4%
高齢化率は上がるのに、高齢者人口そのものは減る自治体も多い。これは、地域全体の人口母数が縮む局面に入ることを意味します。
何が読み取れて、何が言い切れないか
ここは分けておきたいところです。
データから言えること
- 地方の人口減少は広く進んでおり、2050年にはほぼ全国化する
- 厳しさが特に強いのは北海道、東北、中国、四国
- 人口維持が相対的に多いのは大都市圏の一部と沖縄県
- 子ども人口の減少と高齢化率の上昇が同時進行する
このデータだけでは言い切れないこと
- なぜその自治体で減るのかを単一要因で断定すること
- 企業誘致、移住施策、観光振興だけで増減を説明すること
- 直近の景気や政策変更が将来推計をそのまま塗り替えるとみなすこと
将来推計は、過去の出生、死亡、移動の流れから作った見通しです。実際には、大学再編、工場立地、災害、外国人受け入れ、住宅価格、交通網の変化で自治体ごとの差は動きます。それでも、現時点の条件を延長したときに、どこで縮小圧力が強いかを見るには十分に重い数字です。
比較するときの注意点
最後に、数字を読み違えやすい点を整理します。
- 国勢調査と住民基本台帳は集計時点と定義が違う
- 政令指定都市は、推計では区単位で作成し、市としても合算される
- 福島県の浜通り13市町村は、将来推計では1地域にまとめて扱われる
- 「割合が高い」ことと「人数が多い」ことは別問題
- 小規模自治体は、少人数の移動でも増減率が大きく出やすい
人口減少の記事では、順位や率だけが先に広がりがちです。ただ、本当に見るべきなのは、どの地域で減少が面として広がっているか、そして子ども人口と生産年齢人口がどこまで細るかです。
これから見るべきポイント
地方の人口減少を追うなら、次はこの3点を並べて見ると実態がつかみやすくなります。
- 市区町村別の最新住民基本台帳で、直近の増減が推計通りに進んでいるか
- 0から14歳人口と15から64歳人口の減り方に地域差があるか
- 人口減少が強い自治体で、医療、学校、公共交通の再編がどこまで進むか
人口減少は全国的な話ですが、同じ速度では進みません。どこで先に縮み、どこがまだ踏みとどまるのか。市区町村データで見ると、その差はもうかなりはっきりしています。
