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1日の歩数は増えたのか減ったのか 公的統計で見る年代別の運動量

1日の歩数は増えたのか減ったのか 公的統計で見る年代別の運動量

日本の1日の歩数は、全体としては減少傾向です。厚生労働省の最新の公表値では、2023年調査の20歳以上の平均歩数は男性6,628歩、女性5,659歩でした。しかも直近10年間で、厚生労働省は男女とも「有意に減少」としています。

ただし、年代別に見ると動きは一様ではありません。2023年の平均歩数は40代が最も多く、70歳以上が最も少ない一方、2019年と比べると40代だけは増え、30代や50代は減っていました。つまり、「みんな同じように減っている」とまでは言えません。

  • 結論: 最新の全国値では歩数は増加ではなく減少寄り
  • 最新年: 2023年11月実施の国民健康・栄養調査
  • 年代差: 2023年は40代が高く、70歳以上が低い
  • 比較の注意: 2020年と2021年は調査中止で、連続推移ではない

ここがポイント: 歩数の話は「全国平均が減った」で終わらせると粗くなります。最新値を見るなら、年代別の差と、どの年代がどれだけ動いたかを分けて見る必要があります。

目次

使ったデータ

今回使うのは、厚生労働省の国民健康・栄養調査です。最新の詳細報告は2025年4月30日に公開された「令和5年国民健康・栄養調査報告」で、調査自体は2023年11月に実施されました。

比較には、コロナ禍前の「令和元年国民健康・栄養調査報告」(2019年11月調査)を使います。2020年と2021年は調査中止のため、2019年から2023年は連続した毎年比較ではありません。

本文で見る条件は次の通りです。

  • 対象地域: 全国
  • 対象年: 2019年、2023年
  • 対象者: 20歳以上
  • 指標: 1日の歩数の平均値
  • 集計条件: 歩数計装着状況などに回答した人を集計し、100歩未満と50,000歩以上は除外

2023年の最新値

まず、2023年の年代別平均歩数です。総数で見ると40代が最も多く、70歳以上が最も少なくなっています。

年齢階級 2023年の平均歩数
20〜29歳7,141歩
30〜39歳6,871歩
40〜49歳7,569歩
50〜59歳6,930歩
60〜69歳5,985歩
70歳以上4,500歩

男女別の総平均は次の通りです。

  • 男性: 6,628歩
  • 女性: 5,659歩
  • 総数: 6,112歩

ここで重要なのは、高齢層ほど歩数が少ない構造がはっきり出ていることです。20代は7,141歩ですが、70歳以上は4,500歩で、差は2,641歩あります。日常の移動量や外出頻度の違いが、そのまま平均値に表れやすい指標だと分かります。

2019年と比べると、どの年代が増減したのか

2019年と2023年を並べると、年代ごとの違いが見えます。

年齢階級 2019年 2023年 増減
20〜29歳7,433歩7,141歩-292歩
30〜39歳7,401歩6,871歩-530歩
40〜49歳7,240歩7,569歩+329歩
50〜59歳7,256歩6,930歩-326歩
60〜69歳6,290歩5,985歩-305歩
70歳以上4,591歩4,500歩-91歩

見えてくるのは次の3点です。

  • 30代の落ち込みが最も大きく、2019年比で530歩減
  • 50代と60代も300歩前後の減少
  • 40代だけは329歩増で、2023年の最多層になった

このため、「若いほど多い」「年齢が上がるほど一律に減る」という単純な形ではありません。2023年は40代が20代を上回っており、働き方や移動機会、生活時間の組み立て方が年代ごとに違う可能性を示します。

長い目で見ると、全体は減少傾向

単年の上下だけではなく、長期の流れも確認しておきたいところです。厚生労働省の2023年結果公表では、20歳以上の平均歩数について直近10年間で男女とも有意に減少とされています。

年齢調整後の平均歩数でも、2023年は次の水準でした。

  • 男性: 6,914歩
  • 女性: 5,922歩
  • 参考目標: 健康日本21(第三次)の1日平均歩数 7,100歩

つまり、年齢構成の違いをならして見ても、男性は目標に近い一方で未達、女性はさらに差があります。平均値だけで「運動不足」と断定はできませんが、日常の歩行量が十分に戻っていないことは読み取りやすい数字です。

この数字から何が言えて、何が言えないか

言えること

  • 全国平均では、歩数は増加トレンドより減少トレンドで見るのが妥当
  • 2023年の年代別では40代が最も多く、70歳以上が最も少ない
  • 2019年比では30代、50代、60代の減少が目立つ

言えないこと

  • 歩数の減少だけで健康状態の悪化をそのまま断定すること
  • テレワーク、物価高、交通手段の変化など、特定の原因をこの統計だけで断定すること
  • 1日の平均歩数だけで運動習慣の全体像を言い切ること

歩数は分かりやすい指標ですが、筋トレや自転車、室内運動は十分に拾えません。たとえば運動習慣があっても、通勤や買い物の歩行が減れば歩数は下がります。逆に、運動習慣が弱くても仕事でよく歩く人は歩数が高く出ます。

比較するときの注意点

数字を読むうえで、特に外せない注意点があります。

  • 2020年と2021年は調査中止で、毎年連続の推移ではない
  • 2012年以降は100歩未満と50,000歩以上を除外している
  • 歩数は自己申告ではなく調査票と歩数計装着状況に基づくが、回答者ベースの集計なので母集団全体と完全一致ではない
  • 年代別の前年差ではなく、今回は2019年と2023年の比較である
  • 地域差は今回の表では見ていないため、都市部と地方部の違いは別集計が必要

特に、40代だけ増えている点は目を引きますが、それだけで「40代だけ生活が改善した」とは言えません。まずは次回以降の公表値で同じ傾向が続くかを確認するのが先です。

生活の変化を見るうえでの注目点

歩数データは、健康記事としてだけでなく、移動と生活時間のデータとして見ると使い道が広がります。

今後チェックしたいのは次の点です。

  • 30代の歩数減が次回も続くのか
  • 40代の増加が一時的な振れか、定着した変化か
  • 高齢層の4,500歩前後が今後さらに下がるのか
  • 都道府県別の年齢調整値で、地域差がどこまで大きいのか

平均歩数は小さな数字に見えても、毎日の積み重ねです。全国平均が減っているという事実よりも、どの年代で落ち込みが大きいかを押さえたほうが、次に見るべき地域差や生活変化が見えやすくなります。

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