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教員不足は全国平均では見えない――青森・島根の小学校で不足率3%超

教員の空席を表す教室と地域差を示す日本地図のイラスト。

教員不足は全国平均では見えない――青森・島根の小学校で不足率3%超

2025年5月1日時点の公立小学校では、教員の不足率が青森県で3.17%、島根県で3.02%に達した。全国の小学校の0.44%を大きく上回り、同じ「教員不足」でも地域によって配置の穴の大きさが違う。

一方、不足人数が最も多い小学校の集計区分は福島県の139人だった。どこで深刻かを判断するには、欠員の人数と、配置予定数に対する割合を一緒に見る必要がある。

この記事では、文部科学省が2026年3月5日に公表した2025年度の調査を使い、地域差、2021年度からの変化、授業や校内の役割への影響を確認する。

  • 小学校の不足率は青森県・島根県が3%超。中学校では島根県が2.93%で最も高い。
  • 全国の全校種合計では、5月1日の不足数が3,827人。2021年度の2,065人から増えた。
  • 欠員を他の教員が補う場合、授業が続いていても、予定していた支援や学校運営の担当が薄くなる可能性がある。
目次

使用データ――「採用できなかった人数」ではなく、学校への配置の穴を数える

この調査の不足数は、教育委員会が学校に配置する予定だった教師を確保できず、欠員になっている人数を表す。

使用するのは、文部科学省「2025年度『教師不足』に関する実態調査」と、その参考資料だ。2026年10月8日時点で同省の教師不足の案内ページに掲載されている、最新の全国実態調査である。公表年は2026年だが、測定しているのは2025年度の状況となる。

比較条件は次のようにそろえた。

  • 対象地域:47都道府県、20指定都市、大阪府豊能地区教職員人事協議会の計68区分。
  • 対象校:公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校。国立・私立は含まない。
  • 地域比較の時点:2025年5月1日。年度内の変化を見る場合だけ、同年度の始業日と比較する。
  • 不足率:不足数を、教育委員会が学校に配置することとしている教師の数で割った割合。

この「配置することとしている数」を、資料では配当数と呼ぶ。法律から算定される教職員定数とは別の指標で、都道府県・指定都市等の独自配置も含む。ただし、指定都市以外の市町村が独自に置く定数は含まれない。

また、非常勤講師などは勤務時間に応じて人数に換算される。以下の「人」は、すべてが常勤の実人数を意味するわけではない。養護教諭・栄養教諭等も対象外だ。

地域差――小学校は青森・島根、中学校は島根の不足率が高い

小学校と中学校では、不足率の高い地域が重なる一方、欠員人数の順位は異なる。

以下は、参考資料の68集計区分を対象に、各校種の不足率が高い順に5区分を抜き出したものだ。都道府県名の行と指定都市等の行は別の集計であり、県の行を「県内の全公立学校」と読み替えてはいけない。自治体別の原表に基づく。

小学校:人数最多の福島県と、不足率最高の青森県

集計区分不足数(人)不足率
青森県1263.17%
島根県853.02%
福島県1392.35%
熊本市461.95%
石川県631.75%

全国の小学校の不足率は0.44%。公表された割合で比べると、青森県は約7.2倍、島根県は約6.9倍になる。ただし、これは配置予定数に対する欠員割合の比較であり、子どもが授業を受けられない確率の比較ではない。

福島県は不足人数、青森県は不足率で最も高い。欠員を埋めるために必要な採用・任用の量を見るなら人数が重要になる。一方、地域の配置規模に対してどれほど穴があるかを見るなら率が役立つ。

島根県の85人を福島県の139人より少ないという理由だけで軽く扱うと、配置予定数に対する不足の大きさを見落とす。

中学校:小学校の順位をそのまま使えない

集計区分不足数(人)不足率
島根県512.93%
青森県592.25%
福島県792.09%
山梨県332.05%
石川県371.86%

全国の中学校の不足率は0.47%。島根県・青森県・福島県は両校種で上位に入るが、中学校では山梨県も2%を超える。

中学校は教科ごとに担当教員が必要になるため、総人数だけでは授業を組めるか判断できない。欠員が少なくても、必要な教科の教員を確保できなければ、その教科の時間割に穴が生じる。校種別の不足率に加え、教科別の欠員を確認する必要がある。

推移――新年度の欠員は減ったが、4年前より不足は拡大

2025年度の始業日から5月1日までには不足数が減ったものの、2021年度の同時点と比べると全国の不足は増えている。

全校種合計の不足数は、2025年度始業日の4,317人から、5月1日には3,827人へ490人減った。約11.4%の減少である。ただし、これは同じ欠員を追跡して何人補充できたかを示す数値ではなく、二つの時点の集計差だ。

より長い期間では、調査本体の2021年度との比較で、5月1日の不足数が2,065人から3,827人へ1,762人増えた。計算すると約85.3%増となる。不足率も0.25%から0.45%へ、0.20ポイント上昇した。

これは4年間の毎年の動きを示す連続データではない。途中の年も一貫して悪化した、とまでは言えない。

また、全国の悪化をすべての地域に当てはめることもできない。同調査では、全体の不足率が2021年度より改善した区分は23、悪化した区分は43とされる。全国値の上昇と、一部地域の改善は同時に起きている。

学校現場――授業が続いていても、別の役割を担う教員が補っている

欠員の影響は授業の実施状況だけでは捉えきれず、誰が代わりに担当したかまで見る必要がある。

2025年5月1日時点では、小学校の学級担任について1,086人分を代替者が担い、その状況が生じている学校は770校だった。調査には、指導体制や児童生徒支援の充実のために配置を予定していた教員、主幹教諭・指導教諭・教務主任、校長・副校長・教頭などが代替した内訳も掲載されている。

ここから読み取れるのは、担任の役割を校内の別の担当者が引き受けているという事実だ。担任としての授業や学級運営を続けられても、その教員が本来担当する支援や学校運営に使える時間は制約を受けうる。ただし、この調査は失われた支援時間や、児童の学習成果への影響を測定していない。

ここがポイント: 「授業が行われているか」と「予定した教員配置ができているか」は別々に確認する必要がある。校内での代替によって、欠員の影響が授業以外の仕事に移る場合がある。

一方、必要な授業そのものを行えていない「教科担任不足」も報告された。5月1日時点で中学校12校、高等学校3校に発生していたが、教育委員会への聞き取りでは、遅くとも2025年9月1日までにすべて解消したという。

この解消を、全国3,827人の欠員がすべて埋まったという意味で読むことはできない。解消が確認されたのは、必要な教科の授業を行えていなかった状況である。

読み解きの限界――不足率だけで教育の質や原因は順位づけできない

不足率は配置計画を満たせたかを示す指標であり、学校の教育条件全体を採点する数字ではない。

特に気をつけたいのは、分母となる配当数も教育委員会の配置方針によって変わることだ。

仮に、児童生徒支援を厚くするため配置予定を増やした地域が、その追加分を確保できなかった場合、不足率は上がりうる。逆に、配置予定が抑えられていれば不足率は低く出る可能性がある。これは指標の仕組みから考えられる例であり、今回の上位地域の原因を説明したものではない。

比較には、次の限界もある。

  • 不足ゼロでも十分とは限らない。予定数を満たしたことと、学校が必要とする支援を十分に提供できることは別の問いになる。
  • 5月1日は年度全体ではない。その後の休職や退職、新たな任用によって欠員は変わりうる。
  • 自治体内の偏りは分からない。区分全体の数字から、特定の学校や地域への集中は判断できない。
  • 不足率から原因は確定できない。採用、代替教員の確保、校種・教科の需給などを別の資料で確認する必要がある。

また、2025年度の公立小中学校について、法律に基づく教員定数分の充足率は全国平均100.9%と報告されている。学校ごとの配当数に対する欠員が存在することと、全国合計で法律上の定数分を満たすことは両立する。集計する範囲と比較する基準が違うためだ。

地域の学校を見るなら、欠員の「場所・期間・代替」を確かめる

地域の数字を生活に結びつけるには、不足率の順位より一歩先へ進み、どの役割に欠員が残っているかを確認したい。

保護者や地域住民が教育委員会の公開資料を見る際は、次の三点が手がかりになる。

  1. 場所:小学校か中学校か、どの教科・担当に欠員があるのか。
  2. 期間:年度当初だけの欠員か、補充まで長期間かかったのか。
  3. 代替:新たな教員を確保したのか、校内の別の担当者が兼ねたのか。

年度当初の欠員が減っても、兼務が続いていれば、校内の負担が軽くなったとは限らない。次の公表値では不足人数の増減に加え、欠員が続いた期間と、代替に回った教員の本来の役割が戻ったかを確かめることが重要になる。

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