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献血は500万人規模でも、若い担い手は減少――年代別データで見る世代交代の課題

さまざまな年代の協力者が待つ献血会場のイメージ。

献血は500万人規模でも、若い担い手は減少――年代別データで見る世代交代の課題

全国の延べ献血者数は、2025年度に500万1,234人となり、前年度をわずかに上回りました。一方、10~30代の献血協力は、暦年の比較で2015年の約204万人から2025年の約156万人へ減っています。

総数の維持と、若い担い手の減少は同時に起きています。「献血する人が一律に減っている」と捉えるより、どの年代が供給を支えているかを見ることが大切です。

この記事で分かることは、次の3点です。

  • 最新年度の総数と、10~30代それぞれの増減
  • 延べ人数、実人数、献血率の違い
  • 若者の減少が、将来の血液供給に関わる理由
目次

使用データは全国の2025年度実績が中心

比較の軸は、全国で実際に行われた献血の年度集計です。

日本赤十字社の「血液事業年度報・令和7年度」を使い、2025年4月~2026年3月の全国実績を確認します。資料のファイル名には2026年6月10日の日付が含まれ、2026年10月8日の確認時点で、公式一覧に掲載されている最新の通年年度報です。

長期変化には、日本赤十字社が公開する2015年と2025年の比較を使います。こちらは1~12月の暦年集計なので、年度報の数値とつなげて一本の時系列にはしません。

また、繰り返し献血する人の状況には、厚生労働省が掲載する日本赤十字社の2025年7月11日付資料を補助的に使います。対象は2024年度であり、最新年度との違いを明記して読みます。

「500万人」は重複を除いた人数ではない

年度報の献血者数は、同じ人が複数回献血した場合、その都度数える延べ人数です。例えば、1人が年に3回献血すれば、延べ人数は3人分になります。

一方、「実献血者数」は、年度内の協力者を重複を除いて数える指標です。献血の受入実績を見るなら延べ人数、担い手の広がりを見るなら実人数が適しています。

「献血者が500万人いる」という表現から、異なる500万人が参加していると受け取ると、供給を支える人の厚みを過大に見積もってしまいます。

最新年度は、10代が増え、20代と30代が減った

若い年代をまとめて見るだけでは、足元の違いを見落とします。

2025年度の10~30代の延べ献血者数は、次の通りです。前年比は前年度を100とした値で、献血率は各年代の人口に対する延べ献血者数の割合です。

年代延べ献血者数前年比献血率
10代(16~19歳)215,063人101.3%4.8%
20代(20~29歳)651,483人98.4%5.1%
30代(30~39歳)692,506人97.9%5.2%

出典:日本赤十字社「血液事業年度報・令和7年度」。人口の基準日は2025年1月1日。16~19歳の人口は、15~19歳人口から推計した15歳人口を差し引いて算出しています。

10代は前年度より1.3%増えています。対して20代は1.6%減、30代は2.1%減です。「若者はどの年代でも減少した」という説明は、最新年度には当てはまりません。

ただし、10代の増加だけで若年層全体の減少を埋められるわけでもありません。20代、30代はそれぞれ10代の約3倍の規模があります。増減率に加え、もともとの人数を確認する必要があります。

10~30代を合計すると155万9,052人。全国総数の約31.2%です。この割合と合計人数は、年度報の値から計算しています。

10年間では約24%減り、供給の中心は高い年代へ

長期の課題は、若年層の協力が減り、年齢の高い層への依存が強まっていることです。

日本赤十字社の「初めて献血される方へ」では、10~30代の献血協力者数を次のように示しています。

  • 2015年:約204万人
  • 2025年:約156万人
  • 10年間の減少:約48万人

公表された概数から計算すると、減少率は約23.5%、およそ4分の1です。これは延べ献血協力の規模を示す比較であり、48万人の異なる個人が献血をやめた、という意味ではありません。

一方、2025年度の延べ献血者数の構成比は、50代が31.8%、60代が16.2%です。合計すると50代・60代で48.0%。ほぼ半分をこの2つの年代が担っています。

厚生労働省の2026年度第1回献血推進調査会の議事録でも、2001年度には20代・30代が中心だったのに対し、2025年度は50代以上の献血者数が増えていると説明されています。さらに、コロナ禍以降は40代の減少も目立つとされています。

つまり、問題は若い層だけに閉じていません。20代・30代が将来の中核を担い、40代が現在の供給を支える。その両方の層が薄くなれば、50代・60代の協力で総数を維持している間にも、次の担い手への引き継ぎは難しくなります。

今の50代が、そのまま同じ回数を続けられるわけではない

献血には年齢などの基準があります。

日本赤十字社の献血の案内では、対象を16~69歳とし、65歳以上は60~64歳の間に献血経験がある人に限るとしています。献血方法によって、さらに条件が異なります。

したがって、現在の高い年代の協力が、人数も回数も変わらず何十年も続くと想定することはできません。

ただし、50代・60代の構成比が高いことから、直ちに「何年後に何万人分不足する」とは計算できません。今の40代が50代になったときの参加状況、新規協力者、献血回数、医療側の需要も変わるためです。これは将来の確定的な不足予測ではなく、世代交代を確認すべき理由です。

少子化だけでは説明しきれない

若年層の減少は、人口の縮小と、人口当たりの献血協力を分けて読む必要があります。

延べ献血者数は、考え方として次の3つに分けられます。

その年代の人口 × 年度内に献血した人の割合 × 協力者1人当たりの献血回数

人口が減れば、参加する割合と回数が変わらなくても延べ人数は減ります。一方、参加する割合や平均回数が下がれば、人口減少以上に献血協力が縮小します。

厚生労働省の2026年度調査会では、2025年度の若年層の人口に対する献血者数の割合が、前年度より0.1ポイント低下したと報告されています。「若い人の人口が減ったから」だけで、足元の変化を説明するのは不十分です。

ただし、この献血率にも複数回の協力が含まれます。人口に対する実際の参加者の割合が下がったのか、参加者の回数が減ったのかは、実人数と回数を併せて確認する必要があります。

若者の意識を、この統計だけで判断しない

年代別の人数は、協力の結果を記録したものです。参加しなかった理由までは分かりません。

  • 献血会場へ行く機会があったか
  • 学校や職場で献血に接する機会があったか
  • 時間や移動の制約があったか
  • 健康状態や採血基準によって協力できなかったか

こうした条件と、献血に対する考え方は別の問題です。年代別人数が減ったことを、そのまま「若者の関心が薄れた」と結び付けることはできません。

2025年度には献血の申込者数と、実際に献血できた人数にも差があります。申込み、受入れ、継続参加を分けて見ることが、対応策を考える前提になります。

初回の回復と、継続する担い手の確保は別の課題

初めて参加する人が増えても、それだけで毎年の供給が安定するとは限りません。

厚生労働省の2026年度調査会では、10代・20代の初回献血者数は2020年度に急減し、2021年度以降は徐々に回復しているものの、コロナ禍前には戻っていないと説明されています。

一方、2024年度の実献血者数を整理した資料では、10代の実献血者は16万5,075人。そのうち年度内に2回以上協力した人は3万5,429人で、21.5%でした。

この数字から確認できるのは、10代では年度内に1回の協力者が多数を占めることです。「1回でやめた」とは読めません。年度末に初めて献血した人には同じ年度内の次回機会が少なく、年齢や献血方法によって可能な回数も異なります。

それでも、入口と継続を別々に追う意味はあります。

  • 入口を見る指標:初回献血者数、初回者の年代
  • 担い手の広がりを見る指標:重複を除いた実献血者数
  • 継続を見る指標:複数回協力者数、平均献血回数、翌年度の参加状況

初回者が回復しているのに実人数が増えない場合と、実人数は維持しているのに延べ人数が減る場合では、確認すべき問題が違います。前者は新規参加と継続の関係、後者は回数や献血方法の変化が焦点になります。

総数が増えても、血液が常に足りるとは限らない

年間の延べ人数は、日々の医療需要に対する充足を直接示す指標ではありません。

日本赤十字社は、輸血用の血液は長期保存できず、人工的に製造される代替品もないと説明しています。必要な時期に供給できることが重要で、年間合計だけが維持されていても、時期による偏りは残り得ます。

さらに、献血の1回をすべて同じ供給量として扱うこともできません。200mL、400mL、成分献血では採取する量や成分が異なり、赤血球、血小板、血漿などの需要も別々です。

ここがポイント: 総数の維持は現在の受入実績、若年層の減少は将来の担い手、製剤別の供給は患者に届けられる血液の状況を示します。3つを分けて確認する必要があります。

このため、今回の年代別統計から「今すぐ全国で血液が不足している」と断定することはできません。反対に、「500万人規模だから将来も安心」と判断する根拠にもなりません。

次に見るべきは、20代・30代の実人数と継続状況

今後の焦点は、10代の増加が次の年代の協力につながるかどうかです。

2025年度は10代が増えましたが、20代・30代は減りました。ここから先は、次の変化によって見方が分かれます。

  • 初回者も実人数も増える:担い手の裾野が広がっている。ただし、翌年度以降も参加が続くかを確認する。
  • 延べ人数だけが増える:既存の協力者の回数増で支えている可能性がある。実人数の増加とは区別する。
  • 人口減少の中で献血率が上がる:人口当たりの協力は強まっている。それでも絶対数が需要に届くかは別に見る。
  • 50代・60代への集中がさらに進む:現在の供給を支える一方、若い年代への引き継ぎが一層重要になる。

年代別統計は、個人に献血の可否を判断させる資料ではありません。個々の参加には、その時点の基準や健康状態などの確認が必要です。

地域の取組や公表資料を見る際には、「何人分の献血があったか」に加えて、「異なる何人が参加したか」「初めての人が次の年度にも協力したか」を確認したいところです。総数が500万人を超えた今も、20代・30代の担い手が厚くなったかどうかは、別の数字で追う必要があります。

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