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歯科健診の受診率は63.8%、20代前半は45.1% 残る歯の本数との年代差を読む

年代別の歯科検診受診率と残存歯数を表すイメージ。

歯科健診の受診率は63.8%、20代前半は45.1% 残る歯の本数との年代差を読む

2024年の歯科疾患実態調査では、過去1年間に歯科検診(健診)を受けた人は全国で63.8%でした。しかし、20~24歳は45.1%にとどまり、全年代で最も低くなっています。

一方、自分の歯が20本以上ある割合は年齢とともに下がるものの、80歳時点の推計値は61.5%まで上昇しました。歯を残せる人が増えるなか、学校健診を離れた直後の若年層や働く世代に、検診機会の谷があることが最新データから見えてきます。

  • 使用データ:厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」
  • 調査年:2024年
  • 対象:全国の1歳以上。現在歯数は永久歯を調べた15歳以上
  • 比較軸:年代別の過去1年間の歯科検診受診率、平均現在歯数、20本以上の歯がある割合
目次

最新調査で分かった3つのこと

結論を先に整理すると、改善しているのは全国平均だけではありません。ただし、年代ごとの受診機会には大きな差が残ります。

  • 過去1年間の歯科検診受診率は、2022年の58.0%から2024年の63.8%へ5.8ポイント上昇
  • 5~9歳は96.6%、10~14歳は95.2%だが、20~24歳は45.1%まで低下
  • 80歳で20本以上の歯がある「8020達成者」は、1999年の15.3%から2024年の61.5%へ上昇

受診率の全国平均だけを見れば、約3人に2人が年1回は検診を受けています。しかし年代別に分けると、ほぼ全員が受ける学齢期と、半数前後に落ち込む成人期が同じ平均値の中に含まれています。

歯科検診の受診率は年代でどう違うか

受診率が最も低いのは20~24歳で、学校を離れた後に検診機会が細くなる様子が数字に表れています。

年齢過去1年間の受診率読み取れる位置
5~9歳96.6%全年代で最高
10~14歳95.2%学齢期は高水準
15~19歳76.1%10代後半から低下
20~24歳45.1%全年代で最低
25~29歳55.1%20代後半にやや回復
30~34歳55.5%半数台にとどまる
40~44歳62.9%全国平均に近い
50~54歳58.3%再び6割を下回る
60~64歳57.2%成人では低い水準
65~69歳65.1%65歳以降に上昇
75~79歳66.5%成人年代で最高
85歳以上49.8%再び半数を下回る

20代前半で51.5ポイント下がる

5~9歳の96.6%と20~24歳の45.1%には、51.5ポイントの差があります。年齢そのものが受診を妨げるというより、学校で用意される検診と、本人が歯科医院などへ足を運ぶ成人期の検診では、受ける経路が違う点に注意が必要です。

調査は受診場所や受診のきっかけをこの年代表だけで説明していません。そのため「忙しいから」「費用がかかるから」といった理由を、この数値だけから確定することはできません。それでも、15~19歳の76.1%から20~24歳の45.1%へ31.0ポイント下がるため、学校卒業前後が受診機会の明確な切れ目になっていることは確認できます。

男性は30~60代前半で低い

全体では女性66.5%、男性60.6%で、女性が5.9ポイント上回りました。差が目立つ年代もあります。

  • 30~34歳:男性45.7%、女性63.9%
  • 40~44歳:男性51.7%、女性69.8%
  • 55~59歳:男性51.5%、女性66.1%
  • 60~64歳:男性52.5%、女性61.8%

ただし、男女差を生活習慣や就業状況だけで説明することはできません。調査表が示すのは受診率の差であり、その理由までは測っていないからです。自治体や職場が対策を考える際には、受診率に加え、健診制度の有無、案内方法、予約できる時間帯などを別に確認する必要があります。

ここがポイント: 全国平均の63.8%だけでは、20代前半の45.1%という谷が見えません。歯科検診の課題は「全体を一律に引き上げること」より、学校卒業後と働く世代の受診経路をどう確保するかにあります。

残っている歯は60代から大きく減る

平均現在歯数は50代まで27本前後ですが、60代から減少幅が広がります。

年齢平均現在歯数20本以上ある人の割合
40~44歳28.1本99.0%
50~54歳27.4本97.8%
60~64歳25.7本91.5%
65~69歳23.4本82.7%
70~74歳21.3本72.1%
75~79歳19.5本61.6%
80~84歳19.1本61.4%
85歳以上14.5本35.0%

40~44歳から60~64歳までの20年間では、平均現在歯数は28.1本から25.7本へ2.4本減っています。その後、60~64歳から80~84歳まででは6.6本減少します。

また、平均だけでは分布が見えません。80~84歳の平均は19.1本ですが、20本以上ある人は61.4%です。20本を大きく上回る人と、少ない人が同じ年代に共存するため、平均値と「20本以上の割合」はセットで見る必要があります。

検診率と現在歯数は同じ人の経過ではない

検診率が高い年代ほど歯が多い、と単純には言えません。今回の表は、2024年時点で異なる年代の人々を比べた横断調査です。同じ人を何十年も追跡し、検診の有無による歯の減り方を比較したものではありません。

さらに、年齢が上がるほど長年の治療歴、喫煙、持病、所得、利用できる歯科医療など多くの条件が積み重なります。検診は早期発見や継続管理につながる入口ですが、この調査だけで「受診したから何本残った」と因果関係を計算することはできません。

8020達成率は25年で約4倍になった

長期推移で最もはっきりしているのは、高齢期にも20本以上の自分の歯を持つ人が増えたことです。

80歳で20本以上の歯を有する人の推計割合は、次のように上昇しています。

  • 1999年:15.3%
  • 2005年:24.1%
  • 2011年:38.3%
  • 2016年:51.2%
  • 2022年:51.6%
  • 2024年:61.5%

1999年から2024年までの上昇幅は46.2ポイントで、割合は約4倍です。75~79歳でも、20本以上ある人は1999年の17.5%から2024年の61.6%へ増えました。80~84歳では13.0%から61.4%へ上昇しています。

これは、高齢になれば大半の歯を失うという状態が、少なくとも集団全体では変わってきたことを示します。ただし、2022年から2024年の8020達成率が9.9ポイント上がった部分は、短期間の個人変化として読むべきではありません。調査対象者が毎回同じではなく、2024年値には人口規模を反映した全国補正が施されているためです。

「63.8%」を読むときの注意点

この調査は全国の実態を把握する重要な資料ですが、数字の比較には条件があります。

「検診」には複数の受診経路が含まれる

質問は、過去1年間に歯科検診を受けたかを尋ねています。学校、職場、自治体、歯科診療所など、受診の入口は一つではありません。治療目的の通院率や、自治体が実施する特定の歯周疾患検診の受診率とも別の指標です。

したがって、63.8%を「自治体の歯科健診を受けた割合」や「定期的に予防通院している割合」と読み替えることはできません。

2024年値は単純な回答人数比ではない

2024年調査では、令和2年国勢調査の一般調査区から475地区を無作為抽出し、対象となった満1歳以上の世帯員は14,695人でした。受診率の集計対象は14,648人です。

公表値は、各都道府県の人口規模が全国値へ反映されるよう調整した「全国補正値」です。表の回答人数をそのまま割った値とは一致しない場合があります。

都道府県順位には慎重さが必要

2024年調査には都道府県別の歯の状態を扱う集計もありますが、各地域の調査人数には差があります。今回の記事では、安定して比較しやすい全国の年代別補正値を中心にしました。

都道府県別に比較する場合は、順位だけでなく、標本数、年齢構成、補正方法、指標が現在歯数なのか未処置歯なのかをそろえる必要があります。国際比較も同様で、「過去1年間」「歯科医師による検査」「治療を含む受診」など定義が違えば、受診率を横一列には並べられません。

生活者と地域が見るべき次の数字

今後の焦点は、全国平均が上がるかだけではなく、受診率の谷が埋まるかです。

特に確認したいのは次の3点です。

  • 20~24歳の受診率が45.1%から上向くか
  • 男性の30~60代前半で5割前後の状態が改善するか
  • 8020達成率の上昇と同時に、85歳以上で20本以上ある人の割合35.0%も伸びるか

生活者にとっては、「痛くなったら受診する」ことと「症状がない段階で検診を受ける」ことを分けて考えるのが実用的です。自治体の成人歯科健診、加入する健康保険、勤務先の制度は対象年齢や自己負担が異なるため、まず利用できる入口を確認する必要があります。

地域や職場に問われるのは、受診を呼びかけるだけでなく、学校健診を離れた20代や、受診率の低い働く世代が予約まで進める仕組みを用意できるかです。次回調査では、全国の63.8%よりも、20代前半の45.1%がどこまで縮まるかが重要な観測点になります。

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