LINEは全世代、Instagramは20代、TikTokは10代が中心 最新データで見るSNS利用率
SNSは、年代によって使われるサービスがはっきり異なります。2025年12月の総務省調査では、LINEは10代から60代まで利用率が90%を超え、70代でも77.8%。一方、Instagramは20代の82.6%、TikTokは10代の67.9%がピークでした。
つまり、世代をまたいで連絡するならLINE、若年・現役世代へ視覚的に届けるならInstagram、10〜20代を中心に短い動画で届けるならTikTokが有力です。Xは20代、Facebookは30〜40代に比較的厚く、全世代を同じSNSだけでカバーできるわけではありません。
- LINE:10〜60代で90%超。70代も77.8%
- Instagram:20代が82.6%で最多。30代も76.6%
- X:20代が73.4%で最多。30代は67.7%
- TikTok:10代67.9%、20代61.5%。30代以上にも拡大
使用データと比較条件
中心に使うのは、総務省情報通信政策研究所の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」です。
調査条件は次の通りです。
- 調査対象:全国の13〜79歳の男女1,800人
- 調査時期:2025年12月
- 公表日:2026年6月26日
- 年代区分:10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代
- 回答方法:各サービスを「利用している」と答えた人の割合。複数回答
推移を見る際は、同じ総務省調査の2021〜2024年度値も参照します。ただし、2024年度から70代が本集計に加わったため、全年代の値を過去年と単純比較すると、年齢構成変更の影響が混ざります。長期推移では、全年代平均よりも同じ年代同士を比べるほうが安全です。
また、ここでいう「利用率」は、毎日使う人の割合や利用時間ではありません。アカウントを持っていて時々見る人も含まれるため、接触の深さまでは分からない点に注意が必要です。
最新の全体像 LINEとYouTubeが世代横断型
全年代で見ると、LINEとYouTubeが他のサービスを大きく上回ります。
2025年度調査の利用率は次の通りでした。
- LINE:92.9%
- YouTube:81.5%
- Instagram:54.8%
- X(旧Twitter):44.7%
- TikTok:36.7%
- Facebook:27.0%
LINEとYouTubeは、役割こそ違いますが、どちらも8割を超えています。家族や知人、学校、職場などで直接連絡を取るLINEと、動画を検索・視聴するYouTubeは、特定世代だけのサービスではなくなりました。
一方、Instagram、X、TikTokは年代差が大きくなります。全年代平均だけを見て「日本人の半数が使う」「4割が使う」と理解すると、実際にどの層へ届くのかを見誤ります。
年代別に見ると、使われ方はどう分かれるか
年代差をつかむには、サービスごとのピークと裾野を見るのが近道です。
LINEは70代まで連絡基盤になった
LINEの2025年度利用率は、10代96.4%、20代97.7%、30代97.9%、40代96.6%、50代95.6%、60代92.0%でした。最も低い70代も77.8%です。
10〜60代では年代差が小さく、連絡手段としての共通基盤が成立しています。自治体が防災情報やごみ収集日を知らせる場合、店舗が予約確認を送る場合、家族が世代をまたいで連絡する場合にも、LINEは候補になりやすい数字です。
ただし、70代では約22%が利用していません。行政や医療など、届かないことで不利益が生じる情報は、電話、郵送、ウェブサイト、防災無線などを残す必要があります。
Instagramは20代を頂点に40代まで厚い
Instagramは、20代の82.6%が最多です。30代76.6%、40代67.1%と続き、50代でも54.4%、60代でも36.1%が利用しています。
若者向けという印象だけでは、現在の分布を十分に説明できません。20代を頂点としながら、子育て、住宅、旅行、飲食、買い物などの情報を探す現役世代にも広がっています。
一方で、10代は69.3%、70代は15.8%です。10代では高水準ながら20代を下回り、70代との間には66.8ポイントの差があります。写真や短い動画だけで全年代向けの情報提供を完結させるのは難しいと分かります。
Xは20〜30代に厚く、年代差が急になる
Xの利用率は20代が73.4%で最も高く、30代も67.7%です。全年代では44.7%にとどまるため、20〜30代の高さが平均では見えにくくなっています。
短文で速報を追う、検索語や話題から投稿を探すといった利用に向く一方、年代が上がるほど接触できる人は少なくなります。災害時の即時発信には役立っても、住民全員に届く連絡網の代わりにはなりません。
TikTokは若年中心のまま、30代以上へ拡大
TikTokは10代67.9%、20代61.5%と、若い年代で特に高いサービスです。しかし、若者だけに限定された状態ではありません。
2024年度から2025年度への変化を見ると、30代は39.7%から44.7%へ5.0ポイント、50代は25.5%から32.2%へ6.7ポイント上昇しました。40代も42.6%、60代も21.2%に達しています。
注目すべき変化は、10代の高さより、30〜60代にも利用が広がっていることです。 短い縦型動画を見る行動が、特定世代だけのものではなくなりつつあります。
ここがポイント: 年代差は「使う・使わない」の境界ではありません。LINEは世代横断型、Instagramは20〜40代に厚い山型、Xは20〜30代寄り、TikTokは若年中心から上の年代へ拡大中、という分布の違いとして捉える必要があります。
Facebookだけは30〜40代が中心
Facebookは、若いほど利用率が高いという一般的な形に当てはまりません。2025年度の10代利用率は14.3%と低く、30〜40代がピークです。
全年代の利用率も27.0%で、LINEやInstagramを下回ります。ただし、特定の仕事上のつながり、地域団体、既存コミュニティーでは利用が続いている可能性があります。全体順位が低いことと、ある集団で役に立たないことは同じではありません。
4年間で最も裾野を広げたのはInstagram
2021年度から2024年度までの同年代比較では、Instagramが40〜60代へ大きく広がりました。
主な変化は次の通りです。
- 30代:57.1%から70.5%へ、13.4ポイント上昇
- 40代:50.3%から67.0%へ、16.7ポイント上昇
- 50代:38.7%から52.7%へ、14.0ポイント上昇
- 60代:13.4%から34.7%へ、21.3ポイント上昇
特に60代は、4年間で2.5倍を超える水準になりました。若年層で飽和したサービスが、時間とともに上の年代へ広がる「世代の裾野拡大」が数字に表れています。
同じ期間のTikTokも、30代23.5%から39.7%、40代18.8%から39.9%、50代15.2%から25.5%へ上昇しました。Instagramほど全年代に浸透してはいないものの、短い動画を見る習慣は30〜50代にも広がっています。
ただし、この推移だけから「若者が年を取ったから広がった」「動画機能の追加が原因だ」と断定はできません。調査対象者は毎年同じ人ではなく、端末の普及、サービスの機能変更、社会環境など複数の要因が同時に動いているためです。
数字から読み取れる生活上の変化
利用率の差は、情報が届く場所の違いに直結します。
家族や地域の連絡はLINEだけでも広いが、全員には届かない
10〜60代で90%を超えるLINEは、学校、町内会、店舗、自治体が日常的な連絡を送る手段として強力です。70代でも約8割に届く可能性があります。
それでも、利用率100%ではありません。災害、給付、医療、税、選挙など重要な情報をLINE登録者だけに流せば、未利用者が取り残されます。利用率の高さは、他の手段を廃止してよい根拠にはなりません。
店や自治体は「住民全体」と「狙う年代」で媒体を分ける必要がある
同じ内容を全SNSにコピーするより、届けたい相手と情報の性質で分けるほうが合理的です。
- 全年代への予約確認や更新通知:LINEを軸にする
- 20〜40代へ写真で伝える観光・店舗・住宅情報:Instagramを使う
- 20〜30代へ速報や更新情報を流す:Xを組み合わせる
- 10〜20代へ短い手順や施設紹介を見せる:TikTokを検討する
- 取りこぼせない公共情報:紙、電話、ウェブなどを併用する
ここで大切なのは、利用率をそのまま「情報が届く割合」に置き換えないことです。アプリを利用していても、その発信者をフォローしていなければ投稿は届きません。通知を切っている人や、見るだけで検索に使わない人もいます。
複数サービスの併用が標準になっている
各サービスの割合を足して100%を超えるのは、複数回答だからです。20代ではLINE、Instagram、X、TikTokを併用している人が少なくないと推測できますが、この集計表だけでは、具体的な併用パターンや人数までは分かりません。
「若者はTikTok」「中高年はFacebook」と一つに決めつけると、実態を単純化しすぎます。同じ人でも、家族との連絡はLINE、店探しはInstagram、速報確認はX、動画視聴はYouTubeというように、目的に応じて使い分けている可能性があります。
比較で誤読しやすい5つの点
SNS利用率は分かりやすい数字ですが、読み方には注意が必要です。
1. 「利用」の頻度はそろっていない
毎日何時間も見る人と、月に数回だけ開く人が同じ「利用者」に入る可能性があります。広告、行政広報、家族連絡など実際の到達力を考えるなら、利用頻度や平均利用時間も別に確認する必要があります。
2. YouTubeとLINEは利用目的が大きく違う
YouTubeは動画共有、LINEはメッセージ交換が中心です。利用率が近くても、同じ役割を代替できるわけではありません。「利用者が多い順」だけで配信先を決めると、内容と媒体が合わなくなります。
3. 70代追加で全年代平均の条件が変わった
2024年度調査から70代が本集計に含まれています。全年代平均が前年から下がっていても、各年代の利用が減ったのではなく、集計対象の変更が影響した可能性があります。経年比較では年代別の数値を優先すべきです。
4. 年ごとの数ポイント差には標本誤差がある
調査対象は2025年度で1,800人です。年代別に分けると人数はさらに少なくなるため、1〜2ポイント程度の変化を確実な増減とみなすのは慎重であるべきです。複数年続く動きや、大きな変化幅を見るほうが適しています。
5. 利用率から利用理由や因果関係は分からない
InstagramやTikTokが中高年へ広がった事実は確認できます。しかし、どの機能が普及を促したのか、生活様式や所得がどの程度影響したのかは、この利用率だけでは検証できません。
今後見るべきポイント
SNSの世代差は残っていますが、境界は固定されていません。次回以降の調査では、次の変化が重要です。
- TikTokの30〜60代での上昇が継続するか
- Instagramが60代でもさらに広がるか
- LINEの70代利用率が8割を超えるか
- Xの20〜30代中心という分布が変わるか
- 利用率の上昇が、実際の利用時間増加も伴っているか
生活者にとっての実用的な結論は明快です。家族、職場、地域で情報を確実に共有したいなら、相手が「SNSを使っているか」だけでなく、どのサービスを、どの程度の頻度で確認しているかまで確かめる必要があります。利用率が高いLINEでさえ、重要な連絡を一本化する前には、届かない人への代替手段を残しておくべきです。
