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農業の主な担い手は25年で約57%減――100万人を割った人数と高齢化の読み方

日本の田畑で農作業をする農業者と農業機械のイメージ。

農業の主な担い手は25年で約57%減――100万人を割った人数と高齢化の読み方

自営農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」は、2000年の約240万人から2025年の103万6千人へ、25年間で約57%減りました。最新の2026年調査では98万7千人と推定され、100万人を下回っています。ただし、この人数は法人の従業員などを含む「農業で働く人全員」の数ではありません。

もう一つの重要な変化は、人数が減り続ける一方、平均年齢の上昇は直近で止まっていることです。2025年の平均年齢は67.7歳で、2020年より0.1歳低下しました。それでも65歳以上が約7割を占め、世代交代が済んだとは読めません。農林水産省の最新統計と令和7年度食料・農業・農村白書で確認できます。

この記事では、全国の人数推移を確かめたうえで、年齢の平均と割合、法人への移行、地域の農地を誰が引き継ぐかを分けて見ていきます。

  • 2020〜2025年に32万7千人減少。5年間の減少率は約24%。
  • 2025年の65歳以上は72万1千人、全体の69.6%。
  • 2026年の98万7千人は標本調査による推定値。2025年の全数調査とは条件が異なる。
  • 人数の減少率を、そのまま収穫量の減少率や食料価格の上昇率に置き換えることはできない。
目次

使用データ――「自営農業を主な仕事とする世帯員」を数える

今回の指標は、個人経営の農業を主な仕事として担う人の規模を示します。

農林水産省は、基幹的農業従事者を「自営農業を主な仕事としている世帯員」と定義しています。対象は個人経営体の世帯員です。農業法人に雇われて働く人や、別の仕事を主にしながら農作業をする人まで一括して数える指標ではありません。

そのため、見出しで「農業人口」と略されていても、何を数えた人数なのかを確認する必要があります。農業に関わる人数、主な仕事として担う人数、年間の労働時間は、それぞれ別の情報です。

全数調査と年次の推定値を分ける

使用する資料と比較条件は次のとおりです。

  • 長期推移:農林水産省が農林業センサスなどを基に示す全国の系列。2000年以降を比較する。
  • 直近の確定した基準:2025年農林業センサス。調査時点は2025年2月1日。2025年の全国人数は103万6千人を使用する。
  • 最新年の動き:2026年農業構造動態調査。調査時点は2026年2月1日、2026年6月30日公表。人数は標本調査から推計した値。
  • 資料確認時点:2026年10月8日。人数の比較は全国・個人経営体の基幹的農業従事者にそろえる。

センサスは5年ごとの全数調査、農業構造動態調査は標本調査です。毎年の変化を知るには後者が役立ちますが、調査方法が違う年をまたぐ小さな変動には注意が必要です。農業構造動態調査の公表ページに、調査年と公表日が整理されています。

2025年については、初期の概数値に102万1千人という数字があります。本稿はその数字を使わず、現在の公式統計・白書に掲載された103万6千人に統一します。2025年センサスの総括編は2026年8月7日に掲載されており、古い記事と比較するときは概数値か、その後の公表値かを確かめてください。2025年農林業センサスの公表状況

人数推移――25年間で約136万人、直近5年間で約33万人減った

長期の減少は明確で、2025年の人数は2000年の半分を大きく下回っています。

まず、5年ごとの大きな流れを見ます。古い年は万人単位の概数で示し、直近は千人単位まで掲載します。

年基幹的農業従事者数・全国値の扱い
2000年約240万人長期系列の概数
2005年約224万人長期系列の概数
2010年約205万人長期系列の概数
2015年約176万人長期系列の概数
2020年136万3千人農林業センサス
2025年103万6千人農林業センサス
2026年98万7千人農業構造動態調査の推定値

出典:過去年の概数は農林水産省の農業者の減少・高齢化に関する参考資料、2020年以降は前掲の農業労働力統計。過去の系列には集計対象をそろえるための組替集計があり、各年の古い公表表をそのまま接続した数値とは区別する必要があります。

直近の5年間では約4人に1人に相当する規模が減少

2020年の136万3千人から2025年の103万6千人への減少は、32万7千人です。公表値から計算すると、減少率は約24.0%になります。

2000〜2005年は概数で約16万人の減少でした。対して2020〜2025年は、既に人数が少なくなったところから約33万人減っています。長期系列では、近年の減少が大きいことが分かります。

ただし、「5年前にいた4人のうち1人が引退した」と個人の動きまで特定できるわけではありません。この差には、離農、死亡、就農、主な仕事の変更、経営形態の移行などが含まれ得ます。各要因が何人分を占めるかは、総数の比較だけでは分かりません。

2026年の100万人割れは、調査方法とセットで読む

2026年の推定値98万7千人は、2025年の103万6千人より4万9千人少なく、数値上の差は約4.7%です。

100万人を下回ったことは規模をつかむ目安になります。ただし、100万人の線を越えた瞬間に農業の供給能力が変わるわけではありません。また、全数調査と標本調査の差を含むため、この4万9千人をそのまま「1年間に辞めた人数」とする読み方も避ける必要があります。

重要なのは節目の数字そのものより、長期の減少が続くなかで、農地や作業を引き受ける人・組織が確保されているかです。

高齢化――平均年齢が下がっても、65歳以上は約7割

2025年の平均年齢のわずかな低下だけでは、担い手の若返りを判断できません。

同年の年齢構成は、65歳以上が72万1千人で69.6%、49歳以下が約13万人で12.6%です。平均年齢は67.7歳。長期的には2000年の62.2歳から上がっていますが、2020年の67.8歳と比べると0.1歳低くなりました。農林水産省の長期比較資料と前掲の令和7年度白書による数値です。なお、長期比較資料の2025年人数・年齢は概数段階のため、本稿の直近値には使用していません。

高齢者の人数が減ると、平均も下がり得る

平均年齢は、その年に集計対象となった人の年齢を平均した数字です。前年と同じ人だけを追跡した値ではありません。

若い人が増えれば平均は下がります。一方、高い年齢の人が多く集計対象から外れても下がります。後者の場合、平均年齢の低下と労働力の縮小が同時に起きます。

2020年と2025年を比較すると、65歳以上は94万9千人から72万1千人へ22万8千人減りました。総数の減少32万7千人のうち、計算上は約7割を65歳以上の減少が占めます。

しかし、65歳未満も41万4千人から31万5千人へ9万9千人減っています。つまり、高齢層だけが減り、若い側が人数を維持しているわけではありません。これらは公表値を差し引いた計算で、年齢階層を移った人や退出・参入の内訳までは示しません。

割合と人数は、必ず一緒に確認する

2020年の65歳以上の割合は、公表人数から計算すると約69.6%。2025年も69.6%です。高齢者の人数は大きく減ったのに、割合はほぼ変わっていません。65歳未満も減ったためです。

2026年は65歳以上が69万3千人で、総数98万7千人に対して約70.2%。平均年齢は67.7歳です。平均が横ばいでも、高齢層に大きく依存する状態は続いています。

ここで65歳を一律の引退年齢とみなすことはできません。年齢の数字は世代構成を示しますが、個々の人の作業能力や継続意向を測る指標ではありません。

また、67.7歳は平均値であり、中央値ではありません。「半数が67.7歳以上」という意味にはならない点にも注意が必要です。

法人化と品目差――全国平均だけでは見えない担い手の姿

個人経営の担い手が減る動きと、別の組織が農業を引き受ける動きは、分けて確認する必要があります。

団体経営体は増えているが、人数の穴埋めまでは分からない

2025年の農業経営体は83万6千経営体で、2020年より22.3%減りました。内訳では、個人経営体が79万6千経営体へ23.3%減る一方、団体経営体は4万経営体へ4.9%増えています。団体経営体は法人だけでなく非法人の組織も含む区分です。前掲の令和7年度白書が示しています。

この違いは、基幹的農業従事者数の減少を解釈するうえで重要です。個人経営の農地や仕事を団体経営が引き継ぐ場合、基幹的農業従事者の人数が減っても、農業の仕事や耕作が同じ規模で消えるとは限りません。

ただし、経営体数は組織の数です。団体経営体が4.9%増えたことから、従業員数や労働時間、生産量も同じ割合で増えたとは判断できません。受け皿として十分かを確かめるには、雇用人数、経営耕地面積、作業受託面積などを併せて見る必要があります。

稲作と施設野菜では年齢構成が違う

高齢化の程度は品目によっても異なります。令和6年度白書の部門別分析では、販売金額が最も大きい部門で分類した基幹的農業従事者の年齢構成について、稲作・果樹類は70歳以上が半数以上、施設野菜・酪農・養豚・養鶏は49歳以下が2割を超えるとしています。

これは2025年の全国総数と同じ時点の比較として扱わず、品目差を理解する補助資料と位置づけます。また、稲作にも取り組む複合経営が、販売額の大きい別部門に分類される場合があります。

割合の高低と若い人の実数も別です。小さな部門で若年層の割合が高くても、大きな部門より若い人の人数が多いとは限りません。地域の担い手を比べるなら、人数、割合、中心となる品目の三つをそろえる必要があります。

人数減少が暮らしに関わる経路――価格より先に、作業の引き継ぎを見る

担い手の減少が生活にどう響くかは、農地と仕事の受け渡しが進むかによって変わります。

人数だけから「農産物が同じ割合で減る」「食料価格が同じ割合で上がる」と結論づけることはできません。生産量には耕作面積や単収、機械化、雇用労働などが関わり、価格には天候、資材費、流通、需要、輸入なども関わります。

ここからは統計の確定事項ではなく、人数減少がもたらす結果を考えるための条件整理です。

農地と作業を引き受ける先がある場合

離農する経営の農地を別の経営体が耕作し、必要な収穫・運搬・管理作業を確保できれば、人数の減少に比べて生産の縮小を抑えられる可能性があります。

その場合も、面積を引き受ける契約だけでは十分ではありません。機械、資金、繁忙期の人手、技術の引き継ぎまでそろうかが条件になります。

引き受ける先や作業する人が足りない場合

反対に、耕作や作業受託の引き継ぎが進まなければ、作付けの縮小につながる可能性があります。消費者にとって確認すべきなのは、担い手の総数だけでなく、その地域・品目の作付面積と出荷量です。

農村では、農産物を作る作業に加えて、水路や農道などの維持も論点になります。ただし、今回の人数統計は共同作業の担い手や負担を直接測っていません。基幹的農業従事者が何人減ったかだけで、地域の管理機能がどれだけ弱まったかを数量化することはできません。

次に見るデータ――若い人の人数と、引き継がれた農地を追う

担い手対策の結果は、平均年齢の低下より、人数と営農継続を組み合わせて見ると判断しやすくなります。

全国値を地域の課題に落とし込む際には、2025年農林業センサスの都道府県別結果や農業集落別の公開データを使えます。集落別データには年齢階層別人数や平均年齢が掲載されていますが、調査対象数が2以下の結果は「x」で秘匿されます。「x」をゼロとして計算してはいけません。

地域間の比較では、高齢者割合だけで順位をつけるより、次の項目を並べるほうが実態に近づきます。

  • 若い担い手の実数:49歳以下が何人いるか。割合の上昇が総数の減少によるものかも確認する。
  • 雇用の受け皿:個人経営と団体経営を分け、従業員数や必要な作業量を見る。
  • 農地の継続利用:人数が減っても経営耕地面積が維持されているか、作業受託が引き継がれているか。
  • 品目別の生産:地域の主力品目で、作付面積・生産量・出荷量がどう変化しているか。

2000年に約240万人いた主な自営農業の担い手は、2025年には約104万人になりました。この減少を受け止める次の問いは、「平均年齢が何歳になったか」だけではありません。減った人が担っていた農地と作業を、どの経営体が、どれだけ引き継いだか。そこまで確認して初めて、地域の農業が続いているかを判断できます。

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