初婚は何歳が多い?北欧・南欧の高さと日本の位置を公的統計で読む
初婚年齢が高い国として、OECDの比較資料ではアイスランド、スウェーデン、スペインが挙がります。2021年または近接年の数値では、女性が35歳前後、男性が37歳前後以上です。日本も長期的には初婚年齢が上がっていますが、これらの国と比べると低い側にあります。
ただし、結婚した年齢と、パートナーと暮らし始めた年齢は同じではありません。 同棲が広がる国では、生活を共にしてから婚姻を登録するまでの期間も、初婚年齢の高さに関わります。OECD Family Database「SF3.1」は、この違いを国際比較の背景として説明しています。
この記事で押さえるのは、次の3点です。
- 初婚年齢が高いのはどの国か。世界全体の順位と、資料に収録された国の比較を分ける。
- 日本の初婚年齢はどう変わったか。1990年以降の推移を男女別に見る。
- 平均・中央値・年齢別初婚率の違いが、比較結果をどう変えるかを確認する。
使用データ――資料の発行年と結婚した年は違う
国際比較には公表の遅れがあるため、2026年の資料でも2021年の数値が掲載されています。
本稿は2026年10月8日時点で確認した公的資料を使います。国際比較の中心は、OECD Family DatabaseのSF3.1、2025年5月更新版です。初婚年齢の図は「2021年または最新利用可能年」を対象とし、日本、スウェーデン、アイスランド、フランスなどは2020年、ドイツは2017年です。
補助資料として、国立社会保障・人口問題研究所の『人口統計資料集2026』を使います。表6-20は、UNECEの統計をもとに1980~2021年を収録しています。ただし、こちらは50歳以下の年齢別初婚率から算出した平均年齢で、実際に結婚した人の年齢をそのまま平均した値とは計算方法が異なります。
日本の長期推移は同資料集の表6-12を使用します。また、厚生労働省は2026年9月30日に2025年人口動態統計の確定数を公表しました。2025年の平均初婚年齢について本稿で確認した数値は、先に公表された月報年計の概数にある夫31.0歳、妻29.7歳です。確定数の公表済みであることと、この数値の確認元が概数であることを区別します。
初婚年齢が高い国――北欧と南欧が目立つ
OECDの比較では、アイスランド、スウェーデン、スペインの初婚年齢が高く、日本だけが突出して遅いわけではありません。
OECD資料の説明では、これらの国の女性は35歳前後、男性は37歳前後以上です。一方、イスラエルとトルコでは女性が約25歳、男性が28歳以下とされ、収録国の間にも大きな幅があります。
ここで示されているのは、OECD諸国を中心とする資料の比較です。全世界の国を同じ年、同じ定義で並べた順位ではありません。「世界で最も遅い国」を確定するには、対象国の欠落や年次の違いまで点検する必要があります。
同じ2021年でも、計算方法を変えると値が変わる
年次と計算方法をそろえた比較例として、『人口統計資料集2026』表6-20の2021年値を示します。単位は歳。いずれも50歳以下の年齢別初婚率から算出した値です。
| 国 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| スペイン | 36.3 | 34.3 |
| ノルウェー | 35.1 | 33.4 |
| ドイツ | 34.8 | 32.3 |
| イタリア | 34.3 | 32.1 |
| オランダ | 32.8 | 30.9 |
| ポーランド | 29.3 | 27.3 |
この6か国では、スペインとポーランドの差は男女とも7.0歳です。同じ欧州でも、北欧・南欧の一部とポーランドでは、初婚の時期が大きく異なります。
この表に日本を加えて差を計算しないのは、日本の人口動態統計が別の方法で集計されているためです。OECDの概況とこの表で数値が違っても、直ちに誤りとは判断できません。まず対象年、対象年齢、平均の作り方を確認する必要があります。
日本の推移――女性の上昇幅が大きく、近年は小幅な動き
日本では1990~2024年に、夫の平均初婚年齢が2.7歳、妻が3.9歳上がりました。
『人口統計資料集2026』表6-12による推移は次のとおりです。対象は、同居・挙式の年と届出年が同じ婚姻で、初婚の夫と妻をそれぞれ集計しています。単位は歳です。
| 年 | 夫 | 妻 |
|---|---|---|
| 1990年 | 28.4 | 25.9 |
| 2000年 | 28.8 | 27.0 |
| 2010年 | 30.5 | 28.8 |
| 2020年 | 31.0 | 29.4 |
| 2024年 | 31.1 | 29.8 |
夫と妻の平均値の差は、1990年の2.5歳から2024年の1.3歳へ縮まりました。この差は二つの集団の平均を引いた値です。個々の初婚夫婦の年齢差を直接示したものではありません。
直近の1年だけでは「若返り」と判断できない
厚生労働省の2025年人口動態統計月報年計・結果の概要では、夫31.0歳、妻29.7歳とされ、2024年より双方0.1歳低くなっています。
一方、夫は2014~2018年に31.1歳で推移していました。長い期間の上昇と、近年の小さな変動は分けて読むべきです。2025年の概数だけを根拠に、晩婚化が反転したとは判断できません。
平均は小数第1位に丸められています。初婚者の年齢構成がどう変わったかを見るには、20代、30代、40代などの初婚件数や初婚率も必要です。
なぜ結婚年齢だけでは家族形成を比べられないのか
初婚年齢は婚姻という出来事の時期を示しますが、共同生活の開始時期を完全には捉えません。
OECDは、北欧諸国では同棲が長期的なパートナー関係の重要な形になり、婚姻を後に延ばしたり、婚姻に代わったりしていると説明しています。したがって、初婚年齢が高いことから「その年齢までパートナーがいない」とは読み取れません。
この点は、日本との比較で特に重要です。日本の表6-12では、結婚式を挙げた時と同居を始めた時の早い方の年齢を用います。一方、OECDは基本的に婚姻時の年齢を扱います。同じ「初婚年齢」という名前でも、時間の起点にずれがあるのです。
生活上の困難と、婚姻の選び方を分ける
初婚年齢の上昇には、就学期間、就業、住まいの確保、パートナーとの関係、婚姻制度の使われ方など、複数の要因が関わり得ます。しかし、今回の年齢表だけで、どの要因が何歳分を押し上げたかは分かりません。
たとえば住宅費との関係を検証するなら、家賃や所得の推移に加えて、初婚率を年齢別に確認する必要があります。同棲の広がりを検証するなら、婚姻件数だけでは足りず、パートナーと同居している人の割合が必要です。
同じ初婚年齢の上昇でも、婚姻登録を後にした人が増えた場合と、共同生活を始めたい人が住居や所得の事情で待っている場合では、生活上の意味が違います。この分岐を、平均値一つで決めつけることはできません。
ランキングで誤読しやすい三つの点
初婚年齢を正しく比べるには、平均の種類、集計対象、対象年をそろえる必要があります。
平均と中央値は交換できない
平均は年齢を合計して人数で割った値です。中央値は年齢順に並べたときの中央の値で、意味が異なります。
OECD資料には、オーストラリア、ニュージーランド、米国の数値は平均ではなく中央値だという注記があります。これらを他国の平均値と混ぜ、小数第1位の差まで順位付けすると、精密に見えても同じ条件の比較にはなりません。
初婚と全婚姻を混ぜない
再婚を含む結婚年齢は、初婚だけの年齢とは別の指標です。日本の2024年値でも、全婚姻の平均は夫33.8歳、妻31.9歳で、初婚の夫31.1歳、妻29.8歳より高くなっています。
OECD資料では、メキシコの数値は初婚ではなく全婚姻を対象とすると注記されています。再婚の多さが違う国を、全婚姻の年齢で比べれば、初婚の時期以外の違いも入ります。
結婚していない人は平均に入らない
その年に初婚した人の平均は、未婚者全体の年齢や、将来の結婚年齢を示しません。
仮に若い年齢での初婚が減れば、高い年齢での初婚が増えなくても平均は上がり得ます。逆に平均が下がっても、未婚者全体にとって結婚しやすくなったとは限りません。平均と併せて、各年齢の未婚者のうち何人が初婚したかを示す初婚率を見る必要があります。
また、OECDの比較には2020年の値が多く含まれます。感染症対策によって婚姻件数が変動した時期なので、近接年の数値を現在の国別順位として読み替えることも避けたいところです。
次に見るべき数字――年齢より先に比較条件を確認する
日本の初婚年齢は過去より高くなっていますが、北欧・南欧の高い国と同じ水準ではなく、家族形成の経路も一様ではありません。
今後の更新では、次の数字を組み合わせると変化の中身を捉えやすくなります。
- 年齢別初婚率:若い年齢の初婚が減ったのか、高い年齢の初婚が増えたのか。
- パートナーとの同居割合:婚姻年齢の上昇と、共同生活の開始がどう違うのか。
- 日本の2025年確定数の詳細表:概数で見えた0.1歳の低下が、どの年齢層の動きによるのか。
- 国際資料の対象年と定義:新しい資料で数値が変わったとき、実際の変化か集計条件の違いか。
結婚年齢のランキングを見かけたら、まず「平均か中央値か」「初婚だけか」「何年の値か」を確認する。この三つがそろって初めて、国の差を生活の変化として読み解けます。
