ごみ埋立地の余裕は全国24.9年――首都圏と近畿圏の差をどう読むか
日本の一般廃棄物最終処分場の残余年数は、2024年度末で全国24.9年、首都圏33.9年、近畿圏20.7年だった。ただし、これは各地の埋立地がその年数だけ必ず使えるという保証ではない。その年度の埋立量が続き、新しい処分場を整備しないと仮定した計算値だ。
全国では、2015年度から2024年度にかけて残余年数が延びる一方、埋め立てられる空間は減っている。「あと何年」という数字を読むには、残った容量と、毎年そこに入るごみの量を一緒に見る必要がある。
この記事で押さえる点は、次の3つだ。
- 首都圏と近畿圏の残余年数には13.2年の差がある。
- 全国の残余容量は2015年度比で約10%減ったが、残余年数は4.5年延びた。
- 地域の処分体制を確認するには、埋立地の所在に加え、委託先や広域処理の仕組みを見る必要がある。
使用データは2024年度実績、容量は2025年3月末時点
比較の基準は、環境省の「一般廃棄物処理事業実態調査」の2024年度実績でそろえる。
2026年10月8日時点で確認できる最新の全国結果は、2026年3月27日公表の「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)」だ。調査対象は全国の1,741市区町村と540一部事務組合。年間の処分量は2024年度、残余容量などの施設状況は原則として2025年3月31日時点を表す。
対象は、家庭や事業所から出る一般廃棄物のごみ処理であり、産業廃棄物の最終処分場とは区別する。また、報道発表資料では、国庫補助による災害廃棄物の処理量などを除いている。平時の実績から計算した年数を、大災害時の受入能力にそのまま置き換えることはできない。
全国の主要値として示される残余容量・施設数は、市町村・事務組合設置の区分に対応する。詳細資料では東京都設置分を含み、民間の区分は別に掲載されている。したがって、全国24.9年を「国内のあらゆる埋立先を合計した寿命」と読むのは適切ではない。『日本の廃棄物処理 令和6年度版』では、この集計区分と計算条件を確認できる。
首都圏33.9年、近畿圏20.7年――広域の差は大きい
同じ年度、同じ残余年数という指標でも、首都圏と近畿圏の値は大きく異なる。
環境省の調査結果の概要に掲載された比較は、次のとおりだ。
| 地域 | 2023年度末 | 2024年度末 | 前年差 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 24.8年 | 24.9年 | +0.1年 |
| 首都圏 | 32.6年 | 33.9年 | +1.3年 |
| 近畿圏 | 20.5年 | 20.7年 | +0.2年 |
ここでいう地域の範囲は、日常的な「東京周辺」「関西」のイメージとは必ずしも一致しない。
- 首都圏:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨の1都7県。
- 近畿圏:三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府5県。
2024年度末の差は13.2年。首都圏は全国を9.0年上回り、近畿圏は全国を4.2年下回る。少なくとも、この指標では両圏に同じ余裕があるとはいえない。
圏域の数字は、自分の市町村の年数ではない
この比較から、首都圏のすべての自治体が近畿圏の自治体より長く埋立を続けられる、とは判断できない。
残余年数は、容量と年間処分量の比率で決まる。広域の値が長くても、住んでいる自治体が利用する処分場や契約先に、その容量を自由に使えるとは限らない。自治体単位の判断には、実際の搬出先と受入条件を確認する必要がある。
また、この表は全国・二つの大都市圏の比較であり、47都道府県の順位表ではない。大都市圏の違いを示す材料として使い、県別や施設別の優劣まで広げないことが大切だ。
空間が減っても残余年数は延びる
全国の残余年数が延びた主な算術上の理由は、残余容量の減少より、年間最終処分量の減少が大きかったことだ。
環境省の資料から2015年度と2024年度を比較すると、次の変化が確認できる。
| 全国の指標 | 2015年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 残余容量 | 1億404万4,000m³ | 9,328万7,000m³ |
| 残余年数 | 20.4年 | 24.9年 |
| 年間最終処分量 | 417万トン | 306万トン |
公表値を使って計算すると、残余容量は約10.3%減り、年間最終処分量は約26.6%減った。残余年数は4.5年延びている。増減率は丸められた掲載値からの概算だ。
この結果は、埋立地が増えたことを意味しない。残った空間を、以前より少ない年間埋立量で使う計算になったため、年数が長くなったのである。
計算式で見る「あと24.9年」の意味
環境省は、次の式で残余年数を算出している。
残余年数=年度末の残余容量÷年間の埋立体積
年間の埋立体積は、最終処分量を埋立ごみ比重0.8163トン/m³で割って求める。重さを体積に換算し、残っている空間が年間何回分に当たるかを計算する仕組みだ。
ここには「今後の最終処分量が毎年変わらない」という前提がある。したがって、24.9年を2025年3月末から機械的に足し、全国の処分場が一斉に満杯になる年月を示すことはできない。
ここがポイント: 残余年数が延びても、埋立空間が増えたとは限らない。容量が減る以上に年間の埋立量が減れば、計算上の年数は長くなる。
延長は毎年一定ではない
全国の残余年数は、2020年度22.4年、2021年度23.5年、2022年度23.4年、2023年度24.8年、2024年度24.9年と動いている。
長期的には延びているが、2022年度には前年を下回った。新設や容量の把握、処分量の変化によって値は動くため、直近1年の伸びをそのまま将来に延ばすのも適切ではない。
焼却しても、最終処分場は必要になる
埋立地の必要量を見るには、ごみの総排出量より、最後に埋め立てる量を確認するのが直接的だ。
2024年度の全国の最終処分量306万トンのうち、直接埋め立てられた量は30万トン、中間処理後に最終処分された量は276万トンだった。丸められた公表値で計算すると、約9割が処理後の最終処分に当たる。
「燃やすごみ」の処理も、焼却だけで完結するわけではない。焼却灰など、処理後に残るものの行き先が必要になる。住民が出すごみと埋立地の間には、焼却、破砕、選別、再生利用といった工程が挟まっている。
このため、排出量が減った割合と、埋立量が減った割合は一致しない。処理方法や処理後の資源化によって、最終的に埋め立てる量が変わるからだ。
ただし、全国の処分量の減少だけから、特定の分別施策や施設更新の効果を断定することはできない。施策を評価するなら、対象自治体の排出量、処理後の資源化量、最終処分量を同じ期間で追う必要がある。
「処分場がない自治体」の数字にも定義がある
処分場の所有状況と、埋立先の確保は分けて見る必要がある。
2024年度の調査では、「最終処分場を有していない市区町村」は317、全1,741市区町村の18.2%だった。ただし、これは単に自治体の区域内に施設がない市区町村を数えた数字ではない。
環境省の定義では、自ら最終処分場を有せず、民間の処分場に埋立を委託する市区町村を指す。一方、次のケースは「有している」ものとして扱う。
- 一部事務組合が処分場を所有している。
- 大阪湾フェニックス計画の対象地域に含まれる。
- 他の市区町村や公社などの公共処分場に埋め立てている。
つまり、18.2%は「ごみの行き先がない自治体の割合」ではない。共同処理や公共処分場の利用を含めて、処分体制を読むための区分だ。
地域比較には、県境を越える移動も関わる
2024年度には、最終処分を目的として都道府県外へ搬出された一般廃棄物が25万トンあり、全国の最終処分量の8.1%を占めた。
この数字は、ごみが発生する場所と、埋め立てる場所が一致しないことを示す。ある地域の残余容量が少なくても、区域外の処分場を利用している場合がある。逆に、処分場がある地域は、外からのごみを受け入れている可能性もある。
施設所在地別の容量と、自治体が出した最終処分量を組み合わせて独自のランキングを作るなら、この移動をどう扱うかが問題になる。分子と分母の対象がそろっていなければ、見かけの「あと何年」が処分体制を正しく表さない。
今後の年数を左右するのは、容量・埋立量・利用条件
将来の余裕を判断するには、残余年数の伸びだけでなく、その内訳を追う必要がある。
埋立量が減り続ける場合
残余容量が減っていても、年間埋立量がそれ以上の割合で減れば、残余年数は延びうる。2015年度から2024年度の全国値は、この関係を示している。
ただし、年数の延長と空間の減少は同時に起きる。処分量を減らす対策を続けながら、次の埋立先をいつ確保するかを別に検討する必要がある。
埋立量が横ばい、または増える場合
新しい容量が加わらず、毎年の埋立量が変わらなければ、残余容量の減少に伴って年数は短くなる。埋立量が増えれば、さらに短くなる。
全国平均が長くても、利用先の受入量や契約期間が限られる自治体では、計算値より早く次の手配が必要になる可能性がある。これは全国統計だけでは判断できない部分だ。
新しい容量や利用先を確保する場合
新設や拡張などで使える容量が増えれば、残余年数を押し上げる方向に働く。ただし、計画段階の施設と、すでに受入れが可能な施設は区別したい。調査の施設数には建設中の新設施設も含まれるため、施設数の増減だけで現在の受入能力を判断することもできない。
自分の地域では「どこへ、何を、どれだけ運ぶか」を確認する
生活に引きつけて読むなら、全国24.9年という数字より、自治体が利用する埋立先の条件が重要になる。
自治体の一般廃棄物処理基本計画や施設の年度報告では、次の項目を確認するとよい。
- 搬出先:自前の施設、共同利用の施設、民間委託先のどこを使っているか。
- 埋立量の推移:ごみの総量だけでなく、処理後に最終処分される量が減っているか。
- 残余容量と算定条件:何年度末の容量を、どの年間処分量で割った年数か。
- 次の確保策:受入契約の期間、新設・拡張の計画、代替先がどう記載されているか。
全国の残余年数が延びたことは、年間埋立量が減った成果を読み取れる材料だ。一方で、埋立空間そのものは減っている。次の公表値では「24.9年が何年になったか」に加え、容量と処分量のどちらが変わったのかを確認したい。
