65歳以上の割合は秋田39.5%、東京22.7% 都道府県で16.8ポイント差
日本の高齢化率は2024年10月1日時点で29.3%ですが、地域差は大きく、最も高い秋田県は39.5%、最も低い東京都は22.7%です。同じ日本でも16.8ポイント、比率にすると約1.7倍の開きがあります。
さらに重要なのは、65歳以上の割合だけでは地域の年齢構成を十分に捉えられないことです。秋田県では75歳以上だけで22.0%を占める一方、東京都は働く中心世代に当たる15〜64歳が66.8%。医療・介護、交通、住宅、雇用を考える際には、この構成の違いまで見る必要があります。
この記事で分かること
- 2024年の都道府県別高齢化率は、秋田県39.5%から東京都22.7%まで開いている
- 高齢化率が35%以上の県は9県、30%未満は12都府県ある
- 75歳以上の割合を見ると、医療・介護需要により近い地域差が見える
- 2050年には65歳以上が40%を超える地域が25道県に増える推計となっている
使用データと比較条件
現在の地域差には2024年の人口推計、将来像には2020年国勢調査を基にした2050年までの地域別推計を使います。
主に参照するのは、総務省統計局の人口推計(2024年10月1日現在)です。都道府県別人口を5歳階級で推計し、年齢を次の3区分にまとめています。
- 年少人口:15歳未満
- 生産年齢人口:15〜64歳
- 老年人口:65歳以上
- 75歳以上人口:老年人口の内数として再掲
この記事でいう「高齢化率」は、総人口に占める65歳以上人口の割合です。2024年の都道府県比較は、すべて同じ基準日、同じ年齢区分、同じ推計方法による数値を使います。
将来については、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)を参照します。2020年国勢調査を基準に、市区町村別の人口を2050年まで5年ごとに推計し、それを積み上げて都道府県値を算出したものです。
なぜ2024年値を使うのか
2026年8月時点で、都道府県別かつ年齢5歳階級別に比較できる年次人口推計の最新公表値は2024年10月1日現在です。全国人口は月次でも公表されますが、都道府県別の詳細値とは公表周期が異なります。
したがって、月次の全国値と2024年の都道府県値を混ぜず、地域ランキングは2024年で統一します。
全国の高齢化率は29.3%、65歳以上は3624万3千人
全国では、65歳以上がすでに人口の約3割を占めています。
2024年10月1日現在の日本の総人口は1億2380万2千人です。年齢3区分の内訳は次のようになります。
| 年齢区分 | 人口 | 総人口に占める割合 |
|---|---|---|
| 15歳未満 | 1383万人 | 11.2% |
| 15〜64歳 | 7372万8千人 | 59.6% |
| 65歳以上 | 3624万3千人 | 29.3% |
| うち75歳以上 | 2077万7千人 | 16.8% |
65歳以上人口は前年より1万7千人増え、割合は0.2ポイント上昇しました。一方、15歳未満は前年の11.4%から11.2%へ低下しています。
ここで押さえたいのは、人数と割合が必ずしも同じ方向へ動かない点です。総人口が減るなかでは、高齢者数の増加が小さくても、分母となる人口が縮小すれば高齢化率は上がります。
高齢化率の上位は秋田・高知・青森、下位は東京・沖縄・愛知
都道府県差の中心にあるのは、地方圏で高い65歳以上比率と、大都市圏・沖縄県で高い15〜64歳比率です。
高齢化率が高い5県
2024年の65歳以上人口割合が高い地域は次の通りです。
- 秋田県:39.5%
- 高知県:36.6%
- 青森県:35.7%
- 山口県:35.7%
- 山形県:35.6%
秋田県では10人のうち約4人が65歳以上です。15〜64歳は51.6%にとどまり、65歳以上との差は12.1ポイントしかありません。
高知県も65歳以上が36.6%、15〜64歳が53.1%です。青森県、山口県、山形県を含め、上位地域では若年層だけでなく、働く中心世代の割合も全国平均より低くなっています。
高齢化率が低い5都県
下位は次の通りです。
- 東京都:22.7%
- 沖縄県:24.2%
- 愛知県:25.8%
- 神奈川県:26.0%
- 滋賀県:27.3%
東京都は65歳以上の割合が全国最低ですが、高齢者が少ないという意味ではありません。東京都の65歳以上人口は約321万5千人で、人数では大きな規模です。割合が低いのは、15〜64歳が946万9千人、総人口の66.8%を占めることが大きく関係します。
沖縄県は15歳未満が15.8%と全国で最も高く、65歳以上は24.2%です。東京都の低さが生産年齢人口の厚さによるのに対し、沖縄県では子どもの割合の高さも年齢構成を特徴づけています。
ここがポイント: 高齢化率が低い地域でも、高齢者の実数や将来の増加が小さいとは限りません。行政サービスを考えるときは「割合」、施設や人員を考えるときは「人数」も併せて見る必要があります。
47都道府県を4つの水準に分ける
全国平均29.3%だけを基準にすると、地域差の広がりを見落とします。
2024年の都道府県を高齢化率の水準別に分けると、次のようになります。
35%以上:9県
- 秋田39.5%
- 高知36.6%
- 青森35.7%
- 山口35.7%
- 山形35.6%
- 岩手35.4%
- 徳島35.5%
- 島根35.2%
- 和歌山34.5%ではなく35%未満のため、この区分には含まれない
数値を厳密に区切ると、35%以上は秋田、高知、青森、山口、山形、徳島、岩手、島根の8県です。35%付近には和歌山34.5%、愛媛34.5%、長崎34.7%が続きます。
30%以上35%未満:25道府県
北海道33.3%、福島33.7%、新潟34.2%、鳥取33.7%、鹿児島34.2%など、多くの地方圏がこの範囲に入ります。
ただし、同じ30%台でも年齢構成は一様ではありません。たとえば奈良県は32.9%、宮崎県は33.9%ですが、75歳以上の割合は奈良県19.4%、宮崎県18.7%です。65〜74歳と75歳以上の厚みが異なるためです。
29.3%以上30%未満:2府県
- 京都府:29.8%
- 宮城県:29.6%
両地域は全国平均をわずかに上回る水準です。わずかな順位差よりも、今後どの年齢層が増減するかを見た方が実態を捉えやすくなります。
全国平均未満:12都府県
- 東京都:22.7%
- 沖縄県:24.2%
- 愛知県:25.8%
- 神奈川県:26.0%
- 滋賀県:27.3%
- 埼玉県:27.5%
- 大阪府:27.6%
- 千葉県:28.1%
- 福岡県:28.6%
- 全国平均と同率・近接する地域を含め、残りは宮城県など29%前後
区分集計では、丸め前の数値や全国値との比較条件によって境界の数え方が変わり得ます。ランキングを利用するときは、順位そのものより、数ポイント単位の差があるかを確認する方が安全です。
75歳以上を見ると医療・介護に近い地域差が分かる
65歳以上を一括りにせず、75歳以上の割合を確認すると、地域で必要になる支援の違いをより具体的に考えられます。
75歳以上の割合が最も高いのは秋田県の22.0%、最も低いのは沖縄県の11.7%です。差は10.3ポイントあります。
上位には次の県が並びます。
- 秋田県:22.0%
- 高知県:21.6%
- 山口県:20.9%
- 島根県:20.4%
- 徳島県:20.2%
- 和歌山県:20.1%
全国の75歳以上割合は16.8%です。上位県では5人に1人以上が75歳以上となっています。
この差が関係する生活・行政分野は、介護保険だけではありません。
- 通院や買い物を支える地域交通
- 訪問診療、在宅介護、救急搬送の体制
- 段差解消や断熱改修を含む住宅政策
- 窓口手続きとデジタル手続きの併用
- 単身高齢者への見守りや住まいの確保
ただし、75歳以上の割合だけから医療費や要介護者数を直接推定することはできません。健康状態、所得、世帯構成、医療機関への距離など、別のデータが必要です。
地域差は「高齢者が増えた」だけでは説明できない
高齢化率は、出生、死亡、転入、転出が重なった結果として変わります。
若い世代の転出は分母を縮める
大学進学や就職で若年層が地域外へ移ると、その地域では15〜64歳人口が減ります。65歳以上の人数が横ばいでも、総人口に占める割合は上がりやすくなります。
反対に、東京都や愛知県のように就学・就業年齢の人口を広域から受け入れる地域では、生産年齢人口の割合が高く保たれやすくなります。これは高齢化が起きていないという意味ではなく、分母の年齢構成が異なるということです。
出生数の減少は時間差で効く
出生数が少ない状態が続くと、まず15歳未満の割合が下がり、その世代が成長するにつれて生産年齢人口も薄くなります。高齢化率の地域差は、直近1年の動きだけでなく、数十年にわたる人口移動と出生の積み重ねです。
高齢者数が減っても高齢化率は上がり得る
人口減少地域では、将来、65歳以上人口そのものが減少へ転じる場合があります。それでも若年人口や生産年齢人口がより速く減れば、高齢化率は上昇します。
このため、地域サービスの計画では二つの問いを分ける必要があります。
- 高齢者の「人数」は何人になり、必要なサービス量はどう変わるか
- 高齢者の「割合」は何%になり、支える側とのバランスはどう変わるか
2050年には25道県で高齢化率40%超の推計
現在の差は縮まるのではなく、多くの地域が40%台へ移る形で続く見通しです。
国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、全国の65歳以上人口割合は2020年の28.6%から、2030年30.8%、2040年34.8%、2050年37.1%へ上昇します。
秋田県は同じ期間に37.5%から49.9%へ上昇し、2050年には人口のほぼ半分が65歳以上となる推計です。65歳以上が40%を超える地域は25道県に達します。
一方で、将来の課題は地方圏だけに限られません。東京都、愛知県、沖縄県では、65歳以上人口の実数が2050年まで増え続けると推計されています。現在の割合が低い地域ほど安心というわけではなく、大都市圏では高齢者の実数増に対応する住宅、介護人材、医療提供体制が課題になります。
推計から考えられる三つの分岐
今後の地域差は、次の条件によって変わります。
- 若年層の移動が続く場合:転出超過地域では生産年齢人口の縮小が進み、高齢化率が上がりやすい
- 外国人を含む働く世代の流入が増える場合:生産年齢人口の減少を一部補い、年齢構成が推計から変わる可能性がある
- 出生動向が変化する場合:短期の高齢化率への影響は小さいが、2040年代以降の支える世代の規模に効いてくる
推計は予言ではありません。基準時点の人口に、出生・死亡・人口移動について設定した仮定を適用した結果です。雇用、住宅価格、大学配置、災害、移住政策などが人口移動を変えれば、実際の値も変わります。
日本の高齢化は国際的にも速かった
日本の特徴は高齢化率の高さだけでなく、7%から14%へ上がるまでの期間が短かったことです。
内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、日本の高齢化率は1970年に7%を超え、1994年には14%に達しました。倍になるまで24年です。
同じ所要年数は、フランス127年、スウェーデン85年、米国72年、英国46年、ドイツ40年でした。制度や都市を調整する期間が相対的に短かったことが、日本の地域交通、医療・介護、住宅政策に同時進行の対応を求める背景となっています。
世界全体の65歳以上人口割合は1950年の5.1%から2020年の9.3%へ上昇し、2060年には18.5%になる見込みです。日本が先に経験している課題は、今後ほかの国でも広がりますが、制度、家族構成、人口密度が違うため単純比較はできません。
データを読むときの注意点
高齢化率は有用ですが、地域の暮らしや行政負担を単独で決める指標ではありません。
1. 割合と人数を取り違えない
秋田県は割合が最も高く、東京都は最も低い一方、65歳以上の実数は東京都の方がはるかに多くなります。施設の必要数には実数、財政や担い手との関係には割合が重要です。
2. 65歳以上を同質な集団として扱わない
65歳で働く人と、介護を必要とする90歳以上の人では生活条件が異なります。75歳以上、85歳以上、就業率、健康状態を併せて確認する必要があります。
3. 都道府県平均は県内差を隠す
県庁所在地と中山間地域、鉄道沿線と郊外住宅地では年齢構成が違います。公共交通や医療圏を検討する場合は、市区町村や、さらに小さい地域単位のデータが必要です。
4. 人口推計には標本誤差以外の不確かさがある
人口推計は国勢調査人口を基礎に、出生、死亡、転出入などを反映して算出します。外国人を含む移動人口や、国勢調査後の補間方法も確認すべき点です。
5. 実績値と将来推計を同列に扱わない
2024年値は人口推計による現在の推計値ですが、2050年値は将来仮定に基づく結果です。2050年の49.9%を確定値のように扱うことはできません。
地域を見る次の一手は「率・人数・移動」の三点セット
高齢化率のランキングだけで終わらせず、高齢者数、生産年齢人口、人口移動を重ねると、地域で起きている変化が見えます。
確認する順番は次の通りです。
- 65歳以上と75歳以上の「割合」を見る
- それぞれの「人数」と過去からの増減を見る
- 15〜64歳人口と15歳未満人口の厚みを確認する
- 転入・転出、出生、死亡のどれが変化に効いているかを分ける
- 市区町村別データで県内差を確かめる
2024年時点の16.8ポイント差は、単なる順位表ではありません。秋田県では割合の高さに合わせたサービス維持が急務となり、東京都では低い割合の陰で大人数の高齢者を支える供給力が問われます。
次に見るべき数字は、各地域の75歳以上人口が「何人」増減するのか、そして支える15〜64歳人口が同じ期間にどれだけ減るのかです。そこまで確認して初めて、交通、医療、介護、住宅のどこに先に手を打つべきかが見えてきます。
