50歳時の未婚割合、男性28.25%・女性17.81%へ 2020年国勢調査で見る地域差
日本の50歳時未婚割合は、2020年に男性28.25%、女性17.81%まで上昇しました。男性は約3.5人に1人、女性は約5.6人に1人に相当します。
都道府県別では男女とも東京都が最も高く、男性32.15%、女性23.79%でした。ただし、男性の岩手県や女性の高知県も上位に入り、大都市か地方かという一つの軸だけでは地域差を説明できません。
この記事で分かることは次の4点です。
- 全国の50歳時未婚割合が、1990年から2020年までにどれだけ上がったか
- 2020年の男女別・都道府県別ランキング
- 地域差から読み取れることと、統計だけでは断定できないこと
- 「50歳時」という名称や不詳補完値を含む、指標を読む際の注意点
使用データと比較条件
最新の都道府県比較に使える値は、2020年国勢調査を基にした数値です。
本記事では、国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2026年版)」に掲載された「表12-37 都道府県,性別50歳時未婚割合」を中心に使用します。元になる調査は、総務省統計局が5年ごとに実施する国勢調査です。
比較条件は以下の通りです。
- 対象地域:全国および47都道府県
- 最新対象年:2020年
- 長期比較年:1990年、2000年、2005年、2010年、2015年、2020年
- 単位:%
- 配偶関係:一度も結婚したことのない「未婚」
- 2020年値:配偶関係の不詳を補完した集計値に基づく
「50歳時」は50歳の人だけを数えた値ではない
50歳時未婚割合は、厳密には45~49歳の未婚割合と50~54歳の未婚割合の平均値です。配偶関係不詳を除いた人口を分母として算定されています。
したがって、次のような読み替えはできません。
- 50歳の人だけを抽出した未婚率
- 現在配偶者がいない人すべての割合
- 将来も結婚しない人の割合
死別や離別は「一度は結婚した人」であり、この指標の未婚には含まれません。結婚歴ではなく現在の単身状態を調べたい場合は、別の統計が必要です。
全国では30年間で男性4.33倍、女性4.11倍
全国値の核心は、男女とも一貫して上昇し、とくに1990年代以降の変化が大きいことです。
| 年 | 男性 | 女性 | 男女差 |
|---|---|---|---|
| 1990年 | 5.57% | 4.33% | 1.24ポイント |
| 2000年 | 12.57% | 5.82% | 6.75ポイント |
| 2005年 | 15.96% | 7.25% | 8.71ポイント |
| 2010年 | 20.14% | 10.61% | 9.53ポイント |
| 2015年 | 24.77% | 14.89% | 9.88ポイント |
| 2020年 | 28.25% | 17.81% | 10.44ポイント |
1990年から2020年までの変化は、男性が5.57%から28.25%へ22.68ポイント、女性が4.33%から17.81%へ13.48ポイントの上昇です。倍率では男性4.33倍、女性4.11倍となります。
男性は2000年に1割を超え、2010年には2割、2020年には28%台に達しました。女性も2005年までは1桁でしたが、2010年に10.61%となり、2020年には17.81%まで上がっています。
男女差も広がった
男女差は1990年の1.24ポイントから、2020年には10.44ポイントへ拡大しました。
ここで確認できるのは、50歳前後まで一度も結婚していない人の割合が男女とも増え、その水準は男性のほうが高いという事実です。一方、この表だけでは男女差が生まれた理由までは特定できません。
ここがポイント: 2020年の50歳時未婚割合は男性28.25%、女性17.81%。1990年からの30年間で、男性は22.68ポイント、女性は13.48ポイント上昇しました。
男性は東京都が最高、滋賀県が最低
男性の都道府県別割合は、東京都の32.15%から滋賀県の23.03%まで、9.12ポイントの幅があります。
男性の上位5都県
- 東京都:32.15%
- 埼玉県:30.24%
- 神奈川県:30.07%
- 千葉県:29.89%
- 岩手県:29.61%
東京、埼玉、神奈川、千葉という首都圏4都県が上位に並びます。ただし、5位は岩手県です。続く高知県も29.45%、沖縄県も29.12%であり、上位が大都市圏だけで占められているわけではありません。
男性の下位5県
- 滋賀県:23.03%
- 福井県:23.36%
- 奈良県:23.64%
- 宮崎県:24.64%
- 岐阜県:24.79%
最低の滋賀県でも23.03%です。男性については、すべての都道府県で2割を超えています。
全国値28.25%を基準にすると、東京都は3.90ポイント高く、滋賀県は5.22ポイント低い水準です。最高と最低の差は確かにありますが、地域差以上に、全国で未婚割合が高い水準へ移ったことも重要です。
女性は東京都23.79%、福井県12.12%
女性は東京都が最も高く、福井県が最も低くなりました。両者の差は11.67ポイントで、男性の都道府県間格差より大きくなっています。
女性の上位5都道府県
- 東京都:23.79%
- 高知県:21.13%
- 大阪府:20.60%
- 北海道:20.36%
- 京都府:20.06%
東京都は全国値17.81%を5.98ポイント上回ります。上位には東京、大阪、京都という大都市を含む地域が入る一方、高知県と北海道も2割を超えています。
女性では愛媛県18.29%、長崎県18.65%、鹿児島県18.58%など、西日本の一部でも全国値を上回りました。したがって、「都市部ほど高く、地方ほど低い」と単純化すると、高知県をはじめとする地域を説明できません。
女性の下位5県
- 福井県:12.12%
- 滋賀県:12.78%
- 岐阜県:13.15%
- 山形県:13.45%
- 三重県:13.55%
北陸・中部の複数県が下位に入っています。ただし、低い側でも1990年当時の全国値4.33%を大きく上回ります。現在の地域差を見るときは、全国全体が上昇したうえで、その中に高低があると捉える必要があります。
男女の順位は同じにならない
未婚割合を左右する地域条件は、男性と女性で同じ強さでは働いていない可能性があります。
たとえば東京都は男女とも最高ですが、埼玉県は男性30.24%で2位なのに対し、女性は16.71%で全国値を下回ります。岩手県も男性29.61%で5位ですが、女性は16.70%です。
反対に、高知県は男性29.45%で高いだけでなく、女性も21.13%で全国2位です。大阪府も男性29.00%、女性20.60%と、男女とも全国値を上回ります。
具体的には、次のような違いがあります。
- 首都圏:男性は東京、埼玉、神奈川、千葉のすべてが上位5位以内
- 女性の首都圏:東京だけが突出し、埼玉、千葉、神奈川は全国値以下
- 高知県:男女とも高いが、とくに女性の順位が高い
- 福井県と滋賀県:男女とも低い側に位置する
この並びは、都道府県の人口規模や都市化率だけで順位が決まるわけではないことを示します。ただし、ランキングから個々の住民の結婚観を推測することはできません。
地域差の背景は一つの原因に絞れない
この統計から直接分かるのは割合と推移であり、原因ではありません。背景を考える際には、複数の条件を分けて検証する必要があります。
人口移動で地域の構成が変わる
若年期から壮年期にかけての進学・就職・転勤による移動は、都道府県ごとの年齢構成や男女構成を変えます。
東京の数値は、東京で生まれ育った人だけの結婚行動を表しているわけではありません。2020年10月1日時点で東京都に住んでいた45~54歳を含む集計です。未婚者が都市へ移動した場合も、既婚者が郊外へ転出した場合も、居住地別の割合は動きます。
就業・所得との関係は別データで確かめる必要がある
雇用の安定性や所得は結婚時期と関連し得ますが、都道府県別の50歳時未婚割合だけでは確認できません。
関連を調べるには、同じ性別・年代・地域について、雇用形態、所得、産業構成などを組み合わせる必要があります。県全体の平均所得と未婚割合を並べただけでは、個人単位の関係を示したことにはなりません。
住宅費だけで東京の高さを説明できない
東京都では住宅費の負担が大きい一方、単身者向け住宅、雇用、交通、生活サービスが集積しています。これらは結婚や単身生活に異なる方向から関係します。
住宅費が高いから未婚割合が高い、とこの統計だけで断定することはできません。人口流入、職業構成、初婚年齢、世帯形成後の転出なども同時に確認すべきです。
価値観の変化は全国的な上昇と地域差を分けて考える
1990年から2020年までの全国的な上昇は、特定の県だけに起きた現象ではありません。一方、2020年時点の都道府県差には、地域固有の人口移動や労働市場、家族形成の時期などが重なっている可能性があります。
全国の長期変化を説明する材料と、東京と福井の差を説明する材料は、同じとは限りません。この二つを分けることが、ランキングを誤読しないための基本です。
この数字が生活と行政にどう関わるか
50歳時未婚割合の上昇は、結婚の是非を評価する数字ではありません。行政や地域サービスでは、家族がいることを暗黙の前提にしない設計が重要になることを示す基礎データです。
世帯数や住宅需要を見る材料になる
未婚割合が高くても、親族との同居や共同生活をしている人はいます。逆に、結婚歴のある離別・死別者が一人で暮らす場合もあります。そのため、未婚割合から単独世帯数を直接計算することはできません。
それでも、住宅政策を考える際には次の指標と組み合わせる価値があります。
- 年齢別の単独世帯率
- 民間賃貸住宅と持ち家の比率
- 住宅費負担
- 高齢期の住み替え状況
- 都道府県間の人口移動
未婚割合の上昇だけを見て小さな住宅の需要増を断定するのではなく、実際の世帯構成と住宅統計を重ねる必要があります。
家族を前提にした支援から漏れないか
緊急連絡、入院時の手続き、介護、住居確保などでは、配偶者が担うことを想定した運用が残る場合があります。50歳時未婚割合が男性で3割近くに達した事実は、支援を配偶者の有無だけで組み立てない必要性を示します。
ただし、「未婚=支援者がいない」ではありません。親、きょうだい、友人、地域との関係はこの表には記録されていないためです。
ランキングを読むときの5つの注意点
順位より先に、指標の範囲と更新周期を確認する必要があります。
- 最新値は2020年:人口統計資料集は2026年版ですが、配偶関係の都道府県別最新値は2020年国勢調査に基づきます。
- 50歳だけの実測値ではない:45~49歳と50~54歳の未婚割合を平均した指標です。
- 「未婚」は結婚歴がない人:離別・死別で現在配偶者がいない人は含みません。
- 2015年と2020年は不詳補完値:過去年と比較する際は、配偶関係不詳の扱いが同一ではない点に注意が必要です。
- 居住地別の集計:出身地や、その地域で暮らした期間を示すものではありません。
また、国際比較にはそのまま使えません。国によって法律上の婚姻、事実婚、登録パートナーシップの扱いが異なり、日本の国勢調査に基づく「未婚」と同じ条件へそろえるのが難しいためです。
次に確認すべきは2025年国勢調査と単独世帯率
2020年までのデータで明確なのは、50歳時未婚割合が男女とも長期上昇し、男性28.25%、女性17.81%に達したことです。地域別では東京が男女とも最高ですが、上位県の顔ぶれは男女で異なります。
次の焦点は、2025年国勢調査の配偶関係別集計が公表された後も上昇が続くのか、そして地域差が広がるのか縮まるのかです。
あわせて見るべき項目は次の3つです。
- 45~54歳の男女別人口移動
- 年齢別・男女別の単独世帯率
- 雇用、所得、住宅費を条件別にそろえた比較
未婚割合だけでは、暮らしの孤立や経済状況は分かりません。次の一歩は、婚姻歴の数字を世帯・住宅・就業のデータと接続し、誰にどの支援や住まいが必要なのかを確かめることです。
