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外国人住民367万人、増加は大都市だけではない 市区町村データで見える3つの居住パターン

日本各地に広がる外国人住民の居住分布を表したイメージ。

外国人住民367万人、増加は大都市だけではない 市区町村データで見える3つの居住パターン

2025年1月1日時点の外国人住民は全国で367万7,463人となり、前年から35万4,089人増えました。市区町村別に見ると、人数は大阪市や横浜市などの大都市に集中する一方、住民に占める割合や2020年からの増加率では、工業地域や観光地の町が上位に現れます。

「外国人住民が多い地域」と「地域社会に占める割合が高い地域」は同じではありません。 居住分布をつかむには、人数、構成比、増加率の3つを分けて見る必要があります。

  • 人数最多は大阪市の18万9,281人
  • 住民に占める割合は群馬県大泉町で21.3%
  • 2020年からの増加率は、首都圏の比較対象では群馬県草津町が103.9%、神奈川県箱根町が100.5%
  • 全国の外国人住民は1年間で10.7%増え、総人口の2.96%を占める
目次

使用したデータと比較条件

この記事の中心資料は、総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」です。

  • 基準日: 2025年1月1日
  • 対象: 住民基本台帳に記録された外国人住民
  • 地域単位: 全国および市区町村。東京23区は区ごとに扱う
  • 比較期間: 全国の前年比は2024年1月1日との比較。首都圏の地域比較は2020年1月1日との比較
  • 公表日: 2025年8月6日

2025年の市区町村別人口にはe-Statの表番号25-11、2020年との比較には国土交通省「令和7年度 首都圏整備に関する年次報告」の整理表を使いました。後者は総務省の住民基本台帳データを基に、首都圏で外国人住民の割合が高い地域を抽出したものです。

なお、ここでいう外国人住民は観光客や短期滞在者の数ではありません。住民基本台帳に住所が記録されている人が対象です。

全国では367万7,463人、1年間で35万人増

全国の外国人住民は、2024年1月1日の332万3,374人から、2025年1月1日には367万7,463人へ増えました。

増加数は35万4,089人、増加率は約10.7%です。同じ時点の総人口は1億2,433万690人なので、外国人住民の割合は2.96%となります。

この数字から確認できる事実は明確です。

  • 外国人住民は3年連続で増加した
  • 1年間の増加幅は35万人を超えた
  • ただし、全国平均の構成比はまだ3%弱である
  • 地域別には全国平均を大幅に上回る自治体がある

全国値だけでは、増加がどこに集中しているかは分かりません。市区町村に分解すると、都市中心部、工業集積地、観光地という異なる居住パターンが見えてきます。

人数では大阪市が突出、大都市圏への集中が続く

外国人住民の実数が多い市区町村の上位には、雇用、学校、住宅、交通が集まる大都市が並びます。

順位市区町村外国人住民数
1大阪市18万9,281人
2横浜市12万6,744人
3名古屋市10万502人
4京都市6万1,328人
5神戸市5万9,139人
6川崎市5万5,850人
7福岡市5万1,728人
8川口市4万8,161人
9新宿区4万8,097人
10江戸川区4万7,932人

大阪市は2位の横浜市を6万2,537人上回ります。一方、東京は23区を一つの自治体として合算しないため、新宿区、江戸川区、足立区、江東区などに人数が分散して現れます。単純な順位だけで「大阪への集中が東京より強い」とは判断できません。

上位10自治体のうち、政令指定都市が7市を占めます。実数の大きさには、自治体そのものの人口規模が強く影響しているためです。

大都市の人数が多くなる条件

大都市には複数の居住経路が重なります。

  • 大学や日本語教育機関への通学
  • 本社、サービス業、物流、製造業などへの就業
  • 同じ国籍・言語の住民が利用できる店舗や支援組織
  • 鉄道沿線にある賃貸住宅への入居
  • 国内の別地域からの転入

ただし、市区町村別の人口表だけでは、どの要因が何人の増加につながったかまでは分かりません。雇用統計、在留資格、国籍、住宅費などを組み合わせて初めて背景を検証できます。

構成比では大泉町21.3%、都市とは別の分布が見える

地域社会における存在感を見るなら、実数ではなく総人口に占める割合が重要です。

国土交通省が整理した首都圏の比較では、2025年の外国人住民比率は群馬県大泉町が21.3%で最も高く、新宿区の13.6%、埼玉県蕨市の12.5%、豊島区の12.3%が続きます。

市区町村2025年の外国人住民2025年の構成比2020年の構成比
大泉町8,871人21.3%19.0%
新宿区4万8,097人13.6%12.2%
蕨市9,530人12.5%9.8%
豊島区3万6,360人12.3%10.2%
常総市6,842人11.3%8.4%
箱根町1,219人11.3%5.3%
荒川区2万3,539人10.6%8.9%
草津町634人10.5%4.9%
八千代町2,051人9.7%5.7%
台東区2万332人9.4%7.8%

大泉町の外国人住民数は大阪市の約21分の1ですが、構成比は全国平均の約7.2倍です。行政窓口、学校、医療機関、ごみ収集、防災情報などを複数言語で届ける必要性は、人数だけでなく地域内の割合によっても変わります。

ここがポイント: 人数は行政サービスの「量」に関係し、構成比は学校や地域組織で多言語対応が日常になる「密度」を示します。どちらか一方だけでは地域の実情を捉えられません。

2020年からの伸びは観光地で大きい

2020年と2025年を比べると、観光地の回復と人手需要を連想させる変化が見えます。ただし、住民基本台帳だけで雇用との因果関係を断定することはできません。

草津町と箱根町は5年間で約2倍

首都圏の高比率地域のうち、増加率が最も大きいのは群馬県草津町です。

  • 草津町:311人から634人へ、323人増、103.9%増
  • 箱根町:608人から1,219人へ、611人増、100.5%増
  • 八千代町:1,251人から2,051人へ、800人増、63.9%増
  • 常総市:5,276人から6,842人へ、1,566人増、29.7%増
  • 台東区:1万5,757人から2万332人へ、4,575人増、29.0%増

草津町と箱根町は率で見ると急増していますが、増加数はそれぞれ323人、611人です。小規模自治体では分母が小さいため、数百人の変化でも増加率が大きくなります。

反対に、豊島区は増加率22.5%でも増加数は6,688人、新宿区は増加率12.9%でも5,499人増えています。窓口や住宅、教育への需要を考える際には、率より増加人数のほうが直接的な負荷を示す場合があります。

増加率だけのランキングが危険な理由

たとえば、外国人住民が10人から20人になれば増加率は100%です。しかし、地域サービスへの影響は、数万人規模の自治体で5,000人増える場合とは異なります。

増加率を見るときは、少なくとも次の3点を併記する必要があります。

  1. 比較開始年の人数
  2. 実際の増加人数
  3. 総人口に占める構成比

これにより、「伸び率は高いが人数は少ない地域」と「伸び率は中程度でも多数が増えた地域」を区別できます。

居住分布は3つの型に分けて読める

市区町村別データから見えるのは、外国人住民が一つの理由で同じ場所に集まっているわけではないという点です。

1. 大都市型

大阪市、横浜市、名古屋市、福岡市、東京23区の各区が該当します。外国人住民の実数が大きく、留学、専門職、サービス業、家族との同居など複数の経路が重なりやすい地域です。

この型では、区や駅勢圏ごとの差が市全体の平均に埋もれることがあります。市区町村別統計は入口として有効ですが、学校区や町丁別の状況をそのまま表すものではありません。

2. 工業・雇用集積型

大泉町、常総市、八千代町、川口市などでは、製造業や物流を含む地域の雇用構造との関係を確認する必要があります。

ただし、「工場があるから増えた」と人口表だけで結論づけることはできません。産業別の外国人雇用状況、在留資格、事業所数、住宅立地を合わせて確かめるべきです。

3. 観光地型

草津町と箱根町では、2020年から2025年に外国人住民が約2倍になりました。観光地で働く住民の増加という仮説は立てられますが、この表には職業も在留資格も記録されていません。

観光客数との混同にも注意が必要です。宿泊統計の外国人延べ宿泊者数は訪問需要を示し、住民基本台帳の外国人住民数は地域で暮らす人を示します。両者は別の指標です。

地域の暮らしでは何を確認すべきか

外国人住民の増加は、地域の人口を補う数字としてだけでなく、日々の公共サービスの利用者が変わることを意味します。

自治体や地域の事業者が確認すべき場面は具体的です。

  • 転入時の住民登録、税、健康保険の案内が理解できるか
  • 学校が日本語指導を必要とする児童・生徒数を把握できているか
  • 災害時の避難情報が複数言語で届くか
  • 医療機関や相談窓口で通訳につなげられるか
  • ごみ分別や住宅契約のルールを入居時に伝えられるか
  • 人口増加に対して賃貸住宅や交通手段が足りているか

必要な対応は自治体ごとに異なります。大都市では対象者数が多く、窓口や学校への需要が広範囲に発生します。一方、小規模な町では人数が数百人でも構成比が1割を超え、限られた職員や地域組織が日常的に対応することになります。

データを読む際の5つの注意点

この統計から言える範囲を越えないことが重要です。

1. 「外国人住民」と「在留外国人」は完全には一致しない

住民基本台帳統計は自治体の住民票を基にします。出入国在留管理庁の在留外国人統計は、同庁が把握する主たる住居地を基にした別の統計です。住所概念や集計時点が異なるため、市区町村別の値が一致しない場合があります。

2. 2025年値は1月1日時点のスナップショット

1年間の途中で転入・転出した人を延べ人数で示す統計ではありません。季節雇用や卒業・入学に伴う変動は、基準日の選び方によって見え方が変わります。

3. 人数、割合、増加率は別の問いに答える

  • 人数:何人暮らしているか
  • 構成比:地域住民の何%を占めるか
  • 増加率:基準年からどの程度伸びたか

「最も多い」「最も集中している」「最も急増した」を同じ意味で使うことはできません。

4. 人口表だけでは増加理由を特定できない

雇用、留学、家族形成、住宅費、交通利便性などは背景候補ですが、この統計に原因を説明する項目はありません。因果関係の検証には別のデータが必要です。

5. 2020年は特殊な比較起点でもある

2020年以降には新型コロナウイルス感染症に伴う国際移動の制約と、その後の回復が含まれます。草津町や箱根町の増加率を長期的な平常トレンドとみなすには、2019年以前を含む推移も確認する必要があります。

次に見るべきは「増えた人数」とサービスの受け皿

2025年の市区町村データは、外国人住民の増加が大都市だけの現象ではないことを示しています。実数では大阪市などの大都市、構成比では大泉町、伸び率では草津町や箱根町が目立ちました。

次の更新で注目すべき点は、順位そのものより次の4項目です。

  • 2025年以降も年間35万人規模の増加が続くか
  • 観光地の高い増加率が一時的な回復か、定着を伴う変化か
  • 高比率地域で学校、医療、防災、行政窓口の体制が追いつくか
  • 市区町村内のどの地区に居住が集中しているか

全国平均2.96%という数字だけでは、地域の変化を捉えきれません。自分の地域を見るときは、外国人住民の人数、総人口に占める割合、5年程度の増減を同じ画面に並べることが、最も実用的な読み方です。

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