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商店街の店は減っている?全国の空き店舗率と山形の店舗減少を分けて読む

営業中の店とシャッターが閉まった店が並ぶ日本の商店街のイメージ。

商店街の店は減っている?全国の空き店舗率と山形の店舗減少を分けて読む

商店街の変化は、「店が減った」という一つの数字では捉えられません。全国の平均店舗数は2015年度の54.3店から2021年度の51.2店へ減りましたが、途中では増加もありました。一方、山形県の2024年度調査では平均店舗数が2021年度より約12%少なく、来街者が減ったと答えた商店街も4割を超えています。

店舗数、空き店舗率、来街者の動向は、それぞれ別の変化を示す指標です。 空き店舗率が下がっただけで、買い物の便利さや商店街の売上が回復したとは判断できません。

この記事で押さえる点は、次の3つです。

  • 全国の平均店舗数は、毎回一方向に減っているわけではない。
  • 全国平均の空き店舗率は、街ごとの違いや消えた店舗を十分に表さない。
  • 来街者が「減った」という回答割合は、人の減少率ではない。
目次

使用データ:全国の推移と山形県の変化を区別する

比較の中心は商店街実態調査ですが、調査年度と回答対象をそろえて読む必要があります。

全国の長期比較には、中小企業庁の2018年度・2021年度調査を使います。地域の具体的な変化には、山形県が2025年10月にまとめた「令和6年度商店街実態調査報告書(山形県版)」を使用します。

山形県版は、全国商店街振興組合連合会が実施した調査の県内分です。基準日は2024年10月1日。県内135件への発送に対して集計件数は64件、集計率は47.4%でした。県内すべての商店街を数えた結果ではありません。山形県の報告書

ここでいう商店街は、小売業やサービス業などの店舗が街区を形成し、商店会など何らかの組織を持つものです。組織のない店舗の集まりまで、すべて含む定義ではありません。

最新調査は対象が絞られている

2026年10月8日時点では、2025年度の全国簡易調査も公表されています。ただし、前年にインターネットで回答した商店街から休眠・解散を除いた1,277件を対象とし、有効回答は767件でした。前年の全国調査とは対象の選び方が違います。

このため、最新の簡易調査を過去の全国調査にそのまま継ぎ足し、全国全体の増減率として扱うことはできません。全国商店街振興組合連合会の2025年度調査案内

店舗数:全国平均は減少後に微増している

全国の平均店舗数は2015年度から2021年度に約5.7%減りましたが、2018年度から2021年度には0.5店増えています。

調査年度1商店街あたり平均店舗数平均空き店舗率
2015年度54.3店13.17%
2018年度50.7店13.77%
2021年度51.2店13.59%

出典:中小企業庁の2018年度調査公表資料と2021年度調査公表資料。約5.7%は、54.3店と51.2店から計算した平均値の変化率です。

大切なのは、これが全国の店舗総数の減少率ではないことです。回答した商店街の規模が変われば、平均値も変わります。小規模な商店街が回答しなくなった場合などには、残る商店街の平均店舗数が上がる可能性もあります。

したがって、この比較から確認できるのは「各年度の回答商店街の平均がどう変わったか」です。同じ店舗を追跡して、全国で何店が閉店したかを数えた結果ではありません。

空き店舗率:平均の改善と地域の困難は両立する

空き店舗率の低下は明るい材料ですが、それだけでは店舗の減少や地域差を見抜けません。

2021年度の全国平均は13.59%で、2018年度より0.18ポイント低下しました。しかし、空き店舗率が10%以上の商店街の割合は、41.3%から43.3%へ上昇しています。

平均が少し下がっても、一定以上の空き店舗を抱える商店街は増え得るのです。2021年度商店街実態調査報告書

「平均の率」と「全店舗の率」は違う

全国調査の平均空き店舗率は、各商店街の空き店舗率を計算し、その平均を取ったものです。全国の空き店舗数を全国の全店舗数で割った値とは異なります。

違いを架空の例で確認します。

  • 10区画の商店街で2区画が空いている場合:空き店舗率20%。
  • 100区画の商店街で5区画が空いている場合:空き店舗率5%。

2商店街の率を単純平均すると12.5%。一方、区画を合計して計算すると、7÷110で約6.4%です。

前者は商店街を一つずつ同じ重みで扱い、後者は店舗規模の大きな商店街の影響を強く受けます。自治体の資料と全国平均を比べるときは、計算方法の確認が欠かせません。

空き店舗が消える理由も確認する

空き店舗が新しい店で埋まれば、営業する場所は増えます。しかし、空き区画が住宅や駐車場になり、集計上の店舗から外れる場合にも、率は変わり得ます。

これは数値の仕組みから生じる注意点です。特定の地域でその転用が進んだと断定するには、別の土地利用データが必要になります。

空き店舗率を見るときは、営業店舗数と店舗区画の総数も一緒に確認する。 この組み合わせで、再出店と商業空間の縮小を区別しやすくなります。

地域の変化:山形では平均店舗数が約12%減少

山形県では、店舗数の減少と空き店舗数の増加が同時に表れています。

県の報告書に掲載された平均店舗数は、2018年度34.3店、2021年度35.0店、2024年度30.9店です。2021年度からの差は4.1店、平均値の減少率は約11.7%。平均空き店舗数は同じ期間に2.9店から3.8店へ増えました。山形県の報告書・店舗数と空き店舗の状況

ただし、約11.7%は県内全店舗の減少率ではありません。また、平均空き店舗数を平均店舗数で割っても、各商店街の率を平均した「平均空き店舗率」にはなりません。

この結果は、全国の平均店舗数が2018年度から2021年度に微増したことと矛盾しません。対象地域も比較期間も異なるからです。全国平均だけで、身近な地域の変化を代弁させることには限界があります。

来街者:4割が「減った」でも、人が4割減ったわけではない

来街者の調査は商店街側の増減判断であり、全国共通の方法で実測した人数の減少率ではありません。

山形県の2024年度調査では、1年前と比べた来街者について「増えた」が6.3%、「変わらない」が42.9%、「減った」が42.9%、無回答が7.9%でした。

つまり、42.9%は「来街者が減ったと答えた商店街の割合」です。来街者数そのものが42.9%減ったという意味ではありません。山形県の報告書・来街者の動向

過去との比較には期間の違いがある

同じ報告書では、2021年度に「減った」と答えた割合は86.2%でした。ただし、2021年度は最近3年間、2024年度は最近1年間の変化を尋ねています。

比較する期間が短くなれば、増減の捉え方も変わります。感染症流行を含む期間かどうかも違います。この数字だけで「客足が元に戻った」と判断することはできません。

通行量と買い物客も分ける

自治体が実測する歩行者通行量は、商店街の増減判断を補う材料になります。ただし、通行人数が増えても、すべての人が買い物をするわけではありません。

地域の資料を読む際は、次の条件を確認すると比較しやすくなります。

  • 計測地点が前年と同じか。
  • 平日・休日、時間帯、天候が近いか。
  • イベント開催日を含むか。
  • 通行回数なのか、重複を除いた人数なのか。

そのうえで、店舗の売上や営業日数を併せて見る必要があります。人が通ることと、店が営業を続けられることは、関連していても同じ現象ではありません。

暮らしへの意味:店舗数より「何が買えるか」が重要になる

生活者にとっての問題は、店の数だけでなく、日常の用事を近くで済ませられるかです。

総店舗数が変わらなくても、食品を買う店が減り、別の業種が増えれば、買い物の行き先は変わります。反対に、店舗数が減っても、必要な商品やサービスを提供する店が残っていれば、生活への影響は小さい場合があります。

これは今回の数字から各住民の行動を確定した結論ではなく、地域を評価する際の観点です。徒歩で買い物をする人、車で広い範囲を移動する人、商店街で店を営む人では、同じ店舗減少でも困る場面が異なります。

対策の成果も三つに分ける

出店支援やイベントを評価する場合も、成果を一つの数字にまとめないほうが実態に近づけます。

  • 出店の成果:空き区画が埋まり、その店が営業を続けているか。
  • 集客の成果:イベント当日だけでなく、通常日の来街が増えたか。
  • 生活の成果:食品や日用品を買える場所、必要なサービスが維持されたか。

空き店舗率が下がり、通常日の通行量も増えていれば、次は継続営業や購買につながったかを見る段階です。空き店舗率が下がっても営業店舗数が減っていれば、転用や撤去を調べる必要があります。通行量だけが増えている場合は、店に立ち寄る人や買い物をする人が増えたかが次の問いになります。

次に見るべき数字:同じ区域の営業店舗と通常日の通行量

商店街の回復を判断するには、同じ区域を継続して追ったデータが必要です。

今回の調査では、回答しなかった商店街や、集計から除かれた休眠・解散組織の状況を十分には捉えられません。2024年度の全国調査でも、有効回答4,824件のうち休眠・解散した678件は集計対象から除外されています。平均値だけでは、活動を終えた商店街が見えにくくなる点に注意が必要です。2024年度全国調査の方法

身近な地域については、次の四つを同じ区域・同じ条件で並べると、変化の中身がはっきりします。

  • 営業店舗数と、食品・日用品など業種別の店舗数。
  • 空き店舗数、店舗区画の総数、住宅・駐車場への転用数。
  • 通常日の歩行者通行量。
  • 新規出店数と閉店数、その後の継続営業。

空き店舗が減ったときに確かめたいのは、その場所で店が開いたのか、商業の場所そのものがなくなったのかです。そこまで確認して初めて、地域で買い物を続けられる環境が改善したかを判断できます。

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