外国人留学生は40.8万人に――増加の中心は日本語学校と専門学校
日本で学ぶ外国人留学生は、2025年5月1日時点で408,069人。前年より71,361人、21.2%増え、過去最多となった。増加人数の約9割を占めたのは、日本語教育機関と専修学校の専門課程である。
国・地域別では中国が最多だが、前年からの増加人数はネパールが最も大きい。地域別では東京への集中が続く一方、福岡や大阪も全国平均を上回るペースで増えている。
この記事で分かることは、次の3点だ。
- 総数は2015年の約2倍。ただし、その間には減少期がある。
- 大学・大学院と、日本語教育機関・専門学校では増え方が違う。
- 都道府県比較では、学校本部の所在地と実際に学ぶ校舎の所在地を区別する必要がある。
使用データ:2025年5月1日の在籍者を比較する
今回見るのは、年間の入国者数ではなく、同じ基準日に学校に在籍していた留学生の数である。
出典は日本学生支援機構(JASSO)の「外国人留学生在籍状況調査」。2026年10月8日時点で公表されている最新結果は2025年度調査で、2026年5月に公表された。結果紹介ページには同年7月30日の更新日が記載されている。
調査条件は次のとおりだ。
- 対象日:2025年5月1日。前年比較も各年5月1日でそろえる。
- 対象地域:日本全国。
- 対象者:在留資格「留学」で、大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の専門課程、準備教育課程、日本語教育機関で教育を受ける外国人学生。
- 集計資料:報告書によると、2025年10月時点の学校からの回答に基づく。
外国籍の学生全員を数えた統計ではない。永住者など、別の在留資格で学ぶ学生は、この定義には含まれない。
以下の人数は公表値、構成比や増加への寄与、複数年の増減率は公表値からの計算である。JASSOの2025年度調査結果を基に整理した。
10年で約2倍、2019年と比べても30.7%増
留学生数は減少期を経て、2024年に2019年の水準を超え、2025年に40万人台へ達した。
| 年 | 留学生総数 |
|---|---|
| 2015年 | 208,379人 |
| 2019年 | 312,214人 |
| 2020年 | 279,597人 |
| 2021年 | 242,444人 |
| 2022年 | 231,146人 |
| 2023年 | 279,274人 |
| 2024年 | 336,708人 |
| 2025年 | 408,069人 |
※高等教育機関と日本語教育機関の合計。各年5月1日現在。出典:2025年度調査報告書・人数の推移。
2015年から2025年までの増加は199,690人、95.8%。ほぼ2倍である。一方、2019年から2022年には81,068人減っており、10年間ずっと増え続けたわけではない。
2025年は2019年より95,855人、30.7%多い。したがって、総数については以前の水準への回復を超えている。ただし、どの学校でも同じ割合で増えたわけではない。
この区別は大切だ。減少した2022年を起点にすると増加率は76.5%になるが、2019年を起点にすれば30.7%になる。どちらも正しい計算であり、比較する年によって見える変化の大きさが違う。
学校種別:前年の増加の約9割は二つの区分
2024年から2025年への増加は、日本語教育機関と専門学校に強く集中している。
| 在学段階 | 2025年 | 前年からの増加 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 日本語教育機関 | 140,174人 | 32,933人 | 30.7% |
| 専修学校〈専門課程〉 | 106,829人 | 30,427人 | 39.8% |
| 大学〈学部〉 | 92,442人 | 5,021人 | 5.7% |
| 大学院 | 60,013人 | 1,798人 | 3.1% |
| 短期大学 | 4,138人 | 873人 | 26.7% |
| 準備教育課程 | 3,946人 | 288人 | 7.9% |
| 高等専門学校 | 527人 | 21人 | 4.2% |
※各年5月1日現在。出典:JASSOの2025年度調査結果。
日本語教育機関と専門学校の増加人数を合わせると63,360人。総増加71,361人の88.8%に当たる。2025年の在籍者数でも、この二つで247,003人、全体の60.5%を占める。
「外国人留学生が増えた」というニュースを大学キャンパスだけの変化として受け取ると、増加の中心を見落とす。語学を学ぶ段階や、職業に結び付く専門課程の規模が大きくなっている。
前年比では増えていても、長期比較では違いがある
大学学部の留学生は前年より5.7%増えた。しかし、2019年の学部・短期大学・高等専門学校の合計92,952人に対し、同じ三つを合計した2025年は97,107人。増加は4.5%にとどまる。
これに対して、日本語教育機関は2019年の83,811人から140,174人へ67.2%増え、専門学校は78,844人から106,829人へ35.5%増えた。
つまり、総数の拡大は以前と同じ学校構成を大きくしただけではない。日本語教育機関の比重が高まったことが、2019年との比較からも確認できる。
進学による移動と、新たな受け入れは別
日本語教育機関から専門学校や大学へ進む学生がいれば、学校種別の人数は動く。その学生が日本に在籍し続ける限り、進学だけで全国総数が増えるわけではない。
この調査は個人の進学経路を追うデータではないため、「日本語教育機関の増加が翌年の専門学校増加につながった」とは断定できない。学校間の移動を確かめるには、卒業後の進路を扱う別の調査が必要になる。
国・地域別:中国が最多、増加人数はネパールが最大
在籍者数の順位と、人数を押し上げた国の順位は一致しない。
| 国・地域 | 2025年 | 前年からの増加 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 中国 | 131,097人 | 7,612人 | 6.2% |
| ネパール | 100,239人 | 35,423人 | 54.7% |
| ベトナム | 43,366人 | 3,043人 | 7.5% |
| ミャンマー | 29,413人 | 12,817人 | 77.2% |
| スリランカ | 17,626人 | 5,357人 | 43.7% |
※高等教育機関と日本語教育機関の合計による上位5か国。各年5月1日現在。出典:JASSOの2025年度調査結果。
ネパールの増加35,423人は、全国の増加人数の49.6%に当たる。ミャンマーと合わせると67.6%。今回の総数増加を読むうえで、この二つの国からの増加は外せない。
中国は人数が増えているものの、全体に占める割合は2024年の36.7%から2025年の32.1%へ下がった。中国の人数が減ったためではなく、ほかの国からの増加がより速かったためだ。
反対に、ネパールの割合は19.3%から24.6%へ上昇した。最多の中国とネパールを合わせると、2025年の総数の56.7%になる。
国別の増加と学校別の増加を直結させない
国別表と学校種別表は、同じ留学生を別の切り口で集計している。ネパールからの増加と専門学校の増加が大きいからといって、二つの集計だけで「増えたネパール人留学生の大半が専門学校に入った」とは言えない。
また、増加率77.2%のミャンマーと6.2%の中国では、前年の人数が異なる。割合は伸びの速さ、人数差は全体への寄与を見る指標として使い分けたい。
国別の人数は、学生本人の目的や経済状況を示すものでもない。留学先の選択理由を説明するには、費用、教育内容、募集経路などを調べた資料が別途必要になる。
地域別:東京に約3分の1、福岡・大阪も大幅増
実際に学ぶ校舎の所在地で見ると、東京が最多で、全国の34.3%を占める。
地域の生活や通学との関係を考えるため、ここでは報告書の「校舎所在地の都道府県ごとに集計」を使う。対象は高等教育機関と日本語教育機関の合計である。
| 都道府県 | 2024年 | 2025年 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 117,375人 | 140,029人 | 19.3% |
| 大阪府 | 34,781人 | 43,253人 | 24.4% |
| 福岡県 | 19,106人 | 25,011人 | 30.9% |
| 京都府 | 18,001人 | 21,269人 | 18.2% |
| 千葉県 | 15,574人 | 18,807人 | 20.8% |
※2025年の人数による上位5都府県。各年5月1日現在。増加率は筆者計算。出典:2025年度調査報告書・校舎所在地別集計。
東京の増加は22,654人と大きい。一方、増加率では福岡の30.9%、大阪の24.4%が全国の21.2%を上回る。東京だけで拡大が起きているわけではない。
関東全体は208,637人で全国の51.1%。前年の51.4%からわずかに下がったが、なお半数以上を占める。「東京以外も増えた」と「大都市圏への集中が続く」は、同時に成り立つ。
本部所在地で数えると、東京の人数は変わる
報告書には、大学の複数県の学部などを事務局本部の所在県へまとめた表もある。その方法では東京は144,661人だが、校舎所在地では140,029人となる。
全国総数は同じでも、都道府県への配分が違う。地域比較でこの二つの表を混ぜると、実際の増減と集計方法の違いを取り違える。
さらに、校舎所在地は学生の居住地でもない。東京の学校へ隣県から通う学生も考えられるため、この人数をそのまま都内の住宅需要や住民数として使うことはできない。
地域の暮らしを見るなら、人数の次に住まいと進路
在籍者の増加から具体的な生活上の変化を考えるには、住まいと卒業後の動きを分けて確認する必要がある。
学校や自治体にとっては、授業の受け入れだけでなく、住居探し、生活上の説明、相談窓口などをどの規模で用意するかが論点になる。ただし、在籍者数だけで支援不足の有無までは判断できない。
総数増加は、家賃上昇の証拠ではない
留学生が増えた地域で住宅への需要が増える可能性はある。しかし、家賃を左右するのは留学生数だけではない。住宅供給、空室、国内の人口移動、物件の立地や広さも関わる。
地域への影響を確かめるなら、次のデータを組み合わせたい。
- 学校周辺や通学圏の賃貸住宅の供給・空室状況。
- 留学生の居住地と、学校の寮の受け入れ状況。
- 同じ広さ・立地条件で比べた家賃の推移。
都道府県全体の留学生数と平均家賃が同時に上がっただけでは、原因を特定できない。
在籍者の増加は、そのまま地域への定着ではない
日本語教育機関で学んだ後、別の県へ進学する学生も、帰国する学生もいる。専門学校や大学の卒業後も、日本で就職するか、どこに住むかは別の問題だ。
したがって、「留学生が増えたから地域の働き手が同じ人数増える」という読み方には飛躍がある。地域の将来を考えるなら、在籍者数に加えて、進学先、就職先、卒業後の居住地を見る必要がある。
数字を読む際の限界:時点、対象、母数をそろえる
誤読を避ける基本は、同じ日に、同じ対象を、同じ地域区分で比べることである。
今回の比較には、次の限界がある。
- 2026年の在籍状況ではない。公表は2026年だが、対象日は2025年5月1日である。
- 年間受け入れ人数ではない。基準日以降に入学・修了した学生の動きは、この時点の人数には表れない。
- 外国人住民全体の統計ではない。在留資格「留学」の対象校在籍者に限られる。
- 地域の多さと密度は違う。人数上位の県が、人口当たりや全学生に占める割合でも上位とは限らない。
- 過去の総数には対象範囲の違いがある。日本語教育機関は2011年度から調査対象となり、結果紹介ページでは2014年度から両区分の総数を留学生数としていると説明されている。
最後の点から、1980年代などの総数と現在をそのまま割り算するのは避けたい。本稿の長期比較は、両区分を含む2015年以降にそろえている。
次に見るべきは、増えた学生がどこへ進むか
今後の焦点は、40.8万人という規模が続くかに加え、日本語教育機関で増えた学生の進路である。
進学が増えれば、大学や専門学校の受け入れ人数、さらに進学先地域の住まいの準備が重要になる。一方、修了後の帰国や地域間移動が多ければ、現在の在籍者増加がそのまま同じ地域に積み上がるとは限らない。
次回の統計を読む際には、総数の見出しとともに、次の3点を確認したい。
- 日本語教育機関と専門学校が、引き続き増加の中心か。
- 東京への集中度と、福岡・大阪などの増加率がどう変わるか。
- 卒業・修了後の進路が、現在の在籍者数とどうつながるか。
地域で必要な教室、住まい、相談体制を考えるには、「何人増えたか」の次に「どこで学び、その後どこへ向かうか」を確かめることが欠かせない。
