変動型は75%、ただし直近は減少――住宅ローンの金利選択を2017年から比較
新しく住宅ローンを借りた人の金利選択では、変動型が主流だ。住宅金融支援機構の2026年1月調査では75.0%を占め、2017年の約5割から大きく増えた。ただし、直前の調査の79.0%からは4.0ポイント下がっている。
長期では変動型が広がり、直近では固定型が持ち直した。この二つを分けて読むと、「多くの人が選んでいる」という数字の意味が見えてくる。75%は、返済中の住宅ローン全体の割合でも、変動型が有利になる確率でもない。
この記事で分かることは、次の3点だ。
- 2017年から直近まで、変動型と二つの固定型の割合がどう変わったか。
- 「固定」の中でも、全期間固定型と固定期間選択型を分ける必要がある理由。
- 利用者の割合から分かることと、個人の返済計画には別途確認が必要なこと。
使用データは、新しく借りた人の全国調査
比較するのは、各期間に住宅ローンを借りた回答者の金利タイプ別割合だ。 借入残高や融資額のシェアを比較しているわけではない。
出典は住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」。インターネット調査会社のモニターを対象にしたアンケートで、フラット35の利用者も含む。2026年10月8日に公式の掲載ページを確認した時点で、利用者調査の最新掲載分は2026年1月調査だった。公表日は2026年2月20日で、掲載ページの更新日も同日となっている。
直近調査の条件は次のとおり。
- 借入期間: 2025年4月~9月。
- 対象地域・年齢: 全国の20歳以上70歳未満。学生・無職の人は除く。
- 回答数: 1,237人。
- 調査実施: 2026年1月7日~20日。
- 対象外: 借換え、リフォーム、土地のみ、投資用のローン。
したがって、「2026年1月の75%」は、2026年1月に契約した人の割合ではない。前年の半年間に借りた人へ、後から尋ねた結果である。2026年1月調査の詳細資料で、借入期間と調査時期を確認できる。
長期比較では、2017年度第1回、2020年11月、2022年4月、2025年4月、2026年1月の5時点を取り上げる。各年の年間平均ではなく、それぞれの対象期間の調査結果だ。
約5割から約4分の3へ、変動型の割合は上がった
2017年と直近を比べると、変動型は24.6ポイント増え、固定期間選択型は22.0ポイント減った。 長期の変化で目立つのは、この二つの割合の動きだ。
| 調査回・借入期間 | 変動型 | 固定期間選択型 | 全期間固定型 |
|---|---|---|---|
| 2017年度第1回 2017年4~9月 | 50.4% | 36.9% | 12.6% |
| 2020年11月調査 2020年4~9月 | 62.9% | 24.5% | 12.6% |
| 2022年4月調査 2021年10月~2022年3月 | 73.9% | 17.3% | 8.9% |
| 2025年4月調査 2024年10月~2025年3月 | 79.0% | 12.2% | 8.8% |
| 2026年1月調査 2025年4~9月 | 75.0% | 14.9% | 10.1% |
単位は各回の回答者に占める割合。公表値の丸めにより、合計が100%にならない行がある。回答数は順に1,495人、1,500人、1,500人、1,397人、1,237人。
出典:2017年度第1回、2020年11月調査、2022年4月調査、2025年4月調査、2026年1月調査。
減少幅が大きかったのは固定期間選択型
2017年には、変動型が50.4%、二つの固定型の合計が49.5%だった。ほぼ半々である。直近では変動型75.0%に対し、固定型の合計は25.0%になった。
その間、全期間固定型は12.6%から10.1%へ2.5ポイントの低下にとどまる。一方、固定期間選択型は36.9%から14.9%へ下がった。「固定が減った」と一括りにすると、この違いを見落とす。
これは各時点の新規借入者を比べた結果であり、同じ人が固定から変動へ変更したことを示す数字ではない。それでも、新規借入時の選択の重心が変動型へ移ったことは読み取れる。
増加は一直線ではない
取り上げた5時点だけでは、毎回増え続けたようにも見える。しかし、2022年4月調査に掲載された過去の推移では、変動型は2018年度第2回の60.3%から2019年度第1回の59.0%へ下がっている。2021年も、4月調査の68.1%から10月調査の67.4%へ低下した。
長期の上昇傾向と、各回の増減は別の話だ。直近の低下も、それだけで長期傾向の反転と判断することはできない。
直近の固定型増加は、二つのタイプに分けて見る
直近では固定型が合計4.0ポイント増えたが、その内訳は固定期間選択型が2.7ポイント、全期間固定型が1.3ポイントだった。
2025年4月調査から2026年1月調査への変化を整理すると、次のようになる。
- 変動型:79.0% → 75.0%。
- 固定期間選択型:12.2% → 14.9%。
- 全期間固定型:8.8% → 10.1%。
ここで大切なのは、固定期間選択型を「完済まで金利が変わらない商品」と混同しないことだ。
- 変動型: 返済中に適用金利が見直される。
- 固定期間選択型: 当初の一定期間は金利を固定するが、期間終了後の金利は再設定される。
- 全期間固定型: 借入時に返済期間全体の金利を固定する。
直近の固定型合計25.0%を、そのまま「4人に1人は完済まで金利上昇の影響を受けない」と読むことはできない。全期間固定型は10.1%である。
固定期間選択型を選ぶ人は、当初の支払額を見通しやすくする一方で、固定期間終了時の返済額を確認する必要がある。統計を読むときにも、契約条件を比べるときにも、この区別が効いてくる。
選択の背景には、借入時の負担と将来の見通しの違いがある
金利タイプの割合だけでは選択理由を断定できないが、別の設問から、利用者が何を重視したかは確認できる。
2025年4月調査では、フラット35以外の利用者が住宅ローンを選んだ理由として「金利の低さ」を挙げた割合が61.0%だった。選択理由は三つまで回答できるため、これを「61%が金利だけで決めた」と読むのは誤りである。同調査の詳細資料では、保障内容や諸費用なども選択肢になっている。
借入時の金利を重視することと、返済期間全体の支出を見通せることは、異なる判断軸だ。どちらを重く見るかは、借入額だけでなく、収入の変化や手元資金にも左右される。
ただし、この調査から「金利差が変動型の割合を何ポイント押し上げた」と計算することはできない。商品条件、金融機関の提案、借りる人の属性などが同時に変わるためだ。
住宅の種類によっても、割合は違う
全国平均だけでは、借りる人のばらつきも見えにくい。
2022年4月調査では、変動型の割合は中古マンションで79.8%だった一方、注文住宅の建替えでは51.0%だった。差は28.8ポイントある。2022年4月調査の住宅種類別集計は、同じ時期でも選択割合が一様ではないことを示している。
この差を住宅の種類だけで説明することはできない。年齢、所得、借入先などの条件をそろえた比較ではないからだ。それでも「全国で約7割だから、どの住宅購入場面でも約7割」という当てはめは避けられる。
長期比較では、年齢範囲と調査対象の変更に注意
この推移は全国の契約を全件数えた統計ではなく、調査条件にも違いがある。
特に次の点は、数字と一緒に押さえておきたい。
以前の調査より対象年齢が広い
今回参照した2017年、2020年、2022年の資料は20歳以上60歳未満が対象だ。2025年と2026年の資料は20歳以上70歳未満になっている。
比較表の割合は公表値そのものだが、同じ年齢範囲へ調整した値ではない。60代の回答者が加わった影響を、この表だけから切り分けることはできない。
古い系列にはフラット35の扱いにも注意が必要
公式ページによると、フラット35利用者編は2017年度第1回調査から住宅ローン利用者編へ統合されている。それ以前の系列と接続する際には、集計対象を確認する必要がある。
また、2017年度の資料は、委託先の調査会社が過去に変更され、モニター属性の違いが回答へ影響する可能性を明記している。細かな上下まで、すべて借り手の選好の変化と解釈するのは難しい。
人数の割合と融資額の割合は違う
75.0%は回答者ベースの割合だ。借入額が大きい人も小さい人も、回答者としては1人である。
したがって、この数字から「新規融資額の75%が変動型」「住宅ローン残高の75%が金利上昇にさらされている」とは言えない。返済中の契約全体を知りたい場合は、既存借入者や金融機関の残高を対象とする別の資料が必要になる。
次に見るべきは、固定型の増加が続くかと、その内訳
今後の公表で確認したいのは、変動型の低下が続くか、そして増える固定型がどちらなのかだ。
考えられる読み方は三つある。
- 固定期間選択型が増える場合: 当初の一定期間について金利を固定する選択が広がったと読める。全期間固定への移行とは区別する。
- 全期間固定型が増える場合: 完済まで金利を固定する選択が、回答者の中で広がったと読める。
- 変動型が再び増える場合: 直近の低下だけでは持続的な変化を判断できなかったことになる。借入期間と対象者の条件も再確認する。
いずれも、選択理由や借り手の属性を併せて確かめる必要がある。割合の動きだけで、金利政策や住宅価格の変化を原因と決めつけることはできない。
住宅ローンを比較する人にとって、75%という数字は市場の傾向を知る手掛かりになる。しかし、自分の返済計画を判断するには、提示された金利に加え、金利や返済額の見直し条件、固定期間終了後の条件、収入が減った場合の支払余力を具体的に比べる必要がある。多数派の割合では、その確認を代わりに済ませられない。
