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家庭の肉選びは「豚が主役、鶏が伸長」へ 2025年の購入量で見る牛肉との差

牛肉・豚肉・鶏肉を家庭の台所で比較したイメージ。

家庭の肉選びは「豚が主役、鶏が伸長」へ 2025年の購入量で見る牛肉との差

家庭で最も多く買われている肉は豚肉です。2025年の全国1人当たり購入量は、豚肉7,703グラム、鶏肉6,492グラム、牛肉1,885グラムでした。

前年からは豚肉と鶏肉が増え、牛肉は減少。家計の肉選びは、豚肉を中心にしながら鶏肉の比重を高める方向へ動いています。ただし、購入量だけで「日本人が牛肉を食べなくなった」とまでは言えません。外食や総菜で食べた分が含まれないためです。

この記事で分かることは次の4点です。

  • 2025年に家庭が買った牛肉・豚肉・鶏肉の量
  • 2024年から増えた肉、減った肉
  • 2010年代から見える構成の変化
  • 「西の牛、東の豚、九州の鶏」という地域差
目次

使用データと比較条件

最新動向には2025年の家計調査、長期的な位置づけには食料需給表を使います。 両者は対象範囲が違うため、同じ「消費量」として混ぜないことが重要です。

主に参照したデータは以下の通りです。

  • 総務省「家計調査」を基にした農畜産業振興機構の集計
  • 対象年:2024年、2025年
  • 対象地域:全国
  • 指標:1人当たり年間購入数量
  • 算出方法:二人以上の世帯の1世帯当たり数値を、その年の世帯人数で除したもの
  • 総務省「家計調査」の二人以上の世帯
  • 比較年:2013年、2019年
  • 指標:1世帯当たり年間購入数量
  • 農林水産省「食料需給表」
  • 対象年度:2024年度
  • 指標:国内生産、輸出入、在庫増減、人口などから算出した1人当たり供給純食料
  • 2023年家計調査の地方別集計
  • 対象:二人以上の世帯
  • 比較単位:北海道、東北、関東など10地方

家計調査が示すのは、調査世帯が家庭用に買った量です。外食、持ち帰り総菜に使われた肉、単身世帯の動向をそのまま表す数字ではありません。

2025年は豚肉7.7キロ、鶏肉6.5キロ、牛肉1.9キロ

購入量の順位は豚肉、鶏肉、牛肉の順で、豚肉は牛肉の約4.1倍でした。

肉の種類2025年2024年前年差前年比
牛肉1,885g1,930g-45g-2.3%
豚肉7,703g7,573g+130g+1.7%
鶏肉6,492g6,462g+30g+0.5%

出典は農畜産業振興機構による家計調査の整理です。2024年から2025年にかけて起きた変化は明確でした。

  • 牛肉は購入金額、購入数量ともに減少
  • 豚肉は購入金額、購入数量ともに増加
  • 鶏肉も価格が上がるなかで購入金額、購入数量が増加

量の差で見ると、豚肉は鶏肉より1,211グラム多く、牛肉より5,818グラム多く購入されています。鶏肉が伸びているとはいえ、家庭用の購入量ではまだ豚肉が主役です。

支出額が増えても、量が増えたとは限らない

2025年の「生鮮肉」への支出は1人当たり2万9,012円で、前年比3.6%増でした。一方、牛肉の購入量は減っています。

これは、家計負担を見るときに金額と数量を分ける必要があることを示します。支出額が増えた場合でも、値上がりによって同じ金額で買える量が減った可能性があるからです。

2025年は豚肉と鶏肉の量も増えましたが、伸び率はそれぞれ1.7%、0.5%にとどまりました。生鮮肉全体の支出増だけを見て「肉を多く買うようになった」と判断するのは早計です。

2010年代にも牛肉から豚肉・鶏肉への移動が見える

短期的な物価高だけでなく、2010年代の家計データにも豚肉と鶏肉の増加が表れています。

二人以上の世帯における年間購入量を2013年と2019年で比べると、次のようになります。

肉の種類2013年2019年増減増減率
牛肉6.90kg6.538kg-0.362kg-5.2%
豚肉19.46kg21.179kg+1.719kg+8.8%
鶏肉15.14kg16.912kg+1.772kg+11.7%

この6年間では、鶏肉の増加率が最も大きく、増えた重量も豚肉をわずかに上回りました。牛肉は反対に減少しています。

ただし、これは同じ世帯を追跡した結果ではありません。二人以上の世帯の平均人数や年齢構成は年ごとに変わります。また、家計調査では2018年に調査方法の変更があり、長期比較にはその影響も考慮する必要があります。

したがって、この表から確認できるのは「二人以上の世帯全体で購入構成が変わった」という事実です。個人の好みが同じ割合で変化したとは断定できません。

ここがポイント: 「人気」を家計の購入量で測ると、豚肉が最多で鶏肉が伸びています。ただし、価格、世帯構成、外食の利用状況も購入量を動かすため、味の好みだけを測ったランキングではありません。

なぜ豚肉と鶏肉へ動くのか

2025年の資料が直接示している要因は、節約志向と牛肉価格の高止まりです。

農畜産業振興機構は、全国スーパーマーケット協会の資料を基に、牛肉から豚肉・鶏肉への需要シフトが続いたと説明しています。

豚肉は普段使いの受け皿になった

2025年は国産豚肉の価格が上昇するなか、比較的安価な輸入豚肉が好調でした。年末に国産豚肉の相場が落ち着くと、スライスや切り落としの販売も伸びています。

豚肉の購入量が年間7.7キロに達した背景には、単に「豚肉好きが増えた」という変化だけでなく、牛肉の代替として選ばれた面があります。

鶏肉は値上がりしても購入量を維持した

鶏肉も無条件に安かったわけではありません。国内と主要輸入先のブラジルで発生した高病原性鳥インフルエンザの影響などにより、価格が上がりました。

それでも2025年の購入量は前年比0.5%増です。牛肉からの需要シフトが、価格上昇による下押しを上回った形です。ただし、前年の4.3%増からは伸びが鈍っています。価格がさらに上がれば、鶏肉への移行にも限界が出る可能性があります。

牛肉は家庭外で食べる比率が高い

牛肉は近年、消費量全体の約6割が外食・中食向け、家計向けが約3割、加工向けが約1割です。これに対し、豚肉は家計向けが約6割を占めます。

この違いは大きな注意点です。家計調査で牛肉の購入量が減っても、焼肉店、レストラン、弁当や総菜まで含めた牛肉消費が同じ割合で減ったとは限りません。

食料需給表では鶏肉が最多

家庭で買う量は豚肉が最多ですが、外食や加工などを含む供給量では鶏肉が首位です。

農林水産省の食料需給表によると、2024年度の1人当たり供給純食料は次の通りでした。

  • 鶏肉:14.9kg
  • 豚肉:13.2kg
  • 牛肉:5.9kg
  • 3種類合計:34.0kg

家計調査の2024年値は、豚肉7.573キロ、鶏肉6.462キロ、牛肉1.930キロです。供給純食料との差は、外食・中食、加工用途を含むかどうかなど、集計範囲の違いによって生じます。

つまり、「家庭の冷蔵庫では豚肉が最多」「食市場全体では鶏肉が最多」という二つの結果は矛盾しません。何を人気の物差しにするかで順位が変わります。

地域差は今も大きい

全国平均の豚肉優位だけでは、地域の食文化を捉えきれません。 2023年の二人以上の世帯を10地方で比べると、種類ごとに購入量の多い地域が異なりました。

  • 牛肉:近畿が1世帯当たり7.7kgで最多
  • 豚肉:東北が23.8kgで最多
  • 鶏肉:九州が21.3kgで最多

牛肉は2位が九州7.4キロ、3位が中国7.2キロで、西日本が上位を占めました。豚肉は東北に続き北海道が23.6キロ、関東が23.0キロで4位となり、東日本の購入量が多い傾向です。

鶏肉では九州が首位でした。地域の畜産、郷土料理、家庭で使われる定番食材の違いが現在の購入量にも表れています。

ただし、この比較も人口1人当たりではなく、二人以上の「1世帯当たり」です。世帯人数が異なる地方を比較するときは、数百グラム程度の差を過大評価しない方が安全です。

年代差や国際差を読むときの注意点

年代別・国別の数字を追加しても、家計調査の購入量と条件がそろわなければ単純比較はできません。

年代差では、世帯主の年齢階級が使われることがあります。この場合、同居する配偶者や子どもが食べた量も世帯主の年代にまとめられます。「20代本人が食べた量」のようには読めません。

国際比較にも別の難しさがあります。各国の統計には、次のような違いがあります。

  • 小売店で家庭が買った量か、国内供給量か
  • 骨や脂肪など不可食部分を除いているか
  • 外食、加工品、廃棄分を含むか
  • 牛、豚、鶏以外の肉を合計に含むか
  • 暦年か年度か

国際的な供給量ランキングと日本の家計購入量をそのまま並べると、生活者の選択ではなく統計定義の差を比較することになりかねません。今回の結論は、日本の家計調査と食料需給表の範囲に限定する必要があります。

数字から言えること、言えないこと

確実に言えるのは、家庭で買う肉の構成が牛肉から豚肉・鶏肉寄りになっていることです。

データから確認できること

  • 2025年の家庭用購入量は豚肉が最多、鶏肉が2位、牛肉が3位
  • 2024年比では豚肉と鶏肉が増え、牛肉が減った
  • 2013年から2019年の二人以上の世帯でも、豚肉と鶏肉が増え、牛肉が減った
  • 牛肉は外食・中食向けの比率が高く、家庭購入量だけでは全体を捉えにくい
  • 肉の選び方には大きな地域差が残っている

購入量だけでは断定できないこと

  • 味の好みそのものがどれだけ変わったか
  • 物価上昇が購入量を何グラム動かしたか
  • 世帯の高齢化や人数減少が各畜種に与えた影響
  • 外食や総菜を含む個人の実際の摂取量
  • 価格が変わらなかった場合に選ばれた肉の種類

価格と購入量が同時に動いているため、因果関係の切り分けには品目別価格、所得階級、年齢階級などを組み合わせた分析が必要です。

次に見るべきは鶏肉の価格と豚肉の数量

2025年の家計では、豚肉が主役の座を維持し、鶏肉も小幅ながら購入量を増やしました。牛肉はさらに減少しています。

今後の分岐点は次の3つです。

  • 鶏肉の価格上昇が続いても購入量を維持できるか
  • 輸入豚肉から国産豚肉へ需要が戻るか
  • 牛肉の家庭購入減が、外食・中食の回復で補われるか

家計の節約行動を追うなら、支出額だけでなく購入量を確認することが欠かせません。次の年次データで注目すべき数字は、鶏肉が6.5キロ前後を保てるか、そして豚肉が7.7キロからさらに増えるかです。

参照リンク

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